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異世界転移流離譚パラダイムシフター

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数多の次元世界<パラダイム>に転移<シフト>して、青年は故郷を目指す──
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2021年3月の記事一覧

【第2部16章】戦乙女は、凍原に嘆く (2/4)【姉妹】

【第2部16章】戦乙女は、凍原に嘆く (2/4)【姉妹】

【目次】

【売国】←

「うおあぁぁァーッ!」

 身が凍りつくような恐怖を振り払うように、アンナリーヤは雄叫びをあげる。ランスをかまえ、大地を蹴って、地表すれすれを滑空する。

 姫騎士は、一直線に空中突撃をしかける。狙いは深紅のローブの女──エルヴィーナだが、経路を阻むように男が立っている。

 構うことはない。魔銀<ミスリル>の穂先で、もろともに串刺しとする。アンナリーヤは、低空飛行の速度

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【第2部16章】戦乙女は、凍原に嘆く (1/4)【売国】

【第2部16章】戦乙女は、凍原に嘆く (1/4)【売国】

【目次】

【第15章】←

──ヒュオッ。

 鋭い風切り音が、雪原に響く。白い大地のうえを亀裂のように走るクレヴァスのなかから、なにものかが飛び出してくる。

 それは、サーフボードのように大盾のうえに乗り、宙を滑空している。背には、雪や雲と同じ純白の翼が一対。頭部からは、金色の髪がたなびく。

 飛び手は、空のうえでゆっくり一回転してから、下降軌道へと移る。大盾の前面が雪と氷をまき散らしなが

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【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (16/16)【大蛇】

【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (16/16)【大蛇】

【目次】

【旋空】←

「どういうことだ! これだけ雹の嵐が吹き荒れながら、小官に当たらないなどあり得ない話だが!?」

 たとえささやかなことでも、起こりえない事象が目のまえにあるのならば、無視してはならない。戦場ならば、なおさらだ。そこに、何者かの意図が潜んでいる。現状なら、自分以外の……

「……確かめる必要があるのは、間違いないのだがッ!」

『旋空大蛇<オロチ・ザ・ヴァイパー>』を大蛇

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【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (15/16)【旋空】

【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (15/16)【旋空】

【目次】

【粉砕】←

「うげブ……ッ! やってくれたようだが!?」

 戦闘ヘリのコックピットのなかで、ココシュカはうめく。せわしなく操縦桿を動かす。稲妻が落ちたかのような衝撃のあと、機体は制御不能に陥った。

 外部カメラのうち、いくつかが故障したようだ。360°モニターの表示がノイズまみれになり、視界の悪さも手伝って、状況を判断しきれない。

 警告音とともに、いくつものアラートメッセージ

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【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (14/16)【粉砕】

【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (14/16)【粉砕】

【目次】

【氷壁】←

「衝突まで30秒弱、か」

 アサイラは前方を一瞥して、つぶやく。ナオミは、言ったとおりに船の前進速度をあげている。修羅場をまえにしてひるむような女でないことは、いままでのつきあいでよくわかっている。

 導子通信機から、ブリッジ内の阿鼻叫喚が聞こえてくる。地団駄をふむシルヴィアの声は、強風にかき消される。黒髪の青年は、船尾方向へ向きなおる。

 アサイラは身体をたおし、

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【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (13/16)【氷壁】

【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (13/16)【氷壁】

【目次】

【交歓】←

「限界だ、上空へ逃れろ! 姉妹たちへの弁解は、自分がするからだ……ッ!!」

 純魔銀<ミスリル>製の大盾をかかげつつ、横殴りの銃弾の雨を防ぐアンナリーヤが、振りあおぎつつ声をあげる。獣人娘が、ぴんと耳を立てつつ、叫びかえす。

「無理だな! 相手の機銃掃射は、こちらの上昇路をふさぐようにおこなわれている……逃げ道をふさがれているッ!!」

 アサイラとシルヴィアの足場と

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【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (12/16)【交歓】

【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (12/16)【交歓】

【目次】

【流浪】←

「それでは、よろしくお願いしますので。ココシュカ・ナターリア」

「了解だが。部隊との連携は特に考えず、独断で動いてかまわないのだな?」

「ええ、他の人間があなタの足を引っ張ってはいけないので。ともかく、わたシタチ本隊が、セフィロト社の拠点ビルを制圧するまで、敵を押さえてもらえれば」

 グラトニア・レジスタンス、決起の日が来た。セフィロトのオワシ社長が急死したという。

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【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (11/16)【流浪】

【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (11/16)【流浪】

【目次】

【破滅】←

 ココシュカが次に目を覚ましたとき、まったく見知らぬ土地にいた。

 ぎらぎらと照りつける太陽、赤茶けた荒野、ところどころに緑の濃い灌木が茂る。錆のような臭いのする風が、気にくわない。都市らしきものは、見あたらない。

 ココシュカは、一人だった。愛機『ヴァイパー』は、目の届く範囲にはいなかった。

 幸いなことに、人間がまったくいないわけではなかった。元親衛隊員は、傭兵

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【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (10/16)【破滅】

【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (10/16)【破滅】

【目次】

【独裁】←

「オワシ社長ッ! 我々をたばかったなアァァー!?」

 大総統は勢いよく立ちあがると、両目をむきながら、怒声をあげる。セフィロト社のトップは動じることなく、小さくあごを動かす。

 そのあとに起こったのは、一瞬の出来事だった。まばたたきする間に、最高司令官の首が無くなり、どさり、と胴体だけが床へ倒れた。

 ココシュカをはじめ、親衛隊の全員がなにが起こったのか見定められな

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【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (8/16)【仕込】

【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (8/16)【仕込】

【目次】

【拮抗】←

『グッドと言うべきか、バッドと言うべきか……このまま飛び続けるだけなら、片手でもできるが、そういうわけにもいかないだろ!?』

『マナ・バッテリーのエネルギー残量が心配ということね。そもそも本船は、空中戦はもちろん、長距離飛行も前提にしたものじゃないから……』

『グリン。こんな状態が続いたら、船以前にこっちの心臓が保たないのだわ……』

 アサイラの鼓膜に、導子通信機か

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【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (7/16)【拮抗】

【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (7/16)【拮抗】

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【援軍】←

「観念しろ! 鉄くずの化け物の腹は、もはや貴様の棺桶だからだッ!!」

「うるさい羽虫め! この程度で勝ちを確信するとは、さもしい判断力だがッ!!」

 凍原の風が吹きこむコックピット内部で、二人の女の視線が交錯する。突撃槍<ランス>の穂先をきらめかせ、アンナリーヤは操縦手を串刺しにしようとする。

──パンッ。

 乾いた銃声が、閉鎖環境に反響する。女軍人は、ホルスター

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【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (6/16)【援軍】

【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (6/16)【援軍】

【目次】

【変化】←

──ガガガッ! ガガ!!

 耳をふさぎたくなるような、重い銃声が反響する。カーブを抜け、渓谷はふたたび直線となる。敵の断続的な空対空射撃は、苛烈さを増していく。

 操舵輪をにぎるナオミは、ここまで一発の被弾も許さず、よく耐えている。

 しかし、四方の開けた海上よりも逃げ場が限られる窮屈な断崖の狭間で苦労していることが、甲板上からでも船体の揺れでよくわかる。

 アサ

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【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (5/16)【変化】

【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (5/16)【変化】

【目次】

【正体】←

『グッド! ついに正体を現しただろ、ガラクタの蛇めッ!! ララ、なんかわかったことあるか!?』

『たたっよたた! 現時点では、まだ外観以上の追加情報はないということね……引き続き、解析を続けるから……!!』

 耳道のなかに響きわたるブリッジ内の喧噪を聞き流しながら、アサイラは甲板上から後方より迫る金属の大蛇に対して眼を細める。

 生物のパーツのようにも見える銃口から

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【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (4/16)【正体】

【第2部15章】次元跳躍攻防戦 (4/16)【正体】

【目次】

【海上】←

「ナオミの提案……こちらは悪くないと思うのだな。潜水艦のたぐいならば、陸まで追ってこられないし、違うのならば、地上に引きずり出すことで正体を確かめられる」

 スナイパーライフルを構え、相手の隙をうかがうシルヴィアが意見を口にする。アサイラは、小さくうなずく。

「俺も、異存はない。ブリッジの他のメンバーはどうか?」

 黒髪の青年は、導子通信機越しに問う。少しばかりの沈

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