見出し画像

おバイク一人旅~福島県いわき市→新潟県長岡市→富山県砺波市(1日目)2022.5.12

2022年春のおバイク一人旅は、北陸に行こうと去年から決めていた。
富山の「雨晴海岸」というところから、海越しに立山連峰を見ることができるという話を聞いていたからだ。
それを知ったからには、見たいじゃないか!

この風景を見るには、かなりの好条件が必要なので、ダメもとの構えでいたほうがいいということだった。
「ま、私はこういう運は持ってるから、大丈夫でしょ」
などと、軽く考えて計画したのだが……私が早々に連休を入れ、2泊3日で計画した旅行の日は、よりによって大雨予報。
おバイク一人旅ができるかどうかさえ、怪しい状況だった。

ところで、別記事で書いたが、私は2021年の秋から2022年の春まで、かなり時間をかけて本つくりをしていた。
ツーリングも我慢して。
そのため、本が一段落したこの旅の直前、私は深刻な「おバイク欠乏症」に陥っていたのだ。

二転三転する天気予報にブチ切れ、
「うぎゃぉぉぉ、あたしゃバイクで富山行きたいんじゃあ、大雨なんて降らせやがったら、末代まで呪っちゃるぅぅぅぅぅ!」
と夜中に大暴れしたのが、確か5/10だったと思う。
その甲斐あって、旅をする3日間の天気予報は、一日中降るのは2日目だけということになった。
それでは、雨晴海岸の絶景は望めない。しかし、代わりに稲妻のごとき名案が私の頭に閃いた。
「それなら、金沢観光しちゃえばいいじゃん!」
この発想に気を良くした私は、5月12日の朝、ガレージで補充電をした愛機にまたがり、予定通り旅に出た。

◇◆◇

福島県内を高速ワープするべく磐越道に乗り、愛機の鼓動に心地良く浸りながら、新潟県境まで走った。
高速を降りたのは、県境を越えた最初のインター、津川IC。ここから、R49沿いの「道の駅みかわ」へ立ち寄った。

初めてのおバイク一人旅でこの駅を通りかかったときは、すぐそばに大きめの道の駅があることと、道の駅切符を扱っていないことから、素通りしていた。
しかし、現在は切符の販売があるので、寄ることにしたのだ。
無事に切符とお饅頭を買い、愛機の前に座り込んで休憩していると、何やら「日本一の巨木・300m」の表示を発見。
これは、寄ってみるしかないでしょと、その木に会いに行った。

日本一の巨木というのは「将軍杉」だった。
樹齢、1400年。西暦が3桁の頃から生きている杉。
どんなふうに、その長い時間を過ごしているのだろう。

私のスマートフォンでは、1枚の写真にその姿を納められなかったほど、大きな杉だった。
大木の近くにいると、独特の穏やかな雰囲気に包まれるものだが、この杉の周りには神々しさも同時に漂っていた。

◇◆◇

将軍杉にパワーをもらった私は、再び愛機と走り出し、R49から「馬下まおろし」という立体交差点を通って、R290へ進路を変えた。
緑色の橋を渡って阿賀野川を越え、田んぼの中をひたすら走り続けると、やがて越後路は山間へと入っていく。

通り道の一枚

久し振りの遠出で、愛機は軽やかにエンジンを回し、すこぶる楽しそうだった。
気持ちよく走り続け、やがて人面峠という緩い峠を越えて、長岡市にある「道の駅R290とちお」に到着。
とてもおなかが空いていたし、栃尾には有名な名産品があることから、ここで昼食にした。

栃尾名物といえば、油揚げ。
ライダーの必携地図、ツーリングマップルにも「油揚焼&油揚煮定食」とメモ書きがあるほどだ。
これは、どちらも食べ逃すわけにはいかない。
幸いなことに、道の駅みかわで食べたお饅頭は、とっくに消化済みだった。

油揚煮定食。
油揚焼は、単品で追加。

うんめぇぇぇぇぇ!
油揚煮は薄味で、変な甘さもなく、大豆のやさしい味わい。
一方、油揚焼きは、ストレートな油揚げの美味しさが直球で広がってくる。
両方食べて正解と、大満足で昼食を終えた。
ありがとう、栃尾。

◇◆◇

栃尾からはナビの力(音声のみ)を借りて、長岡北スマートICまで走り、北陸道に乗った。
ここからは、富山県の小杉ICまで高速ワープし、宿泊先を目指す。
北陸道は、初めてのおバイク一人旅でも走ったが、あの頃は周りの景色を見る余裕もなく、愛機の背中で必死になっていた。
けれど今回は「こんな工場があったんだ」「面白い看板がある」など、目に飛び込んでくる風景を楽しみながら、リラックスして走ることができた。
少しは、ライダーとして進化していたらしい。

糸魚川市の手前辺りで、ぽつぽつと雨が降ってきた。
幸い、この辺りはトンネルが断続的に続く期間なので、多少の雨は気にならない。
一応、最初に現れた越中境PAによって合羽を着たが、次のトンネルを抜けた頃には雨が上がっていた。

富山県の入善にゅうぜんPAからは、立山連峰がよく見える。
曇り空なのでどうかな、と思いつつ立ち寄ると、お目当ての景色はちゃんと私を待っていてくれた。

体感気温が低かったので、合羽がちょうどいい防寒具になった、と気を良くして走り続け、有磯海ありそうみSAに到着した。
ところで私は前回、ガス欠寸前で有磯海SAに滑り込み、ようやく給油できたという苦い思い出を持っている。
すっかり長距離ライダーと化した今では、そんなミスをすることは殆どないが、あの時は高速道路で止まったらと身も凍る思いだった。
もちろん、今回は余裕をもっての休憩。
何か甘いものが食べたいなと、お店を物色していると、素晴らしいソフトクリームが目に飛び込んできた。

富山塩ブラックソフトクリーム(だったかな)、700円也。
竹炭で黒くしたチョコソフトに、金粉があしらわれたフォトジェニックな一品は、濃厚で素晴らしく美味しかった。
平時なら絶対に買わない、高額ソフトクリームに手を出せるほどの解放感は、旅の楽しみのひとつだと思う。

◇◆◇

さらに北陸道を走り、小杉ICで降りて、無事にこの日の宿・ロイヤルホテル富山砺波に到着した。
バイク置き場をフロントに尋ねると、ホテルのご厚意で、入口の軒下に止めさせていただけることになった。
広々としたホテルのロビーは、地元にある光岡自動車の車が飾られ、とてもゴージャスな雰囲気だ。もっとも、私は貯めておいた楽天ポイントを使って、ほぼ無料で泊まったのだけれど。

楽しみにしていた夕食は、こちらもまたゴージャスだった。

富山名物はホタルイカの沖漬けとしゃぶしゃぶ、白えびの炊き込みご飯。
ホタルイカは初めて食べたが、美味しさにびっくりだった。
(すべてのお料理がとても美味しかったのは、言うまでもない)
富山ブラックラーメンのイメージから、味付けが濃いのかと思っていたけれど、富山でいただいたお料理は、むしろ私好みの薄味だった。

思えば、初めてのおバイク一人旅で北陸を訪れた時は、緊張していたせいか、食事がほとんど喉を通らなかった。
あの時は、おにぎりやソフトクリームで命をつないだ記憶がある。
それが今では、どこへ行っても、しっかりと食事やおやつを楽しんでいるのだから、我ながら逞しくなったものだと思う。

※2日目はこちら↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?