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おバイク一人旅~富山県砺波市→南砺市→金沢・高岡観光(2日目)2022.5.13

1日目はこちら

富山へのおバイク一人旅のうち、2日目は雨だと、前々から天気予報が断言していた。
3日目には帰路につく予定なので、お目当ての雨晴海岸へ行けるのは、この日だけ。タイヤを向けたとしても、見たかった景色は到底望めない状況だ。
けれど「雨晴海岸が駄目なら金沢観光じゃ!」と、うまく目的をすり替えていた私は、雨でも槍でも何でも降れやと上機嫌だった。

目覚めてすぐ、10階の部屋から外を見下ろすと、砺波となみは霧に包まれていた。
バイクを動かさなければならないので、真っ先に路面状態を心配したが、幸いにも完全なドライだった。
この日は事前に、予約している旅館にお願いして、朝からバイクを置かせてもらえることになっていた。

◇◆◇

朝食後にバイクのカバーを外し、シートバッグを積みなおして、南砺なんと市にある宿へと移動した。
朝の県道を約20km、30分ほど走って辿り着いたのは、川のすぐそばにある年季の入った旅館。
この日のバイク移動はこれだけで、あとは公共の交通機関を使うという、私には珍しい観光の一日となる。まだ雨の気配はなかったが、いつ降り出してもおかしくないということで、愛機にカバーをかけてから駅に向かって歩き出した。
まずは、福光ふくみつ駅からJR城端じょうはな線に乗り、砺波駅で下車。知らない街で、知らない電車に乗ること自体が新鮮に感じられ、ツーリングとはまた違う刺激が楽しかった。

街灯のチューリップモチーフが、いかにも富山

砺波からはバスに乗り、一気に石川県金沢市へ向かった。
(路線バスだとばかり思っていたら、高速バスでびっくり)
金沢に行ったことがある方から「金沢21世紀美術館が素敵だよ、特にプールを下から眺められるのがすごいの!」と聞いていたので、まずはそこに行こうと、兼六園の近くでバスを降りた。

私は青看板が大好物
通り過ぎただけの兼六園

金沢きっての観光地では、平日といえども、団体客や修学旅行生の姿が目立っていた。
一週間前のGWは、さぞかし賑やかだっただろう。
兼六園を通り、少しだけ迷いながら、お目当ての美術館へとたどり着いた……ところまでは良かった。

観光サイトで見かけたオブジェの実物
企画展は少しだけ撮影OK

あくまで、個人的な好みの問題なので、申し訳ないのだけれど。
お目当ての「レアンドロのプール」の地下には改修で行けず、有料で開催されていたふたつの企画展は、どちらも意味がわからなかった。
つまり、私にはまったく合わなかったのだ。
(合う方にはたまらなく楽しい企画展なのだろうと思う)
ここで空より先に、私の心に雨が降り出した。
結局、美術館には30分ほどしか滞在しなかったと記憶している。

◇◆◇

どうしよう、次はどこへ行こう……と、スマートフォンで近くの観光地を検索すると「ひがし茶屋街」がヒットした。
割烹や町家カフェ、伝統工芸品のお店が並んだ、和の情緒あふれる街並みを見られる場所だという。
HPが生存限界すれすれまで下がっていた私は、ひがし茶屋街まで歩く気力もなく、タクシーで行くことにした。

幸い、タクシーの運転手さんは、距離の近さにも機嫌を損ねることなく「このお洒落な建物、裁判所ですよ」「昔は路面電車が走っていたから、ここは車庫前って呼ばれてるんです」などと、街について説明してくださった。
そして、思い付きで辿り着いたひがし茶屋街は。

……最高!!!!!
得も言われぬ素敵な風景に、下がり切ったHPが、秒速でフルゲージまで満たされた。
まるで古い日本映画に出てきそうな、和風の趣ある建物が並んで、いかにも古都といった佇まいの街並み。
こんな空間が、世の中にあったなんて。
歩いているだけで気分は女優だった。

せっかくなので、素敵な高級和カフェで、大好物のいちご大福とお抹茶を。
いやはや、これぞ贅の極み。とっても美味しく、嬉しい時間だった。

エネルギーを充填したところで、ひがし茶屋街のセレクトショップを覗いて回ると、さすがは金沢、金箔を使ったお土産や工芸品が目を引いた。
和布でできた、ふわふわしたピアスが欲しかったが、バイクのバッグに入れると潰れそうで泣く泣く断念。
代わりに金箔が入ったあぶらとり紙や、金粉を使ったコーヒーなど、同僚や友人への良い金沢土産を買うことができた。

ひがし茶屋街を出る前に、名残惜しさからもう1件、和カフェへ寄ることに。
このきんつばは、びっくりするほど美味しかった。

◇◆◇

エネルギーもご機嫌も満タンになった私は、ひがし茶屋街から金沢駅まで、散歩をしてみることにした。
次に乗る電車は決まっていたのだけれど、その時間には十分、間に合いそうだった。

なにやらジャパネスクな橋
渡ってみると……
「鏡花のみち」が。金沢の方だったのね
つつじの香りに誘われて、入ってみたのは……
「彦三緑地」という場所
シュールな看板のレコード屋さん
駅に近づくと、趣のある商店街が登場
私の友人Uちゃんが、絶対に好きな看板
フォトジェニックな酒屋さん

私はもともと歩くのが好きだが、この金沢散歩は格別の楽しさだった。
いかにも「日本を歩いている」という雰囲気に、足取りが軽くなる。
疲れも感じず、金沢駅に到着した。

「金沢駅ってすごいんだよ」とは聞いていたけれど、実際に行ってみると、それはそれは素晴らしい門構えだった。

◇◆◇

金沢観光を早く切り上げた私は、ここからIRいしかわ鉄道→あいの風とやま鉄道(乗換不要)に乗り、富山県高岡市へ向かった。
この街に、どうしても寄りたい場所があったから。

高岡市美術館の2階にある「藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」。
ドラえもんの生みの親、藤子・F・不二雄先生は、高岡市のご出身なのだ。
バイクでは来にくい場所に思えたので、雨予報を幸いと感じた。

どこでもドアをくぐって、中へ入る。
(美術館内は撮影禁止のため、残念ながら写真は撮れなかった)
生い立ちをまとめた動画から始まった、先生のやさしい世界に、私はすぐ夢中になり、時を忘れた。

その世界では、デビュー前に藤子不二雄A先生と作った作品、漫画家初期の作品など、貴重な品々を見ることができた。
先生のトレードマークだったベレー帽や、漫画を描いていたペンなども展示されていて、感動のあまり目の奥が熱くなった。
また、原画展「時間旅行~過去・未来~」という企画展もあり、吹き出しが修正された原画など、素晴らしい宝物を目の当たりにして、思わず読み込んでしまった。

ギャラリーの最後では、ドラえもん以外に、パーマンや21エモン、チンプイなど、藤子・F・不二雄先生のキャラクターが勢ぞろいしたアニメ「月面レースで大ピンチ!?」を上映していた。
自分の利益より、他人を大切にすることで、大きな危機を乗り越えることができたという深い物語。
ドラえもんを見ると、いつでも子供の頃に戻ってしまう。

◇◆◇

ミュージアムを出ると、小雨が降っていた。
いつ雨になってもおかしくない空模様だったのに、観光が終わるまで、よく降らずに待ってくれたものだと思う。
用意していた折り畳み傘を広げ、藤子・F・不二雄先生が実際に暮らした地を、高岡駅まで歩いてみた。

大きな公園の中に、先生が子供時代、よく過ごしたという裏山がある

駅前には、こんなオブジェも。

ドラえもんよ、永遠なれ。

◇◆◇

高岡から福光まで再び城端線に乗り、お宿に戻ると、待望の夕食となった。
この旅館は、お料理が美味しいと評判なのだ。

部屋食にしてくださるとのことで、一人のんびりと味わったお食事は、どれも味付けが濃すぎず、噂にたがわぬ美味しさだった。
富山名物のホタルイカを、私はこの旅で初めて食べたのだが、これは本当におすすめ。

◇◆◇

お風呂を済ませて部屋に戻ると、雨音がかなり大きくなっていた。
明日は帰るけれど、天気予報では昼前まで雨とのことなので、様子を見ながら時間をずらそうと考えつつ布団にもぐりこんだ。
しかし、普段は寝つきの良い私が、雨音のせいか、翌日の路面が気になるせいか、なかなか眠れなかった。

そして、あるハプニングが、この日の深夜に待ち構えていた……。

3日目はこちら↓




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