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伊佐 知美
2017年3月22日 23:50
その日の朝、目が覚めるとリヤドの中庭から、カチャカチャ、という食器の鳴る音がした。ナビルがミントティーを淹れて、オムレツを焼きながら私が階下へ行くのを待っている。彼は私がすこし疲れているのを、言葉が通じないのになんだか分かっていてくれる気がした。初めてモロッコで目を覚ましたあの日、私はアザーンというお祈りの声を、暗がりの中でひとり耳をそばだてて聞くことになる。モロッコへ来て1週間ほどが経つ