見出し画像

おさんぽライター、フィールドワークの視点が多すぎてなかなか前進できない話

「Web記事を書くこと/ひと」にまつわるアドベントカレンダー向けの投稿です。他人があげたハードルを全力でさげにいく姿勢で書きます。

1、商業的なにおいがするライター、しないライター

 お散歩ライター、おでかけライター、スポットライター、ガイドライターなど、「外出」にまつわる書き手っていっぱいいますよね。はじめにいうとわたし、商業的なにおいがまったくしないひとです。

 Webライティングで稼ぐ方法とか、仕事やアポの取りかた、ポートフォリオの作りかたとか最新のSEO知識、Webと紙の編集ノウハウみたいな有益な情報については一切ふれず、ひたすら、「さんぽの横歩きがたのしい件」について述べます。ああ、サンポー(ジモトぶらぶらマガジン)のひとだなあってかんじがでていたら本望かも。

 ちなみに、これが1つの「ふるい」だったりします。

 ふつう、ライターや編集者は読者のページ離脱(つまんなかったり、めんどくさくなったりして、そのページからいなくなること)を極力なくそうと努力するじゃないですか。読まれたさ、共感されたさ、バズりたさが前のめりになっている。
 わたしの場合、その気配がない。ほんとうにないです。なんだったんだと言いたくなるかもしれない。でも、それでいいんじゃね?というスタンス。もっともにがてな言葉のひとつが「訴求力」なので、もうなにも求められたくないひとがダラッとながめてくれたら、それでじゅうぶんなのです。

 書くにあたっての希望がほしいライターはこれ以前に離脱してるし、
 読むにあたっての興奮がほしい読者もこれ以前に離脱してる
 ひどいnoteだな!

 「もうちょいなんかあるだろう」とかおもって残留してしまっているひとは、以下のフックのなさで撃沈してください。わたしはどんどんあなたがたをハジきにいきます!

2、お散歩メディアが短歌の使い手とグルになった日

画像1

 サンポー」(ジモトぶらぶら散歩マガジン)TANKANESS」(短歌のすみっこを伝えるWebマガジン)で一緒になって企画をした日があったんですよ。12時30分、JR神田駅に集合だけ知らされていて、メンバーの顔ぶれがまったく分からない。具体的になにをやるのかも知らない。

 ただ、「サンポー」からヤスノリさん、「TANKANESS」からなべとびすこさんが参加することは判明していたけども。とりあえず、Twitterの雰囲気でふたりのイメージを刷り込みにいきます、どうぞ。

 約束の待ち合わせ時刻より60分も早く到着してしまったのに、外は大雨。冷え込みのひどい日で、なん~の予定もない。なにをしていたかというと、ひたすら神田駅のなかをあるいてました。

 あとで、ヤスノリさんから「どこあるいてたんですか?」って訊かれたんですよ。「ずっと街歩きしてました」ってわたしが言ったから。ふつうならば神田駅の周辺をくまなく散策したのかなっておもいますよね。でも、「駅をでてないです」と言って黙らせてしまった。60分も。

 たぶん、「神田駅を観察してました」って返しても微妙に空気を凍らせた気がする。区分としては監視に近いことやってたんだけど、やべぇ奴なのがバレるのでそのニュアンスは控えました。

 なにをしとんねんとじぶんでもおもう。ただ、そういう「なに言ってんだこいつは?」という他人からのクエスチョンな目線が心地よくもある。ドMです。でも、じっさいどうしていたかちょっと補足しますね。

3、JR神田駅から浅草駅にいきたがる外国人の数は?

画像2

 はー、浅草(Asakusa)浅草寺(Sensoji)にある「雷門」見たさに、「Do ko ikeba iidesu ka?」って質問する外国人がむちゃくちゃおるのかな?

 っていうか、<浅草>って同じ文字が2回書いてあるのに読み仮名がまったくちがうのほんと理解に苦しむだろうな、外国のひと。日本人のわたしでもよくわかってない。じぶん、小学校の国語からやり直すべきでは?タイム風呂敷どこだよ?……とか、ぼーっと考えてまして。JR神田駅からの地理的な近さとか、アクセスのよさがどうなっているかは置いといて(迷子脳なのでそこを力説されても困るし)。

 じっさいは、

 待ち時間の半分以上を、あのポスターを参考にするひと、駅員にたずねるひと、気にかけてチラ見するひとがどれくらいいるのか眺めることに費やしていたんです。

 ……そう、ひまだったんですよね。退屈でもあった。さむいからこれ以上ソトにでたくもない。好奇心を向ける先がこじれてたなあと。で、サンポーのヤスノリさんにそれを説明する勇気もなかった。そんなの具体的にされても困ったとおもうけど。

 わたしのおさんぽライターとしての視点がこんなふうなので、歩数は稼ぐんだけどフィールドがたいして広がっていかないんですよね。なんかもう、店より道端をみてしまうので、広告主を満足させるみたいな商業的な活動に向いてないかんじ。

 ちなみに、これの答えを知りたいひとは土曜の午後30分ここでねばってみてください。うずくまっていたひとがいきなり吐きだして駅員さんが清掃する姿に「それも仕事なのね」と感心したり、駅の多目的トイレのアラームが鳴りだしてその瞬間だけは現場を離れて「なんか中の人やばそうです!」って駅員さんに伝えることになったり、冷えがツラすぎてトイレかけこんではホット珈琲を飲みほすというマッチポンプ活動をしてしまったりと、おもったよりいろんなことがおきるので案外ひまではなくなり、「しっかりカウントできない」という事態に陥ります(実話)。

 もうさ、ここに至るまでの「なんの話をしているんだ?」感が濃すぎて、アタマにはいってこないですよね。もうだいぶ読者の生き残りが少なくなってるはず。離脱、させにいきます。

4、輪っかの中に入っていたものを本気で探しだす

画像3

 いきなり飛びます。

 「サンポー」と「TANKANESS」のWebメディア合同企画をしている最中だけ、わざと写真を撮らないようにしていました。アーッ、なんだよこれ!と抑えきれなくなったものに限って撮影OK、という妙なしばりであるいて、データに残ったのがこれ。

 noteのタイトルを『おさんぽライター、フィールドワークの視点が多すぎてなかなか前進できない話』とした理由が凝縮されてます。

 ①木の生えかたが気になる
 ②乗り捨てられた自転車がかっこいい
 ③看板の中身がとれて死んでる
 ④なんとなく青春をかんじる
 ⑤幽霊がいそう、でそう
 ⑥じつはまだ誰かの私物(現役)感ある
 ⑦木の股からなにかがうまれそう
 ⑧看板の中身がなくても生きてる
 ⑨うしろ何のっけてたんだ、このチャリンコ
 ⑩ここ掘れワンワンかな?

 ……など、目に映ったビジュアルから大量のどうでもいい雑念が浮かび、とりあえずパシャパシャ保存しておきたくなるんですよね。これがどこにいても始まるのでソロ以外であるくときは撮影を封印するか、特定条件下のみOKとかにしておかないと、まわりの歩調には まず合わせられなくなる

 ちなみに、サンポーのヤスノリさんはこの日、企画の執筆者なのもあり、わたしのけなげな衝動抑制術などつゆ知らずあっちこっちにカメラのレンズを向けていました。ぜんぜん先に進みません。さすがです。再び、ヤスノリさんのイメージを載せておきますね。なにをしているのか気になったら飛んでみてください。離脱のチャンスです。

 それにしても、先ほどの写真の「輪っか」の中身は、どこにあるのか?
 じつはすでに答えをだしてあります。このnoteのサムネイル画像にゴー!つまりいっちゃんはじめです、ああっ!戻るのだるい!


 ははっ、きみはもう離脱している。

5、他人のフィールドワークにのっかる体質

 これも、しばりを乗り越えておもわず撮ってしまったモノ。

 Twitterのハッシュタグで「 #標しくぃ 」というのがあるんですよ。わたしはこういう「他人のフィールドワーク」に便乗するのがスキで、頼まれなくてもカジュアルにのっかります。説明を引用すると、

支柱(ポール)が“くぃ”っと曲がったセクシーな道路標識やカーブミラーを「標しくぃ」と勝手に呼び、観賞・収集・報告・連絡・相談などしています。グッとくる標しくぃがありましたら #標しくぃ で教えてください。路上観察家。

 同じ調子で、Twitterには「#街角狸」というハッシュタグもありサンポーではネタ記事を書いたことも。合同企画の際、「このあたりは店頭にタヌキがいないな……」とかボヤいていたら「ああそっかタヌキ集めてるもんね」って反応されてわらっちゃいました。ちゃんと、コレクター的な位置付けて認識されてるんだな、と。

 じぶんのかんじる「おもしろ目線」だけでなく、他人の「こだわり目線」もホイホイ加えちゃう。どこかあそびに行こうよ!って話になったときに、この体質を理解してくれるひとじゃないと心の底からゆかいになれない……という地獄を生きております。わたしにとって路上観察におけるスルーは、罪であり罰ッ!

6、ここまで全文を読んだひとに告ぐ

画像4

 この風景のおもしろさがわかったら、つきあってください(さんぽに)。