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何曜日に生まれたの 漫画家黒目ジョージについて

ヘッドの画像は「何曜日に生まれたの」のすいの父親である黒目ジョージが書いたサインである。
メタ構造的なのだが、漫画家黒目ジョージは「何曜日に生まれたの」をドラマの中で描いている。原作は公文竜炎だ。
しかしモデルは自分の子供だ。



私は漫画家をめざしていたので、出版業界に原稿を持ち込み編集部の人達と話した事がある…
自慢にとられるのは必至かもしれないが、漫画家さんたちとも交流があったり、一緒に画廊で展示なんかもした日々もありました…
漫画が雑誌に載った事があるが自分を成功者とは思っていない。
なのに偉そうな事を言うのを許して欲しい。

第1回目、黒目は編集長来栖から散々の言われようだった。
「もうあなた駄目じゃない?
だけど売れっ子作家とコラボをしたら仕事を差し上げる」
話し合いの結果、黒目はその様に押し付けられた。
漫画家で原作付きの人は多い。
しかし、来栖久美という美貌を持った編集長の前でひたすら
「はい!はい!がんばります!」
という態度の黒目丈治。
見ていて目頭が熱くなる。
「何年もずっと漫画を描いていて、最後にこれか?
売れっこと組めば良いよ〜って、それで何も思わないのか?しかもあの…態度はなにごと…」

自分は本当に偉そうである。


だが、新人漫画家でまだこれからという時にその話が来たらチャンスとばかりに話にのるだろうが
何十年も漫画家をやっていて、ついには自分よりふた周りくらい下の編集長に
「あなた古くて駄目だから
人気のラノベ作家とコラボして」と言われて
「がんばります!」
は、しんどいものを見た気がした…

編集部側だってよく考えたら今までラノベの表紙を描いているイラストレーターに頼むか、それに近い絵を描ける人を絶対に推すと思うので目的は違うところにあると思います。
不自然さを感じますね?


公文竜炎が書いたラノベ小説の表紙…(今よく確認したらドラマ劇中の黒目が描いたという漫画と同じ人が描いたのか?…体の描き方がなんか……顔の描き方も黒目ジョージっぽいっ?……)



黒目丈治はさらに
「娘を描くのが良い」
と提案される。
「しかし…娘は…」
と躊躇はしたが、案外すいはすんなりOKをした。
なにしろあの公文竜炎とのコラボなんだもの
黒目も、「それじゃあ」という事で漫画を本格的に描くことにした。


 黒目ジョージの描く漫画。これはラフ画だが、黒目ジョージのタッチはこういう少女漫画風。別に悪い訳じゃ無いがラノベ小説とは違うタッチだ。ドラマでは黒目ジョージのラフ画で話が終わるので実は毎回ホンワカした終わり方になる。これはこれで良いのですが、女性雑誌向き?

売れっ子と組んで売れるというのは、すべての漫画家の夢なのだろうか?しかも題材は愛する娘だ。
次々と娘の傷を公文竜炎は無理やりこじ開ける。
それを父親が、漫画で現す事になる。
それが今回の黒目ジョージのお仕事。

公文竜炎の大ヒット作は妹をモデルにして書いた小説「1000回死にたがる彼女を救う」
というもので、次に必要なのはすい。
すいの存在は前から知っていたので、黒目ジョージと組むという事は、
必然的にすいの情報を手に入れやすいという事だ。

黒目ジョージより必要なのはすいの物語。


初めの頃の公文竜炎の気持ちはそんなものだったと思う。書き手というものはいつでも美味しそうな素材を探している餓鬼のような存在だと私はつねづね考えている(“ミステリと言う毋れ”かい)

*前回、「自分の事を書かれた」と勝手に思い込む人間がいると書きました…
SNSやtik tokでもそうなんですが、実は誰かの素材にされてるなんて不思議じゃない世界なんですよね。
本人には了解を得なくても書き手は勝手に書く。
そして知らないうちに、誰かの物語の登場人物になっている事はあります。
素材をどの様に見せるか、それは発表する側の趣味で変わったりする。そして、いちいち自分に似てると怒っても無駄だったりする。
だが特定しすぎると訴訟なんて事にもなる。

プライバシーが無くなった“すい”

すいには内緒にして、すいのカバンに盗聴器をしかけてそれをみんな(来栖久美 来栖芽衣 黒目丈治)で聞いて吟味する。

何なんだろうこの異常な空間は?と思った。

トイレで何時間も籠もって、結局10年ぶりの同窓会に出れなかった事も全てこの連中は知っている。

ゾッとするものがあった。
すいに対する同級生の態度も許しがたいものがあったが、肉親もいるのだが四六時中盗聴をされていてプライバシーを覗かれている
いくら原作に使って良いと言っても
そんな事をして良いとは言っていないじゃん。
と私は思った。

 「もう、良い!お金はいらない!こんな事は人道的におかしいからやめて下さい!娘が可哀想です。聞かないで。まな板に乗せないで。痛々しいんだよ!オレ漫画家辞める」
と父親はひとことも言わないんですよね。
愛する娘の泣いたり苦しんだり焦ったりする様子なんかをみんなでずっと聞いてるのを、親がたえられるのか?

――――――――――――――――――――
実は現実的にいじめられた子供は親に何か聞かれても何も言わない。黙ってそのまま自タヒをする者がほとんどだ。タヒ後に日記なりメモなりを親が見つけて始めて
「あの子は暗くなっていたけど、こんな事があったの?」
という事になる。
(子供のスマホやパソコンで簡単に回答を探れる親なら
それで分かるかもしれませんが)

いじめられっ子にはプライドが無いかと言えば、あるに決まっている。
「お前なんかタヒね!」
とクラス中から言われたと親に言えるいじめられっ子はいるのだろうか?
私は言える子をあまりというか、ほとんど知らない。
自分のためというか、親を泣かせたり心配させたくないのが大きいかもしれませんね…
自分が、タヒぬほどつらい思いをしているのにそれを身内に教えたら同じ衝撃があるに決まっている。

これは親側の方も、会社内で何かあっても身内に言わずに自タヒの方を選ぶのと同じだ。

いじめられる側はそうやって自分だけで抱え込むパターンが多い。
――――――――――――――――――――

話は少し離れたが、すいはそれに近かった。

すいは高校生の時に男友達のバイクに乗って海に行き
帰りに事故にあい、すいは大丈夫だったが
誰からも期待をされていた、エースである男の子(バイクの運転をしていた)はサッカーの栄光の道を絶たれた。
それを学校中の生徒が知っていてすいをジロジロと見る。変な事も当然言われる。
そして友達からも冷たい事を言われた。

全て私のせい…

そういう追い込まれ方をして
すいは人生を進むのをやめた。
普通であったら、自タヒに突入だろう。
だが
すいはゲームと公文竜炎の本に救われた。
公文竜炎の作品はきっと、傷ついてつらい気持ちを抱えた者たちがもがき苦しみそれでも生きるという内容だったと推測をする。
そういう作家は、熱狂的なファンがついたりする。
今回のターゲットは黒目すいだ。
公文竜炎にとっては得意分野のモデルケースだ。

そこに父親は参加をしていた。
養うためとはいえ、よく引き受けるよなと思った。
今までの漫画はきっとそんなんじゃなくて
黒目ジョージが何を描いていたかを推測すると
優しい絵柄に優しいストーリー
今では人気の出ない…当たり障りのない話しを描いていたのだと思う。
それなのにいきなり自分の娘の傷をえぐる漫画ですものね。

しかし、漫画を描き終わる頃にはすいは自分を見つめ直し自分の人生を歩める事になったのだが…

ただの父親じゃなくて、自分の子供をお金のために作品にした黒目丈治だったが
物語的には劇的なシーンがあったが良い方向に行った。
それは良かったね…
と思うが、今ひとつ漫画家としての黒目ジョージに色々言いたくなるのだ。
「黒目さん、これ以降の漫画って描けるんですか?
公文竜炎とセットじゃないと認められないんじゃないですか?」
とか。「何曜日に生まれたの」という漫画がロングセラーになったらもう漫画を描かなくても印税が自動的に入るので食べられますけれどね…

私はどういうわけだか黒目ジョージにわだかまりがあるのです。
多分そこまで考える人間はいないと思いますよ。
公文竜炎も黒目丈治と同じなんですけどね
自分を題材に書くなら、まだましだとは思う…

ただ、黒目丈治は優しい人です。
優しいけれど娘をだましていた。

娘が何をも許す神のような子でよかったね…

父親に似たのかな。


↓ネタバレ注意


noteだけを読みこのドラマをこれからも観ない人がいると、すいが可哀想なのですいのために真実を書きます。(実際にいる人間をかばうみたいな書き方ですね)

すいはサッカー部のマネージャーで、いつもサッカー選手の事を考えていたが、ある日雨宮から告白したいと言われてふたりで海に行きました。
その海岸はサッカー部にとっては特別な場所だった。
なので友達も勝手に誤解をしていたのだろう。
雨宮の告白というのは…
やはりそれはここでは書かないが、すいのせいでは無い。

サッカー部のマネージャーが選手とバイクに乗って事故にあった。
選手はサッカーが一生出来ない身体になった。

その事実を言われれば、すいはタヒななきゃいけないほどに追い詰められる立場だったのかもしれないが…

もし、すいが何故そこに行ったのか詳しく誰かに言ったり
言い訳をしたら雨宮の秘密をばらす事になるので10年ずっと誰にも悩みを打ち明けたり、言い訳をしなかったんです。
すいは…そういう主人公です。


今、第1回目をもう1度視聴しました。すいちゃんは、道を歩く時に人が来ると顔をその人とは逆のほうを向いてなるべく人と顔を合わせたくなさそう。
家に帰ると笑顔が戻るが…パニック発作も、そういえば最初の頃はふとした拍子に起こっていた。
10年間すいはコモリビト(引きこもり)だったので、確か28歳なのだが態度も心も高校生のままだったりする。
父親のオロオロ加減もまた観ていると…
父親も苦しんではいると思いました。
それに比べて最終回は…ああなったから
本当に良かった。
パニック発作も無くなったようで…
本当にそんなにうまく病気が治るのか分からないが

「何曜日に生まれたの」
ありがとう…

(私がnoteでこんなに行数を使って書けるドラマには、それだけでもありがとうなのです)

✳加筆修正致しました。

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