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風俗嬢に人生を救われた話

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そのまんまです。 人生をどう躓いて、どう足掻いて、どんな迷惑をかけてしまって、どう救ってもらったのか。 あれこれ綴っていきます。
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#吉原

風俗嬢に人生を救われた話(終)

風俗嬢に人生を救われた話(終)

<無二>

それからもAさんの下へは、月1回程度のペースで通った。
スケジュールと予算の関係で、それ以上の登楼は難しかった。しかしおよそ月1で訪れる「心身の洗浄」が、公私に渡ってどれほど自分を助けてくれたことか。今年の春先以降の充実ぶりは、過去に例を見ないものだった。刹那的・擬似的な関係であっても、ある種のアゲマンと言えるのかもしれない。

面白いもので、ある特定の相手と関係を続けていると、自分の

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風俗嬢に人生を救われた話(14)

風俗嬢に人生を救われた話(14)

<最低>

『正直ならいいってもんじゃねえんだ。わかるか?』

……?

『嘘吐きはな。優しいから、嘘を吐くんだよ。
相手の笑顔の裏で、自分が何倍も傷付くことを受け入れられるのが、本当の嘘吐きなんだ。
相手のために嘘を吐くか、自分のために嘘を重ねるかの違いだ。自分のために嘘を吐き続ける奴は、ただの自分勝手だ』

……、……

『そうだなぁ。勿論、嘘を吐くのは、本当は良くないことだ。嘘を吐かないでみ

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風俗嬢に人生を救われた話(13)

風俗嬢に人生を救われた話(13)

<魔眼>

「そうだったんだぁ~……それで不安になって、お店まで来ちゃったの?」

ほえ~という表情で、Aさんは言った。驚いているようにも、呆れているようにも見えた。

部屋に入るなり、来訪の理由を話し、非礼を詫びた。自分の思考がぐちゃぐちゃになり、言い知れぬ不安を感じ、急な来店に繋がったことの説明をした。
本来なら、およそ2ヶ月ぶりの上京ともなれば、
「新しい門出を祝って!」
のように、あくまで

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風俗嬢に人生を救われた話(12)

風俗嬢に人生を救われた話(12)

<休息>

「会わないまま見失えば、必ず後悔する」

その一念に突き動かされ、Aさんに出会った年末。
本人との交接には失敗したものの、抱えていた問題の認識、消化に成功したことで、ようやく平穏な生活を取り戻すことができた。

宣言通り実家に戻った後も、Aさんはちょこちょこと日記を更新し続けていた。
元々、彼女の日記の大ファンであったこともあり、交換してもらったLINEで感想を送ると、気まぐれに(とい

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風俗嬢に人生を救われた話(11)

風俗嬢に人生を救われた話(11)

<選択>

「ベッドにする? それとも、マットにする?」

事の用意を始めた矢先、Aさんはそう尋ねてきた。

これには困った。
ここでいう「マット」というのは、専用のローションとエアマット(ゴムボートのような物、と考えてもらって差し支えない)を用いた、和風俗特有のサービスである。始祖は川崎、堀之内のソープ嬢とされており、今から約50年も前(!)に開発された技術体系だという。詳細は割愛させていただく

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風俗嬢に人生を救われた話(10)

風俗嬢に人生を救われた話(10)

<腐食>

腐った水だ。
死んだ魚だ。
季節が巡り、1年が過ぎた。
それでも、自分はここにいる。同じ泥沼に嵌り続けている。

1年前、生き地獄を味わった。
結婚を前提に交際していた相手に振られ、仕事でも致命的な失策を犯した。罪の意識に苛まれた末、女性に慣れる為、交接の作法を学ぶべく、全てのしがらみを振り切って、ソープ通いを始めた。

コンパニオン達からは、怪訝な顔をされた。1万2万と金を支払っても

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風俗嬢に人生を救われた話(9)

風俗嬢に人生を救われた話(9)

<無音>

10月。一度も店に行かず過ごしたのは、実に10ヶ月ぶりだった。肉体的にも精神的にも、とても楽だったのは、なんとも皮肉な話だ。登楼がいかに自分の心身をすり減らしていたのか、窺い知れるというものである。
とは言え、世話になった女性達の写メ日記については、ちょこちょこと拝見していた。元気でやっているかどうかが気になったし、注目度が上がりやすいよう、ランキング等の投票には協力していたからだ。

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風俗嬢に人生を救われた話(8)

風俗嬢に人生を救われた話(8)

<潮時>

9月末の休日。いつものように、重たい体を引き摺りながら、店へ向かっていた。
それにしても、この日の重さは格別だった。

理由は単純明快だ。
決別を宣言するためである。2度と、店に来ることはないと。

きっかけは、思わぬ形で訪れた。贖罪を理由に、今後も通い続けるのは責務ではないか、と考えていたところを、別の事情で、それができなくなった。

かねてより交流があった女性の1人と、正式に交際が

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風俗嬢に人生を救われた話(7)

風俗嬢に人生を救われた話(7)

<冷笑>

約束を取り付けてから数日、何度かLINEのやり取りを繰り返した後。
一通の連絡で、状況は一変した。

「この間は思わず外で会う、なんて言っちゃいましたけど、すみません。
やっぱり、お店に来られないなんて辛すぎます」

――さもありなん、である。
当然、落ち込んだ。だが、彼女の気持ちはおおいにわかった。

ロングタイムで入るものの、行為はスローで摩擦・消耗が少なく、そのくせ月辺りで入る回

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風俗嬢に人生を救われた話(6)

風俗嬢に人生を救われた話(6)

<慕情>

彼女は一言で言うと、「つくる」のが下手な人だった。「繕う」、と言ってもよいかもしれない。

再訪は、素直に喜ばれた。聞けば、どこの店でも多かれ少なかれ、本指名が取れるとコンパニオンの取り分は増えるらしい。面識があり、尚且つ清潔で、体を乱暴に扱わない客は、安心感も大きいのだと言う。
逆に、短時間で何度も”致して”来る客は、非常に負担が大きいそうだ。いなそうにも機嫌を損ねたり、暴言を吐いて

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風俗嬢に人生を救われた話(5)

風俗嬢に人生を救われた話(5)

<課題>

4月に入った。
だいぶ場慣れし、安心して店やコンパニオンを選べるようになってきた一方で、”修練”に関しては行き詰まりを感じ始めていたのがこの頃だった。

理由はいくつかある。
1つ目は、前戯に時間をかければかけるほど、自分自身のボルテージが下がってしまうこと。これにより、指や舌の修練はともかく、ピストン動作の改善が叶わないのだ。不発のまま店を去ったケースは、少なくない状況がこれに当たる

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風俗嬢に人生を救われた話(4)

風俗嬢に人生を救われた話(4)

<系譜>

自分がソープ通いを始めて、3ヶ月ほどが過ぎた。
この頃になると、ようやく初対面の女性と相対しても、どんな流れで接客がスタートするのか、どこで自分の事情を切り出せばよいのか、相手の反応にどう切り返していくか……諸々の機微が、少しずつ掴めてくるものだ。

以下は初期に自分がお世話になった方々と、行為の是非を記録したものだ。
◎は大成功、○は成功、△は青息吐息、☓は不発だった時の記録である。

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風俗嬢に人生を救われた話(3)

風俗嬢に人生を救われた話(3)

<洗礼>

こうして始めた、吉原のソープ通い。
しかしその道程は、決して順風満帆ではなかった。

当たり前である。本来なら
「気持ち良くなるため」「己の快楽に忠実になるため」
に向かう場所に、
「見当違いな贖罪のため」「修練のため」
に向かうのだ。共通していることは、どちらも結局は自己満足であることと、金を払って体を重ねることだけである。
下戸で喘息持ち、しかもそれなりに厳格な家庭で育てられた自分

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風俗嬢に人生を救われた話(2)

風俗嬢に人生を救われた話(2)

<遊郭>

端的に言えば、吉原に救いを求めた一番の原因は、

「教えを請うのであれば、やはりその道のプロだろう」

という発想だった。信頼であり、安心である。今こうして振り返ってみると、何とも滑稽で呆れてしまうのだが、当時の自分にとっては、極めて当たり前な思考だった。

とは言え、これまで一度も風俗の利用経験が無い人間が、飛び込みで店に向かうのは、いかにも敷居が高過ぎる。
半日ほどかけて調べてみる

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