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【対談】~噛み合わないふたり~③〈閑話休題編〉

introduction…

こちらの記事は「着れる小説」の企画を立ち上げるにあたって声をかけさせていただいた、漫画家兼、イラストレーターであるスガノヨシカ(以下、スガノとする)さんにメールで質疑応答を行い、もらった返事を元に僕がまとめた対談記事もどきです。

着れる小説についてはこちらから
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読んでいただけましたかね?
それでは、はりきってどうぞ!




Q3;
メールでの対談はどうでしたか?


>スガノ

楽しかったです!
文字だけでやり取りするの、小学生の頃の文通ノートを思い出しました。

メールの好きなところは相手の時間を拘束する力が他のコミュニケーションの形態よりも弱い点と、会話においてシンキングタイムがある方が話しやすいタイプで、そういう点でもメールが持つ柔軟さや気軽さが私は好きです。

今回のお打ち合わせではかなり白熱したやりとりというか、「僕はそれは嫌です」はっきりと主張していただける機会があったとは思うのですが、対面だとはっきりと「却下!」って言い出しずらかったりするじゃないですか。

野凪さんのご要望を鮮明に伺えたのもメールだからだったのかなと思っていて、制作する上でも正解不正解も大事ですが、一方でそのデザインを好きか嫌いか、理屈でない部分が最終的には大事だと思っているので、忌憚のないご意見を頂けたときはとても助かりました!

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>野凪爽
なるほどそういった理由と経緯があったんですね。

当初、この対談僕がやっているpodcastで行えばいいなと思っていたんですよ。
ていうのは、僕はスガノさんと逆で、メールって相手の表情も声色すらもわからないじゃないですか。
僕は誰かとコミュニケーションを取る時、どうしても考え込んでしまう節があるので、文面のみだと判断材料があまりにも少なく、これについてはきっと長くなるので割愛しますがこういう性分がゆえにどうしても不安で・・・

(⇧そんな不安を喋り散らかした回です。)

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>スガノ

野凪さんはポッドキャストでメールが苦手だと仰ってましたが私は真逆で。相手の時間を拘束する力が他のコミュニケーションツールよりも弱いし、会話中にシンキングタイムがあるのってメールくらいじゃないですか?

ラインも会話みたいにポンポン言葉を返す必要があって、私にとってはちょっと馴染めないというのもあって・・・メールのアナログな懐の深さが心地いいんですよね。

また、目の前に相手がおらずじっくりと自分と対話しながら言葉を選べるから、“こう見られたいからこう発言する”みたいな虚栄の心の動きが出にくいのも好きです。

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>野凪爽
あー、あの回…聴かれましたか。
いや、そりゃそうよな。コラボ中に配信したしな・・・なんか恥ずかしいですね。

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>スガノ
もちろん業務連絡での食い違いには行き交う情報が他の手段よりもシンプルであるが故に注意しないといけませんが、この人はこう思ったんだ、自分と全然違うな!みたいな、他人性みたいなものに触れるとどうしてかワクワクするんですよね。

例えば伝言ゲームをしていて、自分の言ったことが正しいまま最後の人まで伝わるって分かりきってたらきっと楽しくないじゃないですか。

自分と違うから他人だし、それが楽しいと思う派だったので、ポッドキャストで仰っていた「他人が何を考えているか分からないのが怖い」という感覚は新鮮で面白かったです!


こんなところでも「噛み合わないふたり」の対談はまだまだつづく・・・
TO BE CONTINUED ▶︎▶︎④



ちなみに・・・3

W主人公をイメージしたプレイリスト作りました。

A side : Lukappe

【選曲について】

track.1
【OVERSTAND / Suchmos】
▶︎ ルカっぺの物語の冒頭シーンである、彼が夜空に浮かぶ一等星を見上げながらその輝きがどこか所在なさげに見えている時の感じと、何者になりたいかはわからないけど「このままではいられない」と思っている焦燥感が表れていると思ったからです。

track.2
【Nomad / Zion.T, Gen Hoshino】
▶︎ Nomadは日本語で「遊牧民」で、漂流中の彼にはぴったりだと思いました。

track.3
【Good Girls / LANY】
▶︎ とあるCMに使われててそこからこの曲知ったのですが、そのCMがストーリー調で、その物語の主人公がレストランで働いているんですよ。それがなんか脳裏にあって、ルカっぺのバイト先もレストランなので、それでって感じです。

track.4
【ソラニン / ASIAN KUNG-FU GENERATION】
▶︎ やっぱり主人公が人生の転換期を迎える時はこの曲がかかるでしょ。わかんない人は同名の漫画作品または映画を見てください。

track.5
【蘇生 / Mr.Children】
▶︎ ルカっぺが手放せないものは写真なので、歌詞の冒頭からカメラが出てくるこの曲を選びました。また、彼らの歩みも物語のラストで再び「蘇生」されますし、物語自体もネットからアパレルへと形を変え、「蘇生」されるのでそういった意味もあります。


B side : Ricochi

(※ ここからちょいネタバレ入ります。)

【選曲について】

track.1
【What Was Made For? / Bille Eilish】
▶︎ リコちの繊細さや、社会を恐れている感じを描写する時によく流していた曲です。また曲のタイトルにもなっている「私はなんのために作られた?」という問いかけは表現者にとって根源的な問題で、グラフィティライターである彼女にとってもまたそうだなと思ったのが選曲理由です。

track.2
【ミチバタ / COMA-CHI】
▶︎ これはリコちがグラフィティライターのチームに会ってる時の描写をしているときに流していました。仲間内にだけ見せる彼女のクールな顔というか、リコちって内弁慶なんです。なのでそんな彼女の弁慶的な一面を汲み取りました。

track.3
【In My Room / 宇多田ヒカル】
▶︎ 曲中にある「夢も現実も目を閉じれば同じ」という歌詞が全てで、リコちもグラフィティという行為を本気でやってはいないというか、彼女の中で描くという行為そのものが「遊びと生業」の間で揺蕩っている感じなんです。あと、宇多田ヒカルさんて、ファンの間で「ヒッキー」というあだ名で呼ばれていて、リコちもまた「ヒッキー」なのでね。

track.4
【いいんじゃない / PSG】
▶︎ これはルカっぺから見たリコちの「野良猫みたいに掴みどころがなく、軽やかな」イメージを表している気がしたので選びました。また、リコちの物語である「まだ見えぬ花」の中にはこの曲を歌うラッパーのPUNPEEのソロアルバムの中からもじった描写を、イースター・エッグ的に仕込んであるので、よかったら探してみてください。

track.5
【風を食む / ヨルシカ】
▶︎ エピローグシーンを描いてるときに流していた曲です。なんやかんやあり、山場を抜けた感じを味わいながら書きたくてずっと聴いてました。はむはむ。



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スガノヨシカ・作品小展覧会

ピラルク


腕の生えたピラルクと少女の友情?物語。
荒唐無稽さが、僕の癖ど真ん中で個人的な推しです。
あと、ピラルクがちゃんとキモくて好きです。確かチェンソーマンの作者が「クリーチャーをちゃんとクリーチャーらしく、おどろおどろしく描けるってのは間違いなく才能です」と言っていたのできっとこの人もその力があるんだと思います。いつか、喧々諤々と言い合いながら二人で漫画を共作してみたい気もします。


植物のファンアート


実はこの中にある「白花蒲公英」は僕がスガノヨシカさんに頼んで描いてもらったものです。その時に僕は「この人しかいないわ」って思いました。


不仲説


意地悪な姑といじめに呆れ疲れた嫁が漫才をする話です。
キャラの絶妙なデフォルメ感といい、この話、とにかく計算され尽くしてるなと思いました。コマ割りをはじめ吹き出しの形や配置が繊細に管理されている。だからこそ物語全体にスピード感があり、そのテンポが漫才のようで心地がいいんですよね。もちろん嫁と姑の掛け合いのセリフもおもしろいです。
あと、この嫁姑の関係性、なんだか僕らの関係性に似ている気がします。こんなに剣呑とはしてないんですけどね。



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