佐々木史帆

生乾きの脳みそで叫べ!

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東京の恩人

役者になると決めて東京に出てきたのが2017年。それまではエキストラとして撮影に参加するため、夜行バスで青森から東京に通っていた。だけど、このままじゃ役者としての自分が中途半端になってしまう。そう思い「女囚セブン」の撮影が終わった頃、気付いたら東京に家を借りていた。その勢いのまま事務所面談が進み、所属が決まった。そして、本格的に役者としてのスタートを切ることができた。 それから6年が経った今、その時とは違う事務所に所属している。前の事務所は突然の解散だった。とにかく早く次の

    • 『空を見る』

      精神的な繋がりだけでも 僕たち一緒にいられるよ 君とはその、身体的な繋がりを 考えることはできないから 空を見た、星がいた 何億年も前のヒカリなくせに 今頃照らして笑って欺いて こちらの視力を奪い去る 精神的な繋がりと その、身体的な繋がりと 両方があった日々を 思い出しては空を見る ハッキリ言われたその日から 君はどこか晴れやかで 私はどこか、どこかへ消えた 今でも居残る、その、恐怖 に、私は今も、襲われている 襲われながらも空を見て 星と共にある過去の言葉に 嘲笑

      • 『何色の世界で生きている』

        染められてゆく染められてゆく 水で薄めて泡立てて 水色の気泡と黒色の希望 油で薄めて火をつけて いつから優劣つけ始めたんだ いつも違って何が悪いの 君と違って何が悪い 黄色に見えるそれだって きっと幻のショートムービー 赤色じゃなくて灰色なんだと 血まみれになってやっとわかったよ この世界のほんの断片 くだらないことで埋め尽くされてる 染められてゆく染められてゆく 生を薄めて掻き乱して 無色透明色した嗚咽の数々 浮いた油で拭き取って また汚れる世界の割れ目よ

        • "三島有紀子監督「東京組曲2020」公開!"

          三島有紀子監督最新作「東京組曲2020」の公開初日、舞台挨拶に登壇いたしました。気合いを入れて、前日に作った衣裳と共に!セットアップ!久しぶりに納得できる服が作れたかもしれない。 まず、3年という月日をかけて映画館で公開できる日がくるとは思ってもいませんでした。当初は"映画館で上映する"なんて、誰も一言も口に出していなかった。だけど、みんながどこかで願っていたかもしれないことが叶った。すごくしあわせなことです。 関係者のみなさま、クラウドファンディングで応援してくださった

        東京の恩人

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          身分証はお持ちですか?

          私は煙草を吸わない 吸わないけれど買う必要があって 近くのコンビニエンスストアへ 携帯だけを持って出かけた 煙草って現金でしか買えないんだっけ 携帯だけで大丈夫かな ダメだったらまた戻るか などと考えながら 確か煙草は現金以外でも買えたはずだ、と どこか確信しながら3分歩き コンビニエンスストア着 私「203番1つください」 店員「203番ですね」 21時頃のレジに立つ店員は 個性的な人が多い中、その人は ごくありふれた、世間に馴染めそうな人だった 私の偏見でしかないけ

          身分証はお持ちですか?

          ひとりとふたり

          理由もなく涙が流れる時、すぐに月の満ち欠けを調べてしまう。そして必ず月のせいにする。明日は満月だから。新月が近いから。なんて、勝手に押し付けられて月も迷惑しているだろうか。それともあたたかく見守ってくれているのだろうか。 理由もなく涙が流れるなんてこと、本当にあるのかな。自分で言っといてだけど、どこかにちいさな理由が埋まっているのではないか。それに気付かないふりをして、月が月がと喚いているんだ。きっとそう、理由はたくさんある。君に会えない寂しさ、行き詰まる現実、何もできない

          ひとりとふたり

          吸い殻

          最大級かと思えるストレスにより煙草を吸ってしまったけれど、そのストレスから逃れることができたらやっぱり煙草は苦手だと再認識した。 特に煙草の吸い殻が苦手だ。吸っている時のそれとは違う独特のにおい。頭にぐわんとくる。クルクルまわる。ぶっ倒れそうになる。苦手だ。やっぱり苦手なんだ。 より臭いに敏感になってしまった。電車の隣に座る人が喫煙者だとすぐに頭が痛くなってしまう。マスクをしていてもガツンとくる。どうしたものか。これは一度吸ってしまったことの罰なのか。 煙草を吸っている

          アルコールと私

          アルコールとは長い付き合いだ。といってもお酒ではない。除菌に使う方のアルコールである。それは強迫性障害の汚染恐怖が原因なのだが、最近新たなアルコールの使い方ができた。 飲む方のアルコールだ。幸いにも除菌に使う方のアルコールは使用量がぐっと減り「なにこれしあわせ〜!」と思っていたところだったが、なぜか今、お酒を飲まないと眠れなくなってしまった。今まで一滴も飲まなかったというのに。 お酒の量は決して多くはない。ホットワインを1杯。某スパークリング日本酒を1杯。という感じで「な

          アルコールと私

          「ぼくはぼくの奴隷」

          なんの前触れもなく、あったのかもしれないけれど唐突に言われた。 「僕の奴隷になってない?」 心が割れそうになるのを必死にこらえた。奴隷になった覚えなんてない。奴隷ってどんな意味か知ってる?人間としての自由を奪われた私有物だよ?私があなたの奴隷?どういうこと? ひとりの人間として自分を生きていない。無理して合わせている。同じになってきている。持っているモノ、選ぶモノ、好きなモノが君と統一されていっている……?そんなつもりはない。そういう気配があったのだとしても私は好きで私を生

          「ぼくはぼくの奴隷」

          デジタルデトックス

          とあるきっかけにより、TwitterとInstagramのアプリを消してみた。辞めたいとは思っていたけど、役者・佐々木史帆を知っていただけるきっかけになるツールなので辞める勇気はなく、また戻る予定なのだが。 SNSと距離を置いている間、部屋の模様替えをしたり、壁色を変えたり、紙に想いを書き出したり、本を読んだり、瞑想したり、そういう時間を大切にしながら過ごしている。なんて心地いいんだろう。電車内ではまわりがスマホを見ている中、わたしは本を読んでいる。優越感。ただの優越感、だ

          デジタルデトックス

          その名は、わっち

          2022年12月12日、 佐々木わっちは13さいになりました うまれてきてくれてありがとう 出会ってくれてありがとう うちに来てくれてありがとう 生きていてくれてありがとう 動物は相手の気持ちをまったく考えず 本能のままに、思うままに行動してくれる 自分が都合悪いと平気で怒るし 甘えたい時はいくらこっちが無理でも甘えてくれる そうやって生きてみたいものだ、と思う だけどわっちほ少し違う お家に来た時から先住犬がいて 気付くと新しく猫が来て あの子はよく考える子だから ひと

          その名は、わっち

          『さようならとさようなら』

          一度くらい許してよ 二度くらい許してよ 三度、四度、繰り返すけどさ 同じになんてならないから 気付いたらいなくなってた 何度繰り返しても なくならないと信じすぎて 気付いた頃には手遅れだった 返事のない日々を 生き抜くには足りなくて 毎日欲しがってしまうけど これが本当の始まりなんだ 大好きだった「さようなら」 封印して「また明日」 使いすぎた「さようなら」 使い捨ての「さようなら」 「はじめまして」から始めることは どうしたって無理だけど 新たな思考で再出発 出会え

          『さようならとさようなら』

          煙草を吸う

          初めて煙草を吸った。いや、正確には初めてではない。二十歳過ぎた頃だったか一度友達から一口もらってみたけど、咳き込むだけでなんの美味しさも感じなかった。 初めて煙草を吸った。中目黒で台湾料理を食べたあと、急に肌寒くなったその街で煙草を吸った。 「吸ったら火がつくんですよね?」 「そう」 「どうやって持つんですか」 「持ち方なんてどうでもいいよ」 すうっと一息吸い込んだ。美味しかった。吸ってる人の横にいても臭いだけだなあと思っていた煙草。それが自分の身に入り込むと、味わうと、と

          煙草を吸う

          さようなら

          本当に大切なことはいつまでも闇の中かもしれない。考えれば考えるほどわからなくなる。だからこそ考えない、考えてもいいけど考えない。 行きたいと思ったら行く 言いたいと思ったら言う 欲しいと思ったら手に入れる 食べたいと思ったら食べる 触れたいと思ったら触れる 会いたいと思ったら会う 嫌だと思うことも、好きだと思うことも、間違ったと思うことも、失敗したと思うことも、良いも悪いも全部自分のしたことはどれもこれも素晴らしい出来事になる。しっかり刻むことができる。真実になり得なかっ

          さようなら

          『始まりの一二月』

          無意味な比較だとわかっていながら わざと過去に隠れたり 先走り未来を浮遊していた いっそのこと君の部屋 僕のモノで埋め尽くしてしまえればよかったのに 食べたらなくなってしまうものばかりで 冷蔵庫だけが音を立てるよ 実はどうだっていいんだ その名前も喋り方も色も時間も 撮り溜まったネガフィルム 食べ続けたカレーライス 試着が止まらなかった古着屋 どこまでも走り続けたドライブ どこまでも歩き続けた東京都内 どこまでも眠り続けて午後三時 たまたますれ違った横断歩道 大きな満月を

          『始まりの一二月』

          『愛について』

          人を愛せることを知った 誰も愛せないと思っていた 信じることができなかった きっと愛されないからと 気持ちに固く蓋をした 拒否されたら怖いじゃない 嫌われるのは怖いじゃない 全ての出来事には 意味があることを知った 後退していたって それすら大切な一歩だったり 立ち止まっているようで しっかり噛み締めていたり 同じことを繰り返していても それは全然同じことではなくて 人を愛せたことで 愛してはいけないことを知った 私の愛はとてつもなく歪で 鉛のように重くて 糊のように厄介

          『愛について』