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「ぼくはぼくの奴隷」

「ぼくはぼくの奴隷」

なんの前触れもなく、あったのかもしれないけれど唐突に言われた。
「僕の奴隷になってない?」
心が割れそうになるのを必死にこらえた。奴隷になった覚えなんてない。奴隷ってどんな意味か知ってる?人間としての自由を奪われた私有物だよ?私があなたの奴隷?どういうこと?

ひとりの人間として自分を生きていない。無理して合わせている。同じになってきている。持っているモノ、選ぶモノ、好きなモノが君と統一されていっ

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「かぞくになる」

「かぞくになる」

「いつか君とは家族になりたいんだ」
ふと出たその台詞の中になぜか、"家族"という言葉があった。僕は家族の意味をわかっていない。それなのに家族になることを欲していた。勢いで出てきたその言葉に自分が圧倒されてしまっているが、勢いだからといって嘘ではない。僕の中にある、きっと何かで押し潰されていた本物の気持ちだったんだろうと思う。

君からの答えが「ピンとこないよ、家族ってなに?」だったから尚更だった。

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