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銀河フェニックス物語 <ハイスクール編> 第一話(3) 転校生は将軍家?!

銀河フェニックス物語【出会い編】スタート版
・ハイスクール編:第一話 (1)(2
ハイスクール編 マガジン

「お前ってさ、ここへ来るまで、どこにいたんだ?」
「軍艦の飯炊きバイト」
「へぇ、それで将軍の息子に?」
「あん? 俺はジャックの息子じゃねぇよ。ジャックの息子はアーサーって変な奴だ。俺はたまたま、そいつの乗ってる艦で働いてたんだ」

16少年前目

「天才少年のことは知ってる。だけど、おまえ将軍家に引き取られたんだろ」
「うんにゃ、居候してるだけだ。ジャックには後見人になってもらってるけどな。養子になんてなったら、アーサーの野郎と兄弟になっちまうじゃねぇかよ!」

 レイターは露骨に嫌そうな顔をした。こいつと天才少年は、仲が良くないようだ。

 わかる気がする。
 天才少年のことはテレビで見るけれど、背が高くて隙の無い大人っぽい少年で、どうみても、こいつと気が合う様には見えない。

 隣の席でレイターは、ほとんど、いや、全然授業を聞いてなかった。

 オレも授業は好きじゃないけど、こいつ、オレ以上にやる気がない。寝てるか、ずっと宇宙船の落書きを書いてる。
 チビだから、前の奴の影になってて教師も気づいてない。

 授業中、レイターはどんな簡単な問題を当てられても「わかりません」って堂々と答えた。そもそも、こいつ質問を聞いてないし。
 教師は困った顔はしたけれど、何も言わなかった。ま、将軍家だからな。特別待遇でも不思議じゃない。

 昼飯は弁当を持ってきていた。
「金は節約しねぇとな」
 将軍家のお手伝いさんが作ってくれるそうだ。レイターは妙に礼儀正しくうれしそうに飯を食った。

 オレは、購買で買った総菜パンを食べながら聞いてみた。
「お前さ、学校に何しに来てんの?」
「決まってるだろ。ハイスクール生活を謳歌するためさ」

15紅白戦制服後ろ目笑い逆

 というが早いか、レイターは女子共と楽しそうにおしゃべりを始めた。

 オレの家は『月の御屋敷』の先にある。レイターとは帰り道が一緒だ。

 授業が終わり、オレとレイターが校門を出ると、キーレンの手下が寄ってきた。
「レイター、悪いが俺と一緒に来い。キーレンが呼んでる」
「来て欲しいなら、自分で呼びに来いっつっとけ」
 レイターは断った。

「た、頼む、お前が来ないと、俺が殴られる」
 手下の泣きそうな顔を見ると、レイターはちょっと考えて
「わかった」
 と答えた。

 オレは行きたくなかったけど仕方がない。後からついていった。
 そこはいつもの裏山だった。

 うちの学校の生徒だけじゃない、キーレンを中心に三十人ぐらい、柄の悪そうな奴らが集まっていた。一目でスクールギャング、ってレッテルを貼って間違いない奴らだ。

「朝は油断したぜ。よくも恥をかかせてくれたな」

キーレン叫ぶ

「あんたが勝手にかいたんだろ」
 また、こいつキーレンの怒りのツボを押してる。 

「ロッキー、後ろに下がってろ」
「い、いやオレもここにいるよ」
 オレは強がった。

 オレは喧嘩は強くないが、サッカー部で鍛えた逃げ足には自信がある。
「じゃ、けがしねぇように気をつけな。あいつら武器持ってるから」
 よく見るとキーレンの手にはナイフが、ほかの奴らも木刀やら鉄パイプやら、危なっかしいものをみんな手にしてる。

 や、やばい。オレは青ざめた。  (4)へ続く

第一話からの連載をまとめたマガジン 
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」