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銀河フェニックス物語 <ハイスクール編> 第一話(9) 転校生は将軍家?!

銀河フェニックス物語【出会い編】スタート版
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 レイターがにやりと笑った。
「いいけど、高いぜ。一本一万リ・・・」

15紅白戦シャツてあり

 オレはレイターの頭をはたいた。

「昼飯にしとけっ!」
「ちっ、いい金儲けができると思ったのに」
 こいつは金にがめつい。不良から巻き上げるのは許すが、健全なサッカー少年からぼったくるのは、見過ごせない。

 ゴール前のハマナに向けて、レイターがシュートを打つ。
 オレの目にもわかった。普通じゃない。あのボールの回転。

 ハマナが止めようとする寸前でスピードが変化し、ボールが揺れた。
「うっつ」
 ボールがハマナの手をはじいた。
 ハマナだって馬鹿じゃない。身体で止めて前に落とそうとしたのに、すり抜けるようにボールは後ろへ転がった。

 オレはレイターに、さっきと同じことを聞いた。
「お前さあ、一体どこでサッカーやってたんだよ?」

n210少年ロッキーT後ろ目やや口

「あん?」
 もう、はぐらかさせない。
「ちゃんと答えろ。転校前の学校でやってたのか?」

「俺、前の学校じゃバスケ部に入ってたんだ」
 正直驚いた。
「チビなのに?」

 バシッツ

 痛ってぇ。
 オレの頭を思いっきりはたきやがった。

「あんたは一言、多いんだよ」

はたくゆるシャツ

 レイターはめんどくさそうな顔をして答えた。
「サッカーは、ジュニアハイスクールん頃、研修先の体育の授業でやったんだ」
「授業?」
 どんな高度な授業だよ。

「サッカーチーム持ってる王族とかいるだろ」
「ああ、金持ちの王族がオーナーの星系とかあるな」
「政治利用することもあるから、って結構、真剣にやらさせられてさ」
「それと、授業がなんの関係があるんだ? お前、体育の専門学校にでも通ってたのか?」
「そうそう、そんなようなもんだ。主に格闘技だけどな」
「それで、喧嘩が強いのか」
 俺は納得した。

「将軍家の坊ちゃんの身代わりさ」
 将軍家の身代わり? 

横顔2真面目

 こいつの周りには、オレたち一般庶民にはわかんないことが、いろいろとあるんだろう。

 体育の専門学校らしきところに通っていた、というレイターは、体育の授業は真面目に受けていた。
 持って生まれた抜群の運動神経が鍛え抜かれてる、ってのが素人のオレたちにもわかる。チビだから余計に際立つ。

 女子どもはレイターに黄色い声援を送った。気がつくとあいつは学校中の人気者になっていた。

 そんなレイターを各運動部が放っておくわけがない。陸上部やバスケ部のキャプテンが次々と入部の勧誘におとずれた。
 ハマナは自分のサッカークラブに入らないかと、再三レイターをくどいていた。オレには声をかけたこともないのに。

「俺、練習、嫌いなんだ」
 シンプルな理由でレイターは入部の誘いを断っていた。
 オレも練習が好きな訳じゃないが、あいつの才能を無駄にしとくのは惜しい気もする。どうせゲームセンターに入り浸って遊んでるんだ。

「お前、どっか運動系のクラブに入ったらどうだ」
「あん?」
「折角、才能があるんだからさ。もったいないじゃん」
「練習やってる時間がもったいねぇよ。プロになるわけでもねぇんだから」

「時間がもったいないって、どうせ、ゲーセンで時間つぶしてるんだろが」
「ノンノン。俺はあそこで、プロになるための練習してるわけさ」
 確かに、こいつのゲームへの向き合い方は普通じゃない。

「プロゲーマー目指してんのか」
「銀河一の操縦士だ、っつったろが。そうだ、どうせあんたとつるんでるんだから、あんたのサッカーチームに入るよ」
「え?」
「練習、楽そうじゃん」
 まずい、ほかのクラブのキャプテンから恨まれてしまう。     (10)へ続く

第一話からの連載をまとめたマガジン 
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」