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銀河フェニックス物語 <ハイスクール編> 第一話(7) 転校生は将軍家?!

銀河フェニックス物語【出会い編】スタート版
・ハイスクール編:第一話 (1)(2)(3)(4)(5)(6
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 モニターの立体画像が三次元化した。WINNERの文字がカラフルに点滅し、激しい音楽と共にコインが出てきた。
 三十枚ある。

 でも、それで終わりだった。

「伝説ってこれだけかよ」
 オレは肩透かしをくった気分だった。     

「そうさ。ゲームメーカーはあおってやがるが、あんまり大したことじゃねぇ。このコインの有効期限が延びるとかなら、もうちょっとマシだがな」
 コインには有効期限がついている。十二時間しか使えない。
 きょう使い切らなきゃ意味がない。

 レイターは二枚抜いた。
「あとはやるよ」
 なんだかんだ言って、オレにとってはうれしいコインだ。

 だが、レイターにとってはほとんど意味がない訳だ。完走すれば、二枚出てくるのだから、いつまでもゲームが続けられる。

「おまえ、目をつぶってても完走しそうだな」
「今度は完走できるか、わかんねぇよ」
 そう言いながら、あいつはまた一号機に乗り込んだ。

 どういう意味だろう。

 スタートさせた船を見て、その理由がわかった。
 最初からエンジン全開だ。めちゃくちゃ飛ばしている。

 さっきもびっくりしたけど、その比じゃない。多分、あいつの狙いはラップの更新。
 相手はゼロ号機じゃない。自分との戦い。

15ハイスクール横顔前目真面目

 それにしても、すごい集中力だ。

 と、小惑星帯で翼がこすった。
 レイターの船がきりもみ状態になる。

 あ~あ、あいつでも、あの速度で突っ込んだら事故るんだ。

 レイターは体勢を素早く立て直して、コースへ戻った。
 オレが驚いたのはあいつの真剣度だ。遅れを取り戻そうと、さらなる加速をかけている。

 これゲームだぜ、失敗したらクリアして最初からやり直せばいいのに。
 コインはたっぷりある。あのミスじゃラップは更新できない。

 なのにあいつ、勝負をあきらめてない。必死になってる。凄い形相だ。
 ヒリヒリする緊張感が俺にも伝わる。

 これは、遊びじゃない。
 訓練、って言葉が頭に浮かんだ。

 ゲーセンで使う最初の二百リルは、毎回オレが貸した。というか、あいつは倍以上にして返してくるから、まさに投資だ。

「お前、金持って無いの?」

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 オレは聞いてみた。
 将軍家からの小遣いは無いらしい。
「必要なものは買ってくれるんだけどさ」
 ゲーセンで遊ぶ金は必要経費とは言えないだろうな。

 かと言って、全くの文無しというわけでも無さそうだ。四年間、艦に乗って貯めたバイト代があると言っていた。
「金貯めてんだ。だから無駄には使えねぇ」
「へぇ、貯めて何に使うんだ?」
「宇宙船買うのさ」
「は?」
 宇宙船って一隻いくらだよ。小遣い貯めて買えるもんじゃないだろが。


 オレはサッカー少年だ。
 足が速くてガキの頃には、地区大会で選手賞をもらったこともあるのだ。

 実は今も、学校の弱小サッカー部のキャプテンを務めてる。
 上手い奴は、みんな地域のクラブチームに入っちまうから、うちの学校のサッカー部は、下手だけど好き、って奴が集まった同好会だ。

 週に二回集まって練習する。その日はゲーセンに行かない。きょうはその練習日だ。

「お前もサッカーやってみる?」
 オレはレイターに声をかけた。     (8)へ続く

第一話からの連載をまとめたマガジン 
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」