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しのごの言わずに夢を見て明日のことは忘れてしまうのさ

この世で1番好きな食べ物を聞かれたら、すいかと答えるようにしている。これには意味もなく、議論するまでもなく、ただ好きだからそう答えている。

しかしここでもし、好きな野菜は?(もしくは果物は?)と聞かれたときに発生する問題がある。

「西瓜野菜果物問題」である。


この問題について、あまり思考したことがない人のために説明しよう。

スイカは、栽培形態の面からは「野菜」と位置付けられている。具体的にその定義の内容を述べると、苗を植えて1年で収穫する草本植物は「野菜」、2年以上栽培する草本植物及び木本植物で、果実を食用とするものは「果樹」と定義されている。
もっと大まかに言うと、草に実るものは野菜で、木に実るものが果物ということである。(2年以上栽培する草にはバナナやパイナップルがあり、これらは果物にあたる)この定義でいけば、スイカやイチゴは野菜に分類され、アボカドは果物に分類される。

しかし、消費の場面ではすいかやいちごは果物に分類される。そのため、我々消費者には「果物」という認識が強くある。つまり結論から言えば、どちらも間違っていないのだ。
スイカを栽培をするときは、野菜用の土や肥料を使用すべきだろうが、消費者の立場で考えるときは、そんなことを考える必要はないのである。

故に私は消費者の立場から、好きな果物を聞かれたときにはすいかと答え、野菜を聞かれた際にはスイカは脳内で除外している。

そもそも何故これが問題になるのかと言うと、時折、「スイカって木に実らないから野菜なんだよ〜!」という人がいるからである。その人が言いたいのはおそらく、「私は消費者の立場ではなく、栽培を行う生産者の面からスイカをとらえています」ということなのだろう。このような場合には、「そうなんだ〜」と、相手の立場を理解したことを伝えるのが平和的である。

スイカが栽培方法によって、野菜とも位置付けられることを知っているあなたは、間違っても、「じゃあ仮に猿が実る木が現れたら、猿を果物と定義づけるんですか?」などとまくし立ててはいけないし、おそらく猿がなる木の栽培方法は、現存する果樹とも異なるし、野菜とも異なるだろう。

その上で、もしも相手が、こちらがどの立場からものを言っているのか気になっているようなそぶりだったら、「私は果物に定義するかな〜」と言ってもよいかもしれない。お互いの認識を認め合うことで、より関係性が深まる可能性すらあるだろう。

ここで注意したいのは、その人が、自分と同じ意見でないと腹を立ててしまう状況かどうかだ。相手は、ただ共感を必要としている場合もある。コミュニケーション能力の真意とは、こういうところにあるのだ。単に弁が立つことや、人見知りをしないことだけが、決してそのすべてではない。

ゴールデンウィークが休日だった人も、そうでなかった人にも、今日は訪れた。このままゴールデンウィークに閉じ込められてもいいと思うほど、充実した休日を過ごした私にも、例外なく今日は訪れた。
出勤前に母から、祖父が他界したという連絡が入った。やたら地下鉄が混んでいて、乗り込もうとしたら誰かの腕で外に押し出された。ホームに取り残されて、地下鉄を見送った。昼から雨が降った。地下鉄が混んでいたのはこのせいか。今週は、全国的に雨になるところが多いらしい。

5月に入り、最近ようやく、スーパーにすいかが並び始めた。
今日はすいかを食べよう。まだ夏とは言えないけど、すいかを食べたっていいじゃないか。意味も、定義もなく、議論するまでもなく、ただ、そう思った。

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