友人と雨の博多をぶらり。濡れながらたどり着いた店で酒を酌み交わす
5月12日金曜日 降り続く雨
18時を過ぎて母、弟、おいっこたちとお別れ。弟の車で地下鉄の駅まで送ってもらい博多駅へ向かう。
最近は地下鉄も乗客が増えて、博多駅は東京メトロの西船橋駅のようにホームのエスカレーターに乗るまでに長蛇の列をなして順番待ちをするくらいだ。
(ツイッターを埋め込んでいるnoteを見かけたので、試してみた。)
待ち合わせの時間までには、まだ30分以上もあった。
前回会った時はバス停まで待っていたのだが、雨が降っているので地下鉄駅構内にあるドトールで待つことにした。
コーヒーを注文して待っていると、ちょうど待ち合わせ時間に友人がやって来た。
美味しいやきとり屋を下調べしてくれていたようで、そこへ移動するとのこと。
博多では焼き鳥のことをひらがなで「やきとり」と書く場合が多い。豚バラなど鶏肉以外の串もあるためと言われているが、真相は定かではない。
※参考サイト:
「焼き鳥」と「やきとり」には違いがあった! その理由を専門家に聞く
駅構内から地上に出てから、それとなく友人に聞いてみた。
僕「予約しとるん?」
友「予約はしてないんスよ」
年下の友人は、僕を会話する時にたまに丁寧語が混じる。
僕「マジか。まあ雨だし空いてるかもしれんね」
という感じで会話を交わして、雨の中を歩く。10分くらい歩いただろうか、店に着いた。
のれんをくぐって店内を見ると大勢の客。店員さんに友人がこう話しかけた。
友「2人なんですけど、席空いてますか」
店「予約していますか」
友「予約はしていません」
店「すみません、今日は予約でいっぱいです」
…残念である。
やはり雨とはいえ金曜日。予約をしていないと人気店に飛び込みで入るのは厳しい。
僕は基本的に飲み会では幹事役をすることが多い。
前回、友人と会った時も僕が店を選んでいたので、今回は友人が選ぶ店へ行くのがとても楽しみだった。
それだけに、とても残念だった。
しょっちゅう会う友人だったら、「予約しておけよ」と文句のひとつでも言っただろう。
半年ぶりに会うし、友人も「この日を楽しみに仕事頑張りました」と楽しそうに話していた表情を見ていたので、文句なんて言えたもんじゃなかった。
その後、博多では名の知れたやきとり屋のチェーン店を見つけたので入店。
店はガラガラだった。
「空いてて良かったね」と話しをしながら席に着き、生ビールとひと通りの串を頼んだ。
店員さんが生ビールを運んで来て、ビールで乾杯。味は普通だった。
生ビールはサーバーをきちんと管理しているか、そうでないかで味が変わる。
しかし、ビールが美味しい店というのは一口飲んで「美味しい!」とわかるものである。
この店はそうではなかった。
まあ、2杯目から瓶ビールにすればいいね。とか二人で話しながら串を待つ。
数分経って、店員が串を持って来た。あまり愛想が良くない。
あまり気にしないようにして、まずは博多やきとりの名物の豚バラ串をほおばる。
…ぬるい。
肉が熱くない。不味い。
他に頼んでいた串もぬるい。野菜のしいたけ串もぬるい。タレ串もぬるい。
僕は彼にこう言った。
「ダメだ、美味しくない。ゴメン、出よう」
サラリーマンがよく「一杯やって帰りましょう」と言うが、本当に一杯だけ飲んで串をつまんで店を出た。
二人で2,460円也。
店の外に出て、友人に「せっかく入ったけど、ゴメン。美味しくない!」と言うと、彼も「近所のスーパーのやきとりの方が美味しかったっス」と言っていた。
これから雨の博多を濡れながら練り歩くことになるとは二人とも予想すらしていなかった。
行く店行く店で満員御礼
たぶん満員御礼の使い方は間違っているんだけど、もう「御礼」と言わないとやってられない気持ちだった。
何件のれんをくぐっただろう。今思い出すだけでも、5件は断られたんじゃないだろうか。行く店行く店でやきとり屋は満席。
思わず「博多は景気がよかねえ」と博多弁でつぶやいてしまうくらいだった。
時間がどんどん過ぎていき、友人が「本当、すみません」と詫びを口にした。
僕は「気にせんでよかよ」と口にしていたが、心の中では同郷のお笑い芸人よろしく「なんて日だ!」という叫び声が何度も何度も繰り返し轟いていた。
もう仕方がない。
「この前行った餃子屋さんに行こうや。時間がもったいないけん。あそこ結構美味しかったやん」と僕。
「そうっすね。あの店の周りにも結構居酒屋とかあったし、そうしましょう」と友人。
ぬるくて美味しくなかったやきとりの口直しは餃子となるのか。
と思いながら、以前行った店へ向かっていると、前回二軒目に入ったお店を横切った。
僕「この店、前に二軒目に行った店やね」と友人へ話しかけたその時、前回は足を運ばなかったが、気になっていたやきとり屋が目に入った。
僕は「ダメ元でここ行ってみようや!」と友人へ話しかけた。その店は地下へある店なので、入店するには階段を降りなくてはならない。
友人へ「ちょっと行って見て来て」とパシリのように言い放ち、僕は階段の上で待っていた。
友人が店に入り「2人なんですけど、空いてないっスよね」と諦めたような口調で店員さんに尋ねている。
すると、どうやら精算を済ませたお客さんが出て来ているようだ。
店員さんの「ちょっと待ってください」と言う声が聞こえて来たので、僕は階段を半分降りてお店の入り口を覗いた。
友人は「もしかしたら、いけそうっす!」と笑顔になっていた。
案の定、お客さんが2人退店してきた。僕らは運良くやきとり屋の席を2つ確保することができたのだ!
店「カウンターですけど良いですか」
もうなんだって良いです。やきとりを食べたい!
二人でカウンターに座ると、目の前にやきとりを置く焜炉(こんろ)のようなものがあり、中にはロウソクのようなものに火が灯されていて加熱されている。
これで串がぬるいなんてことは絶対にありえない!そもそもカウンターの斜め前には焼き場があり、実際に焼いているところも見える。
(前の店も実際に焼いているんだけどね。なんで串がぬるかったんだろう…)
メニューに目をやると、ビールも焼酎も日本酒も安い!焼酎「海」のグラスが300円なんて、東京だったら2倍取る店もあるよ。
店は混雑しており、注文した串がなかなか来なかったが、二人でとりあえず乾杯して串を待った。酒が安いので不満はなかった。
串を待つ時間が思いの外長くなったので、塩辛の二種盛りを頼むと、すぐに提供されたのだが、それとほぼ同時に串も焼きあがった。
うれしくて思わず写真を撮った。
待ちに待ったやきとり。口へほうばると…あったかくて美味しい!しいたけも、味がしっかりとついている。美味しい!
最高のやきとりだ。
二人で串をほおばり、酒を呑み、塩辛をつまむ。
美味しいやきとりと酒にありついて、ようやくお互いに話をしたいことを切り出すことができた。
友人は今勤めている職場を辞めて、やりたい仕事がある。独立するわけではないが、ある技術を会得するような仕事だ。
どんな職業なのかは友人の夢が叶ったら、紹介したいと思う。
僕も新しく始めようとしていることについて友人に話をした。お互いに熱い話をすることができて、上機嫌な時を過ごすことができた。
友人がお店を予約していたら、この店に入ることはなかっただろう。友人に感謝だ。
「今度からここを我々のホームにしよう」
どちらからともなくそう切り出し、店員さんに予約ができるかどうか確認すると、予約可能とのこと。
「次回はこのお店を予約せないかんね!」彼は赤らんだ笑顔を見せた。
彼とはおそらく一生の付き合いになるだろう。次に会う日も美味いやきとりを食べながら、美味い酒を呑み、熱い話をしようじゃないか。
また会おう友よ。
それでは、今回はここまで。
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