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おいしくなかった「スケート場のカップヌードル」。

 気がついたら、個人的には、カップヌードルを食べる機会は激減している。

 それは、他にも様々なカップ麺が発売され、普段買うには、そのほうが安く、いつの間にか、自分の中では「カップヌードルは、カップ麺の中では高級品」というイメージができてしまっているから、スーパーなどで目にしても、あんまり手が伸びなくなっている。

 だけど、気がついたら、カップヌードルが発売されて、50年になることも知った。


 その発売した頃、とても個人的で小さい思い出ですが、カップヌードルにまつわる記憶があることにも気がついた。残しておかないと消えてしまうし、もしかしたら誰かと共有できるかも、と思い、書くことにしました。読んでいただければ、嬉しく思います。

スケート場の自動販売機

 インスタントの麺といえば、いわゆる「袋麺」で、家で調理するものだった頃だ。
 
 小学生時代、それほど口数も要求も、自分の気持ちを表現することも多くない方だったのだけど、「サッポロ一番 みそラーメン」が、密かに、世界で一番美味しいのではないか、と心の中で思う瞬間もあった。

 当時、中部地方に住んでいて、父親がクルマの免許を取って、運転をしたい時期でもあったので、日曜日は家族でドライブ、という日々が続いていた。冬になると、1時間くらいで到着するようなスケート場に行っていた。

 スポーツは得意ではない方だったけれど、そうやって通っていたせいか、ある程度は滑れるようになっていたし、さらに小学低学年の弟は、運動神経も良かったから、その滑る姿は、スケート場では、可愛いと言われれるような存在になっていたと思う。

 滑っていると、寒さも感じないし、けっこう夢中で時間も過ぎるけれど、でも、お腹は減る。

 スケート場の中にレストランがあったかどうかも覚えていないし、あったとしても、外食そのものが今より高額だったし、スケート靴を履いているから、それを脱いだり履いたり、といったことを考えると、スケート場を出てから、他の場所で食事をする、もしくは家に帰ってから夕食をとる、といったパターンが多かったように記憶している。

 そんな頃、スケート場に、いつの間にか新しい自動販売機が設置されていた。
 それは、ラーメンを売っている機械だった。

初めて見たカップヌードル

 それが、カップヌードルだった。
 記憶はあいまいになっているものの、歴史的にもカップ麺の始まりは、カップヌードルだったから、その銘柄だけは間違いないはずだ。


 その自動販売機で、温かいラーメンが食べられる、ということだけはわかったから、それだけで、小学生の気持ちは盛り上がる。

 お金は、父親に入れてもらう。
 カップが、ゴトゴトと出てくる。
 それから、ビニールを取ったかどうかの手順は覚えていないが、次の行程に進む。

 次のボタンを押すと、機械の中に置かれたカップに向かって、金属の棒が降りていく。そのまま紙のフタを貫いているのがわかる。

 おお。

 おとなしい子供だったけれど、心の中で、その動きに、さらに気持ちは盛り上がっていた。
 そんな自動販売機は見たことがなかったからだ。

 そして、何かの音がしたけれど、たぶん、熱湯が注ぎ込まれていたのだと思う。
 
 動きが止まった。
 
 そのカップヌードルは機械から取り出されて、たぶん、最初に弟に渡される。そして、その時の家族の人数分だけ、その作業が繰り返されていて、手渡されたら、すぐに、その自動販売機についていた割り箸を使って、食べ始めていたと思う。

知らなかった常識

 熱湯を入れて、3分待つ。

 今は、誰もが知っている常識は、その時は知らなかった。
 その自動販売機には、しっかりと記しているはずだったけれど、ラーメンの自動販売機!といった気持ちだけで、舞い上がっていたと思うから、そうした説明を冷静に見ていなかった。

 だから、熱湯を入れて、3分もたたないうちに、食べていた。なんだか、硬いような、味が染みていないような、要するに、おいしくなかった。

 だけど、父親がお金を出してくれたし、積極的に買おうとしていたし、おいしくないとは言えなかった。

 
 それでも、次にカップヌードルを食べた時は、その失敗があったから、キチンと3分待ったし、ちゃんと美味しかった。

カップ麺というジャンル

 それから、おそらく、数え切れないほど、カップヌードルを食べてきた。それは、ラーメンというよりは、カップ麺というジャンルの食事だと思う。


 最近、安いものを求めて、違うカップ麺を食べていたけれど、こうして書いたことで、初めて「カップヌードル」を食べた時のことを思い出して、やはり、時々は、カップヌードルという「基本」を食べようと、改めて思った。

 さらに気がついたら、今は、カップヌードルの「定番」が8種類あることも、恥ずかしながら初めて知ったので、食べてみたいと思いました。




(見出し写真は、「10年カップヌードル」です。2010年が賞味期限だったのですが、気がついたら、そこからまた何年か経ってしまっていました。自分のミスで食べられませんでしたが、開けたら、中には、「20世紀辞典カード」が入っていました)。



(他にもいろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでいただけるとうれしいです)。


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