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「板チョコ」に関する 不安と不思議

 アルコールを飲まなくなってから、チョコレートを食べるようになった。
 ほぼ毎日のように食べていて、冷蔵庫の中に、チョコが切れると、微妙に不安になることもある。
 今は、板チョコを何枚か買い置きをして、なくなりそうだったら、買い足す。もしくは、立方体の一口チョコの袋入りも買ったりするが、基本的には、板チョコを買うことが多くなっている。

 チョコレートの習慣がついてから、10年以上が過ぎたけれど、最初、食べ始めた時は、毎日はマズいのではないか、とか、購入する費用がもったいないと思ったりもして、我慢もしたり、チョコのビスケットや、チョコパイとか、チョコアイスとか、いろいろなチョコも試してみた。

 その後、結局のところ、いろいろと食べて、落ち着いたのは板チョコだった。
 毎日のように食べて、できたら、1日、1枚の半分くらいに抑えて、食べるようにしている。(気がついたら、1枚近くになっていることも多い)。

 チョコレートを毎日のように食べ始めてから、かなりの年数が過ぎたあと、ふと気がつくと、不安と不思議が一つずつある。


板チョコの不安

 不安は、その大きさの変化から生じている。
 この10年で、板チョコは、値段は、そんなに変わらなくても、大きさが小さくなっている。今は50グラムくらい。以前からは、おそらく、20グラムくらいは減っているから、3分の2になっているらしい。だから、自分の1日の目標の、半分も、昔と今では、ずいぶんと違う。

 カカオ豆が高騰している、という事情はあるらしく、そして、それは理解できることでもあるし、値段を考えると、ガーナでもなく明治でもなく、今は、もっと安いスーパーのプライベート・ブランドのものを買うようになっている。

 自分自身は、味にうるさいわけでもないし、だから、本当のチョコ好きの方から見たら、ちょっと許せないのかもしれない。考えたら、安い板チョコと、やたらとインスタントコーヒーを飲んで、それで、ある程度以上満足で、毎日を暮らしているので、結局のところ、貧乏舌なのだと思う。いつも食べているチョコレートは、原材料名を見ると、カカオマスの前に、砂糖という表示があるので、厳密にいえば、本当のチョコレートとはいえないのかもしれない。それでも、毎日、食べ続けている。

 これからのカカオ不足で、もっと値段が高くなったり、板チョコがもっと小さくなったりすると、それは、やっぱり不安で、同じ甘いものでも、あんこもあって、そこにも愛好家はいるのだけど、どうしてもチョコにしかないものがあるのでは、と思っている。減量しても、チョコがあったから、リバンウンドも防げたと思っているし、チョコのポリフェノールが体にいい、という記事などは、目に飛び込んでくるようにはなっている。

 世界的に見たら、チョコレートを食べられるのは、ぜいたく、だといったことや、カカオ農園で働いている児童はとても過酷な条件で生きている、といったことを聞いて、そういう時には、うしろめたさも感じたりもして、フェアトレードの商品なども、ごくたまに買ったりもするけれど、やはり値段が高めで、またいつもの板チョコに戻ってしまう。

 これから先、カカオはもっと貴重になり、値段も高騰し、チョコレートは、本当に珍しいものになって、食べられなくなる未来に対しての不安は、小さくなっていく板チョコを見ていると、微妙にふくらみ続けている。


板チョコの不思議

 板チョコの不思議さは、購入時に感じている。

 3日に1回くらいは、スーパーなどに行って、チョコ売り場に寄って、3枚ほどつかんで、かごに入れて、他の買い物もして、レジに行く。今はレジ袋が有料になっていて、だから、自分でエコバックを持っていき、渡すとつめてくれるスタッフもいて、ありがたいのに、その時にチョコが折れたりしないだろうか、みたいな心配は、ちょっとある。

 3日に1回くらいだから、年間では100回ほど、板チョコを買っていると思う。そんなにいつも板チョコではないから、少し回数を減らして考えて、年に80回としても、もう10年はチョコを食べ続けているから、800回は売り場で買っている。はずなのに、今まで、一度も、私のように、他の誰かが、板チョコを買っている姿を見たことがない。

 だけど、時々、板チョコの箱が空になっているから、誰かは確実に買っているはずだった。今回のコロナ禍でも、スーパーでは、パスタ類や小麦粉や、いろいろなものが売り切れて、一時期、板チョコまで棚から消えて、ここまで買い占められるのか、とちょっとショックだったりしたこともあった。

 自分だけの感覚で語ってはいけないのも分かっているのだけど、チョコレート好きは、板チョコに還ってくるはずだから、毎日のように食べている人は、板チョコを買っているはずだった。

 いつ、どんな人が買っているのかを、知らないまま、時間がすぎ、歳月がすぎているのだけど、時々、不思議に思う。
 本当に、板チョコを買っている人は、いるのだろうか。
 私だけが、この近所のスーパーで買っているのだろうか。

 それは、あり得ないのは、分かっていても、そう思ってしまうくらい、他の誰かが買っているのを見たことがない。
 それは、個人的な、板チョコの不思議として、まだ続いている。



(参考資料)


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