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ポーランドは遠いままだった。

 ハンバーガーのチェーン店が、それほど安いと思えなくなってからは、外食を一人で食べるときは、牛丼屋のチェーン店に行くことが増えた。

 その地域によって、いろいろな牛丼屋がありそうだけど、自分自身の感覚としては、とても平凡だと思うけれど、吉野家松屋すき家の中で、選択をすることになる。


牛丼屋の特徴

 とても個人的な印象だけど、吉野家は老舗で、アメリカ産の牛肉を使っていて、だから、他の牛丼屋とは味が違っていて、牛丼にこだわる人は、吉野家に行く、といった話を聞いたことがある。だから、牛丼そのものを食べたいという時と、そのときにちょうど寄りやすい場所にあったら、吉野家に向かう。

 すき家は、自分にとっては基本的にはチーズ牛丼になる。とても薄い知識だけど「チー牛」というような言葉があって、チーズ牛丼を食べる人間が軽くいじられるようなことがあるらしいし、そのことになんとなく納得する部分はあるにしても、チーズ牛丼を頼んで、一緒についてくるタバスコをかけて食べることが多い。

 すき家でもいろいろと期間限定のメニューがあって、それを頼もうかどうかで気持ちが揺れることもあるのだけど、それでもチーズ豚丼がなくなってからは、チーズ牛丼を頼むことが多かった。

 それにすき家は、近所にあるので、なんとなくわざわざ行く気持ちになりにくいので、外出のときは、吉野家か松屋に行くことになるのだけど、最近、松屋に行くことが増えたのは、期間限定のメニューが魅力的に見えるからだ。

 グリーンカレーがメニューにあったときは、ほぼ必ず注文した。さらには、どんなメニューにもみそ汁がつくのは、やっぱり地味に嬉しいのかもしれない。

 たぶん、多くの人も似たように、それぞれの牛丼屋のイメージがあって、それで選んでいるのだと思う。

期間限定

 いつの頃からか、松屋では世界のメニュー期間限定で展開するようになっていた。

 どうやら、それは、2020年頃からであって、コロナ禍で個人的にもほぼ外出をしていないから、なんとなく情報で知っているだけで興味はあったものの、詳しくは分からないままだった。

 それでも、あまりメジャーではない世界の料理は、基本的にはその専門店に行かないと食べられない。そうすると、都内ではここしかない、といった店に入らないと、食べられないことも少なくない。

 だから、かなりハードルが高く、そうした料理に接すること自体が少なくなるから、こうして入りやすい牛丼のチェーン店のメニューの一つとして出してもらえれば、ほとんど知らないような国の料理でも、かなり気軽に食べることができる。

 そんなことを考えると、そうした試みは明らかに意味が大きいような気がしていてジョージア料理も食べたかったのだけど、その際は、ニンニクがたっぷり入っているので食べるタイミングを考えていたりもしていたら、そのうちに機会を逸していた。

ポーランド

 コロナ禍が少し下火になったとしても、身近に重症化リスクの高い人間がいるから、外出もなるべくしないままで暮らしていて、だから、外食の機会そのものが少ないままだった。

 それが、しばらく行っていなかったトークイベントに出かけることになり、開始が午後7時なので、その前にその会場の近くに松屋があることを調べ、それならば、その時の世界のメニューを食べようと考えた。

 そのときはポーランド風の「ミエロニティハンバーグ」というメニューだった。

 ポーランドも縁が遠かった。一度だけ海外旅行に行ったことがあって、そのときはベルリン、ウィーン、プラハ、ハンガリー、ベオグラードと短い日程で回ったけれど、たぶんその時が最もポーランドに近いはずだった。

 だけど、いまだに地図などで見て、すぐ隣を電車で通っていたのか、と思っても実感としては遠く、それよりもサッカーのワールドカップで見るポーランド代表の方がイメージがしやすい。

 だから、その国の料理はもっと分からなくて、印象すらないから、ミエロニティという文字を読んでも、知らないスポーツの分からないルールのように、もっと遠い気持ちになる。

商品開発のきっかけはポーランド大使館より昨年「ポーランドの食文化を日本で広めたい」とのご提案を頂き開発をスタート。
ポーランド大使館の職員様にもご協力頂き、何度もお打合せを重ね販売に至った松屋のポーランド風オリジナルハンバーグメニューです。

ポーランドの方々に「本商品」をご試食頂いた際、この商品名「ミエロニィハンバーグ」をご提案頂きました。
当初、別の商品名を予定しておりましたが、ポーランドの方が実際に食べて頂いた上でのご提案であったため、即採用とさせて頂きました。

(「松屋」サイトより)

 こうした経緯を読むと、国際親善を飲食産業が行なっていて、なんだかすごいような気もするし、同時に「ミエロニティ」とは別の商品名を予定していた、ということなので、その元の商品名も気にはなる。

「ポーランド風ミエロニィハンバーグ」は、ポーランドの家庭料理を日本のごはんに合うようにアレンジしたソースが決め手の逸品です。
 こだわりは牛・豚・鶏、3種の肉の旨味が溶け込んだ、コク深クリーミーな濃厚きのこソース。
 豚脂の豊かな味わい、ヨーグルトの爽やかさの中に感じるクリーミーさ、オールスパイスの香り、そして醤油とほんのわずかなカレー粉で絶妙なスパイス感が出るように仕上げました。
またこの度、ごはんにも工夫を施し、バターライスにてご提供いたします。
 バターとコショウでいつもとちょっと違うライスに、マッシュルームのアクセントが効いた濃厚ミエロニィソースが相性抜群の新メニューです。

(「松屋」サイトより)

 こうして、味に関する情報もあるものの、写真を見ると、煮込みハンバーグに見え、知らない国の料理を食べるのならば、食べたことがないようなものを経験したいという気持ちがあったから、ちょっと気持ちが引けていて、松屋のサイトを見たら、それ以前の違う国のメニューもあって、その方が、勝手な話だけど「異国感」があったので、やや迷いながら出かけた。

松屋

 久しぶりの外食。

 トークイベントで夜遅くなるし、その前に食事をしたいから、という理由で、自分だけで外食するのは申し訳ない気持ちもあったけれど、妻は快く、好きなものを食べてきて、と言ってくれていた。

 夜に出かけること自体が少なかったけれど、いわゆる繁華街のような街は、午後6時近くで、すでに活気があった。高齢者が多く静かな自宅付近と比べると、歩行者の年齢層も若く、そして、仕事も終わって、これからどこに行こうか?といった熱量がある人も少なくないようだった。

 そういう独特のエネルギー自体から遠ざかっていたけれど、広めの道路に面した歩道を歩いていると、ビルの一階には思った以上に飲食店が多く、それもラーメンや肉系など、いわゆるこってりした印象のお店が多い。

 そういう中で、チェーンの飲食店が3店舗ほど並んだビルの一階に目指す松屋はあった。

 外には、「ミエロニティ」の大きな垂れ幕があり、いま推しているメニューなのはわかる。そうしたものを頼むのも、なんだかちょっと恥ずかしい気持ちもあるのは、あまり意味のない意識過剰でもあるのだけど、店内に入ったら、客は4〜5人で空いていた。

 券売機を使ったら、期間限定のようなところを押したら、以前よりも少ないタッチ数で、すぐにポーランドのメニューが出てきて、ご飯を小盛りにしたけれど、値段が変わらないのが微妙に不満だった。それでも、明らかに券売機は以前よりも買いやすくなっていた。

 というよりも、これだけ販売の競争が激しい現代で、どうして以前のような券売機が設置されていたのだろうと、こうして変更になって改めて思う。
 もしかしたら、普段から、こうしたチェーン店を利用してきていないスタッフが、技術優先で開発してしまったのだろうか、といった余計なことも考えてしまったが、食券が出てきて、番号が振ってあって、その番号が呼ばれるまで、少し時間があった。

ポーランドは遠いままだった

 ポーランド風ミエロニティハンバーグ定食にしたから、930円。いつもの牛丼チェーン店で頼むにはちょっと高額だけど、ポーランドだから、といった言い訳を勝手に自分の中でしながら、カウンターに行って、自分の席に持ってくる。

 お茶はセルフサービスで、最初は冷たいお茶にした。

 サラダが付いていて、いつもはゴマドレッシングにするのだけど、ポーランドはヨーロッパだから、という気持ちになって、フレンチドレッシングを使っていた。

 ごはんにバターがのっている。イメージとしてはすぐに溶けるのかも、と思っていたのだけど、少し感触が固いままで、なかなか一体化はしない。

 ハンバーグは、食べると、おいしかった。

 煮込みハンバーグ定食だと思えば、それこそ「普通においしいハンバーグ」だったし、これだけいろいろな味がするのも久しぶりに食べた気がする。

「ポーランド風ミエロニィハンバーグ」は、ポーランド風のオリジナルハンバーグメニュー。牛、豚、鶏の3種の肉の旨みが溶け込んだ、コクのある濃厚キノコソースが特徴的です。

(「電撃オンライン」より)

 そんな特徴はサイトなどを読んで知っていたので、そんなことを意識もしつつ食べたけれど、そういう際立った特徴のようなものは分からず、だけど煮込みハンバーグとして食べておいしかった。

 確かにキノコの感触や、ソースが濃厚なのはわかったけれど、ポーランドが感じられなかった、というよりは、自分自身が、ポーランド料理がどういうものかを知らないのだから、そういう分析的な思考は無意味だったはずだ。

 だから、今回はポーランド風を意識しない方が、ハンバーグ自体を楽しめたかもしれないけれど、基本的にはポーランドは遠いままだった。

 ただ、今までポーランド料理を意識したことは、おそらく一度もないから、もし今度街を歩いていて「ポーランド料理」の看板などを見つけたら、この松屋で食べた「ポーランド風」がどれだけポーランドなのか?を確かめたくなる可能性はある。

 こんなにポーランドを連発する機会も初めてだし、こうした気持ちになったことで、今回、ミエロニティハンバーグの体験は、自分の世界を広げるかもしれない。

 とはいえ、またグリーンカレーも食べたいし、機会を作れなかったマッサマンカレーも食べてみたいから、どちらかといえば世界のカレーに興味が向いているのかもしれない、などとも思う。

 だから、社交辞令ではなく、今後も、松屋のこの世界の料理シリーズは、ちょっと楽しみになっている。




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