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解けない謎

  確か、私がお風呂に入っていて、妻だけがテレビを見ていたときだった。

『ミュージックステーション』で、あいみょんが歌ったらしい。妻は好きなので、おそらく集中して見ていたと思うのだけど、その時、珍しく歌詞を間違えたようだ。


あいみょん

 髪型も今までとかわっていたし、二度も間違えて、頭を抱えていたし、大丈夫かな。

 妻は、そんなふうに心配の方向に考えていたようだった。

 私は、見ていないからなんとも言えないけれど、そういえば、しばらくテレビで歌っている姿を見かけていなかったから、久しぶりでの緊張もあるのかも、といった話をしていた。

 ただ、後日、この間違いに対して、あいみょんのリアクションに関して、「かわいい」と表現する人もいることを知った。

 途中で歌の入るタイミングを間違えてしまい、驚いた表情で可愛らしく頭を抱える様子が放送された。

 歌唱後も舌を少し出し、お茶目な表情で手を合わせ「すいません」と口パクでメッセージ。エンディングでも終始、頭を抱え驚いた表情を見せ「ほんとすみません」とコメントしていた。

 この様子にファンからは「リアクションが可愛すぎる」「初披露で緊張してたのかな?お疲れ様!」「ギャップがあって最高に可愛い」「好きすぎる!」「歌唱中と後のギャップに萌えた」と反響が寄せられている。

(『modelpress編集部』より)

 妻が不安げに語っていたこととあまりにも違っていた。

ドラマ

 この日、あいみょんが歌ったのは、『会いに行くのに』だった。

 妻は、ごく当たり前のように、「これ、ほら、あの花咲舞のドラマの曲でしょ」と言われ、私の記憶では全く違うドラマだったので、一応、検索して、「いや、あの、記憶がなくなる脳外科医の話の---」と、『アンメット』のことを言ったのは、おそらく、ドラマのタイトルは覚えていないのではないかと思ったせいだ。

 最初は、記憶喪失もので、そうした症状をドラマに使うことに微妙に抵抗感もあったし、『博士の愛した数式』のことも思い出して、やや乗れなかったのだけど、静かに話をする杉咲花のあり方と、〝それまでとは違う優秀な脳外科医像〟を感じさせてくれる若葉竜也が新鮮で、回を追うごとに興味が持てるようになっている。

 ただ、あいみょんが歌っているのは、このドラマの歌だったのは間違いないはずだった。

文字

 妻が、『花咲舞が黙ってない』の歌だと思い込んだのは、あいみょんが間違えて頭を抱えているときに、そのタイトルがテレビ画面に映ったから、と言っていた。

 このドラマは、以前、別の人が同じ役をしていたのに、またドラマにするのは不思議だったけれど、『シン・ウルトラマン』で、メフィラス星人を演じたのを見て以来、感心し、気になるようになった山本耕史が出ているので見るようになった。会社を舞台にするドラマにはやや馴染めないことは変わりはないけれど、毎週、視聴するようにはなった。

 そして、このドラマのタイトルは覚えやすいようで、妻の印象にも残っている。

 ただ、『ミュージックステーション』は、金曜日の夜8時。テレビ朝日。
『花咲舞が黙ってない』は、土曜日の夜9時。日本テレビ。

 改めて確認すると、あいみょんが歌詞を間違えた、という普段と違うことがあったとしても、テレビ朝日の番組の画面に、違う番組のドラマのタイトルが映る、のは考えにくい。

 もしも、こうした番組で、出演者の誰かが最近ハマっているドラマのことを話したとして、それが他局のドラマのタイトルを画面で出すのか、と思うと、本当はテレビ局もそれぞれ協力していかないと、より下降線をたどるのは分かっているだろうけれど、まだ、そこまでは行ってないように思う。

 だから不思議だった。

 だけど、妻があれだけはっきりと言っていたので、他の局のドラマのことを映さない、といった「常識」を伝えたところで、納得しないのも分かっていた。

主演女優

 あいみょんが歌っているのは、『アンメット』の主題歌。考えたら、このドラマもフジテレビ系の放送だから、テレビ朝日の『ミュージックステーション』で、他局のドラマのタイトルを映像にするのか、というとそれも疑問だった。

 でも、ドラマに使われている曲、ということを伝えたいとすれば、おそらくは、主演女優のことに触れるだろう。ということは、もしかしたら、「杉咲花が主演するドラマ」といった表現にしている可能性もある。

 杉咲花と、花咲舞。

 漢字が2文字も共通している。

 妻は、好きなあいみょんが歌っていることで気持ちがあがっていて、おそらくちょっとワクワクもしていて、それなのに、歌詞を間違えるというハプニングがあり、どうしたんだろう?という戸惑いがあって、最後まで頭を抱えるような姿が映され、そんなときに「杉咲花」という文字が映っていたら、ドラマ、という文字と共に、『花咲舞』につながっても、おかしくないと思った。それは、そのとき、妻がたぶん動揺していたせいもある。

 そんなことを思って、「杉咲花」とメモ用紙に大きめに書いて、自分が想像したことを妻に伝えた。

解けない謎

 その反応は、ああそうかも、といった沈み気味の反応だった。

 もちろん、そんなことを勝手に想像されて推理されても不快だろうけれど、それでも、その時に、どうして『花咲舞』につながったのかが、どうしてもわからないところから、ある程度は、これかも、といったところまでたどり着いたので、妻にとっては嫌なことだとは思ったのだけど、分からないままなのが、こちらもモヤモヤしたままだったので、甘えてしまったのだと思う。

 だけど、そのときのことは、やっぱり、その映像も見ないと分からないかもしれないけれど、もし、同じ画像を見たとしても、妻と同じような気持ちや感覚にもなれないだろうし、おそらくは妻にとっては責められるような思いにもなるだろうから、改めて申し訳ない気持ちになった。

 ただ、「解けない謎」は、特にミステリー小説をほとんど読まない人間にとっても、どうしても考えたくなってしまうことも身を持って知った。


 次からは、謎を考えるのではなく、もっと妻の気持ちのことを考えたいと思っています。



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