見出し画像

テレビについて㊽アニメの再放送が相次いで、気がついたこと。

 ハレームアニメ、という言葉があって、それは、(男性にとって)本当に都合がいい設定になっている。

ハーレムアニメ

 主人公の男子(高校生くらいが多い)が、様々なタイプの魅力的な女性たちから、自分が何をするわけでもないのに、なぜか好意を寄せられるというスタイルで、そんな露骨なストーリーは、需要があるかもしれないけれど、時代が進むと、だんだん放送が難しくなるのではないか、と思ってもいる。

 それでも、微妙にスタイルを変えながらも、とても根強く続いている。

ハーレムアニメとは1人の男性キャラクターに対して、複数の女性キャラクターが恋愛感情を抱き、言い寄ってくる設定の作品を指します。

 ただ、こうしたスタイルは、おそらくは物語の世界でもあって、もしかしたら、熱心なファンには怒られるかもしれないけれど、村上春樹の「ノルウェイの森」も、基本構造は似ているように思ってしまったことがあった。

 さらには、もっと古くから、三角関係や不倫というテーマは繰り返し扱われてきたから、人類の物語の基本の一つかもしれないから、こうして続いているのだと思う。

いじり系?

 それほど多くアニメを見ていないから、正確に語れるわけでもないのだけど、少し違う流れが出てきたと個人的に思ったのが、「からかい上手の高木さん」のあとの、「イジらないで、長瀞さん」だった。
 美術部のセンパイを、後輩のスポーツ系とも言える長瀞さんが「いじる」展開で、あくまで1対1の人間関係が基本になっているようだった。

初めて見る人からは、長瀞さんの性格について「怖い」「きつい」という感想が、ネット上ではめちゃくちゃ多かった。

 確かに、そんな印象もあったのだけど、好評だったのか第2シリーズも始まって、それは「2nd Attack 」として放映されていて、それは確かに「いじり」だけではなく「好意」も表に出るような流れになってきて、オーソドックスなラブコメに近づいているようにも思う。

 さらに、その流れの影響があるのだろうか、と思えるアニメが始まったように感じた。(教室の隅で展開されるストーリーは「からかい上手の高木さん」寄りかもしれない)。

高校1年生・白石純太には、誰にも真似できない性質があった。
隣にいても気付かれない、毎日出席していても欠席だと誤解される——。
彼は、存在感ゼロの"モブ"男子だったのだ。
それでも彼なりに慎ましく学園生活を送っていたのだが、ちょっぴり厄介なことが一つだけ。
なんと同じクラスの"ヒロイン級"美少女・久保さんだけが、彼を見つけてはちょっかいを出してくるのだ。
特別になれない"モブ"男子と、彼の前に現れた"ヒロイン"女子。

 ハーレムアニメ、というよりは、こうした「いじり」の気配のあるようなマゾヒスティックなアニメの流れの方が強くなっていく気もするけれど、それは、同時に複数の関係性よりも、あくまでも1対1の恋愛関係を描く作品が多くなっていく傾向なのかもしれない、などと思っていた。

 ただ、それは、やはり「痴人の愛」のような作品もあるのだから、ある種の伝統をくんでいるのだとも、思う。

再放送

 そのアニメ『久保さんは僕を許さない』が、6話が終わった時点で、再び1話からの再放送になった

 ただ、恥ずかしながら、私が知らなかっただけで、2023年の1月の時点で、次々と3作品の再放送が決まっていた。

NieR:Automataは延期の理由を「中国における新型コロナウイルス感染拡大の影響」と説明。他の2作品は中国とは書いていないが、やはり「感染拡大の影響」としている。
 アニメ制作の下請けに中国企業が多いことは知られているため、SNSでも「中国はコロナ(感染)多いようだから仕方ない」といった声が多く聞かれた。中には「中国に頼った結果」「スケジュールに無理がある」といった辛口な意見、実は感染拡大より「春節の影響ではないか」といぶかしむ声もあった。
 コロナ禍以降、アニメの放送延期は頻発している。2022年には東映アニメが外部からの不正アクセスを受け「デリシャスパーティプリキュア」「ONE PIECE」など複数の作品の放送予定に影響を受けた他、「ゴールデンカムイ」はメインスタッフの急逝により放送を延期せざるを得なくなっている。

 中国の感染拡大が注目を集めたのは「異世界おじさん」からだった。もともと7~9月期に放送していた同作品は、放送延期後に10~12月のアニメとして再スタート。しかし終盤になって再度の放送延期を発表し、最終話(13話)は未放送のままとなっている。

「異世界おじさん」は、再放送が繰り返されたり、最終話だけ延期になっていることも、やや込み入った構造と、ややこしい主人公の、このアニメには合っている気もしたが、これだけ、アニメの制作が遅れたり、延期したことは、それほど記憶にない。

シックスハートプリンセス

 アニメという大量の画像が必要で、以前は手作業に近かったから、過酷と言ってもいい状況だったのは、想像するしかないのだけど、それが、映像を通してとはいえ、本当に大変なんだ、といったことをより分からせてくれたのが、現代美術家の村上隆だった。

 アートによって世界的な存在になった村上隆が、アニメ制作に乗り出したが、どうやら、(比喩的にいえば)かなり自力で一つずつ始めたらしく、そのために、その制作が難航しているようだった。

2016年12月30日には『6HP/シックスハートプリンセス』のタイトルでTOKYO MXにて放送された。なお、放送前に村上は「制作状況が逼迫し未完成であるが、線画・背景レイアウト状態で放映する」と述べ、本編映像に加えて「謝罪&言い訳ドキュメンタリー」という構成になることを明かしていた。[2][3]2017年6月24日にはフルCG版として19:00から1時間枠で放送される。しかし、その後ストーリーが全く異なる第1話「然れども天地の御真名」が同年9月29日にTOKYO MXで放送され、それ以降不定期に放送されている[4]。全15話予定。

 特に、この「謝罪&言い訳ドキュメンタリー」は、村上隆本人も出てきて、難航する現状について、おそらくはかなり正直に伝えてくれているので、アニメ制作の大変さ、というよりは、過酷さについて、視聴者でも少しわかったような気がした。

 今、「6HP/シックスハートプリンセス」は、第7話まで放送されているが、第8話の放送は、現時点では、どうやら未定のようだ。

アニメ制作の過酷さ

 2022年から、2023年にかけて、アニメの再放送が相次いだ。

 それは、コロナ禍の影響ということも言われていて、それがどのような出来事によって、徹底的に制作が遅れたのかは分からないし、もしかしたら、視聴者にとっては、とても意外な連鎖によって、やむを得ず再放送になった事情も知りたい気持ちはある。

 ただ、何より、これまで毎週、アニメを見続けることができたのは、奇跡に近いことかもしれない、と思うようにもなった。

 おそらくは、本当にギリギリのスケジュールで制作を続けていたから、まれに、作画崩壊のようなことも起こっていたのだろうけど、今回は、制作が完全に間に合わないのは、よほどの事情があるのだろうと感じた。

 こうした再放送が相次ぐことがなかったら、もしかしたら、元々のアニメ制作がギリギリの状態だったことを、改めて感じることもなかったかもしれない、と思うけれど、制作者は、こうした状況に対して、どのような気持ちでいるのだろう、と考えたりする。



(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。



#コンテンツ会議    #アニメ   #ハーレムアニメ
#いじらないで長瀞さん   #久保さんは僕を許さない
#再放送   #コロナ禍   #制作   #アニメ感想文
#村上隆   #アニメ制作   #シックスハートプリンセス

記事を読んでいただき、ありがとうございました。もし、面白かったり、役に立ったのであれば、サポートをお願いできたら、有り難く思います。より良い文章を書こうとする試みを、続けるための力になります。