「軒先」を直した午後
建ててから50年以上たっている古い木造の家に住んでいる。
だけど、こうして暮らしていけるだけで、有難い気持ちはあって、あちこちが古くなり、壁の塗装もはがれている、といった外観になっていて、その古さは外から見ると、よく分かるのだけど、私は貧乏でもあるし、いろいろと直せなくて、でも、そんなに気にならないので、そのままになっている。
妻は、この家で育ったこともあって、そういう古さも気になるようで、ちゃんと直せなくて申し訳ない気持ちはある。
それでも、実質的に支障が出ない以上は何もしていないのだけど、この前、関東地方にも強風が吹き荒れて、電車の運行に影響が出ていたようなことがあって、その風のために、うちでも裏口の「軒先」の波型の半透明の「屋根」(ひさしの方が正確な表現かもしれないけれど)が地面に落ちてしまった、と妻に聞いた。
軒先の重要性
その「軒先」は、張り出している長さが50センチくらいだし、外から見ると、本当に小さい「屋根」なので、特に影響もないと思っていて、そんなに重要なものだと思っていなかった。
妻は、家のことは、私よりきちんと把握しているので、その軒先の大事さをわかっている。一時期、「屋根」がなくなっていたことがあったのだけど、その頃は、雨が直接、裏口のドアに当たったせいか、そのドアを支える部分の木材部分が少し腐ってしまったり、といったことも見ている。今回も、その「屋根」が飛ばされて、さらに、その「屋根」を支えている部分まで少し破損しているようだった。
天気もいい日が続いているし、それもあって、私は、より油断していたと思う。
その軒先の「屋根」は、地面に置かれていて、だから、気にならなくなっていたが、天気予報を確認している妻に、雨か雪が降るから、その前に何とかしたい、ということを言われた。
修理をするときに、「屋根」の場所は、脚立を使って、その上で作業をすることになるから、私の手が必要だということだった。
だから、その軒先の「屋根」を直す締め切りだけは決まっていた。
修理の準備
午前中に起きた時は、1階の縁側のような場所に、工具が並んでいた。
妻が、「屋根」の修理の準備をしてくれていたのだった。
こんなに、いろいろなものがあるのを知らなかった。
実際に作業をするのは、昼食を食べて、いつものように妻は昼寝をして、その後に起きてから、そこから「修理」を始めるのは決まった。
それでも、手作業は、基本的に私は、とても不器用なので、何かを修理すると考えるだけで、憂うつになるのは変わらなかった。
もめながらの作業
午後になり、妻が昼寝から起きてきてから、作業を始めることになった。
妻が、手順を考えてくれて、ノコギリを使ったり、電動ドリルを使って、穴を開けたりを始めた。最初に、電動のドライバーがとても使いにくくて、普通のドライバーのことを聞いたら、「ない」と言われて、イライラしてしまった。結局、ドライバーがないままだった。
その後も、妻が考えてくれた手順に従って、ノコギリを使って、木材を切って、それから、それを貼り付けて、破損した部分につけるL字型の「部品」はできた。
それを、軒先の破損した部分にくっつけて、そして、落ちてしまった波型のプラスチック?製の「屋根」を持ち上げて、その部分に設置しようとしたのだけど、うまくつかなかった。それはサイズをきちんと把握してなかったからで、脚立の上で、できないことが発生し、イライラしてしまい、妻ともめた。
普段、穏やかな妻が怒っているのだから、あとで考えたら、ちゃんと準備をしてくれたのに、ドライバーがない、などと文句ばかりを言われて、頭にきてもおかしくなかった。こちらの未熟さで不快な思いをさせてしまったから、申し訳なくも、恥ずかしい話と気付くのは、それから時間がたってからだった。
それでも作業中は、一度、釘打ちした「部品」を、場所が違っていたら、「また取ればいいのに」などと妻に言われ、イライラしていた。
脚立の上で、ヒザを曲げた中途半端な姿勢で作業を続けていて、疲労のためか、ももが震えることもあったし、打ちつける場所が古くなっていたから、何度も釘を打ったり、抜いたりしたら、全体が割れるのではないか、という怖さもあって、取ればいいのに、といった言葉に頭に来てしまったが、妻はかなり妥当なことを言っているだけだったから、そのことでイライラしている夫は、不可解で、さらに妻が不快になっても、当然だったと思う。
「屋根」の復活
それでも、その「部品」をもう一度はずして、くっつけて、なんとか「屋根」はのっけられた。あとはヒモで縛り、補強することになるのだけど、それは、妻の指示通りに作業を進めて、あとは、用意してくれた防水のテープを貼ればよかった。脚立に乗って、高い場所での作業をさらに続けて、なんとか「屋根」が形になってきた。
そういえば、この「屋根」は、以前に何度も落ちたことがあったのだけど、その度に、妻は工夫をして、ヒモでなんとか固定してくれていた。今回、作業をして、改めて、そんな困難な作業をしてくれていたことに、改めて少し驚き、申し訳ない気持ちにもなった。
一応は「屋根」が復活した。
ここまで大体2時間の作業。
もめたこともあって、二人でぐったりしていた。
今後のこと
もっと和気あいあいと作業をしたいのに、という妻に対して、確かにその通りだとも思ったので、今度は、作業をする時に、準備をする段階から一緒にやらせてほしい、ということを提案する。
そうすると妻は、そのことで、余計に自分がただ走り回ることになるのではないか、ともっともな警戒をするので、そんなことはないようにするので、という話をした。
次は、本当に、もっと和気あいあいと作業をできるようになるのが、今年の目標の一つにもなった。
おしるこ
妻に、準備も一人でさせてしまったこともあったので、あやまり、その後に、コンビニに行った時に、和のスイーツがいい、という妻の言葉があったので、小さなおしるこを買った。自分は、あんことホイップクリームが入ったどら焼きにした。
今年は喪中なこともあるし、まだ餅を食べてなかったので、おしるこに、小さいけど焦げ目までついた餅も入っていたので、それを買った。
一緒に食べた。
妻は喜んでくれた。
よかった。
(他にもこうした記事を書いています↓。読んでいただければ、ありがたく思います)。