なにか物足りないと思う時は、「幸せの要素」を思い出して、確認してみる。
辛い時ほど、その辛さで頭がいっぱいになる。
それを何とか乗り越えて、ほっとした時期を過ぎると、脱力したような、何もしていないような、ぼんやりした時が来る。
考えたら、辛さという圧力がなくなって、それは気になることが一応なくなったのは、実は幸せなのではないか、といった気持ちにもなるのだけど、それでも、何か物足りないような、つまらないような、そんな思いになることがある。
そんな時、時々、思い出す本がある。
「幸せのメカニズム 実践・幸福学入門」 前野隆司
この書籍の中では、調査した結果として、幸せを構成する4つの因子をあげている。
これを見た時に、確かに、これだけの要素が揃えば、幸せなのではないかと思えた。とても冷静な分析だけど、個人的には納得感があった。
確かにそうなのだろう、と思えた。
自己実現と成長
生きている限り、ずっと同じということはない。
まんぜんと生きていると、老いるだけで、でもそれも変化ではあるのだけど、やはり、それが成長と思えるような変化だったら、うれしい。
しかも、いわゆる自己実現につながっていたら、それだけで幸せなのは間違いない。
ただ、そんなことを思えたり、実行に移せたりする時は、とても辛かったり、大変だったり目の前のことに追われるだけの毎日だったら無理なので、「自己実現と成長」を目指せる状況にいるだけで、すでに幸せの手前にいるような気がする。
だから、幸福ということを考えると、もしかしたら2段階必要なのかもしれない、と思うことがある。
今、心身を埋め尽くし、すり減らすような辛さや大変さがなくなること。
その状況になってから、初めて、自己実現や成長を目指せる、ということになるのだろうか。
その発想には、心理学者・マズローの影響があるのかもしれない。
欲求階層説
安全の欲求、生理的欲求などの欲求が満たされて、そして、最も高次の欲求が「自己実現」と言われている。だから、幸福を目指すにしても、基本的な欲求を満たした上のことになるので、それ自体が、とてもぜいたくなことにさえ思えてしまう。
ただ、「幸せのメカニズム 実践・幸福学入門」による「幸せの因子」の一つは「自己実現と成長」とも言われているけれど、それは「やってみよう」とも表現されているから、もう少しラフに考えてもいいことかもしれない。
「やってみよう」
だから、個人的には、何か物足りない。何か違うような気がする。そんな時に、まず確認するのが、「やってみよう」が足りないのではないか、ということだったりする。
それは、ずっと同じような毎日だと難しくなる。
もちろんそんな日常でも、自己実現と成長は可能だけど、それが「同じような」と感じるということは、すでに退屈していたり、少し飽きたりしているのだと思う。
だから、そんな時は、今まで自分がやっていなかったこと。やりたくて、まだやっていないこと。ささやかでいいので、新しい体験をするようにしている。
いつもと違うこと。大げさでなく、そんなに遠くなくても、行ったことがない場所に行っただけで、ちょっと気持ちは変わる。まだ飲んだことのない新しい飲料、食べたことがないものを購入し、体験するだけも、ちょっと違う。
こういう変化でさえ、意識しないと、毎日が、ただの繰り返しになりがちだったりする。だから、なんか変だと思った時は、「やってみよう」が欠けていないか。それを確認することに意味があるとは思う。
楽観的
改めての引用になるけれど、この因子の中で、「やってみよう」は忘れる時があって、「ありがとう」は、つながり自体は少ないけれど、感謝は比較的ある。と思うけれど、これも、辛さの真っ只中にいるときは難しいから、ある種の余裕のある状態なのかもしれない、と思う。
この因子の中で、「あなたらしく」は、それほど意識しなくても、マイペースなので、個人的には、クリアしている可能性が高い。
どうしても難しいのが「なんとかなる」だと思う。
前向きと楽観は、自分にとっては、おそらく本当の意味で身につくことはない要素だし、どうしてもネガティブになりやすいのだけど、それでも、「なんとかなる」が幸せのために必要だと思えば、ネガティブの度合いが少し弱まるかもしれない。
忘れないようにしたいこと
他にも、なんだか満たされないような気持ちの時に、忘れがちになっていることもある。
美しさを発見する能力が幸せにつながるとすれば、もしかしたら、こうして書き続けることも、幸せにつながるのかもしれない、と思うこともある。
改めて、マズローの欲求階層説から考えると、ある程度の欲求が満たされないと、幸せを目指せないのだろうか。そんなふうにも思うけれど、でも辛さに覆われているような日々が続く時も、この幸せの因子のことを覚えていれば、そうした時でも、その因子の中で、少しでも目指せるようなことを思い出し、そのことで、わずかでも希望を感じられるかもしれない。
また来るであろう辛い時のために、それも、覚えておこうと、思った。
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