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#55 洞窟の危険

私達は先程チームで入った時と違って
どんどん奥へ奥へと進んだ。

Alexの採掘チームは天井や壁などを
入念に観察しながら進んだが
私達は見ても何もわからないからだった。

2つのランタンが
私達の意思に従うように
常に少し前を照らしてくれた。

分かれ道はあるが
一番大きな通路を進むので
迷うこともなかった。

そのため、先程のチームと一緒に行った
ドラゴンの棲み処らしい空間まではすぐに着いた。


「さっきドラゴンエッグストーンを見つけたのって
この窪みのところよね?」

写真 2021-03-11 11 44 11

その浅いくぼみの中には
少し深くなった窪みもあった。

「やっぱりこういう窪んだ所に
何かあるのかなぁ?」


そんなことを言いながら
ひとつの深めの窪みを2人で覗き込んだ時だった。

地面から僅かな振動を感じた。

「Olivia、なんか…揺れてるよね…?」

Oliviaが返事をしようと口を開いた時、
地鳴りのようなゴロゴロという音が
洞窟のさらに奥から響いてきた。


私達はその奥の暗闇をじっと見つめた。
ランタンが照らそうと向かったが
ランタン達は怯えたように小刻みに震えていた。

次の瞬間、暗闇から巨大な岩が現れた。
ランタン達は慌ててピューンと戻ってきたが
ひとつは壁に挟まれて壊れてしまった。

写真 2021-04-24 16 30 58

もうひとつは私達を置いて
出口の方へ向かって行ってしまった。

私とOliviaは顔を見合わせて
とっさに目の前の窪みに飛び込んだ。

窪みの中で丸くなる私達の上を
巨大な岩がいくつか通過した。


岩がゴロゴロと転げる音、
地面の揺れが治まり、
咳き込みながら細かい石や砂を払って
上体を起こして座り直していると
やっと自分たちの状況が飲み込めてきた。

どうやら奥で洞窟が崩落し
その岩が私達のいたところまで
雪崩れ込んできたのだった。

暗闇に少し目が慣れてきて
自分たちのいる空間を眺めてみた。

私達が身を潜めたその窪み
大人が4人座れるくらいの空間だった。

体育座りをした状態で
頭のすぐ上は大きな岩が蓋をしていた。


そうやって観察していると
すぐ隣にいるOliviaの呼吸が荒くなっているのに
気が付いた。

”Oliviaは狭いところが苦手なの”
Alexにそう聞かされていた。
Oliviaはパニックに陥りかけているのだった。

「Olivia、大丈夫?
しっかり深呼吸して。」

Oliviaの背中をさすりながら
出られるような隙間がないか探した。

目の前の岩を手で伝って隙間を探すが
こぶし大くらいの細長い隙間以外は
見つからなかった。



Alexや採掘チームの皆は
この洞窟の奥での崩落に気付くだろうか。

そもそも私達が洞窟に入ったことも知らないはず。
ここまで探しに来てくれるのだろうか。

Oliviaが完全にパニックに陥った時
自分達はどうなってしまうのだろうか。


不安ばかりが頭の中を駆け巡った。



これが洞窟の危険
身を持って知った時のおはなし。
続きはまた次回に。


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