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夜に来る13月のゆうれい

こんばんは。今日もお疲れさまでした。

双子に憧れていた時期がありました。自分と同じ顔だけど、自分と同じ人ではない、その不思議な感じに心惹かれていたのです。

「13月のゆうれい」は高野雀さんの漫画です。ネリとキリは、男性と女性の双子。ネリは女の子でボーイッシュな服が好き、キリは男の子でプライベートではモテ系ファッションを好む女装男子という設定。性別と着ているものがあべこべのような二人は、自分の中に「決めつけ」というゆうれいを飼っているのです。そのゆうれいから自分を解き放つ物語です。

普段は気にしていないし、「自分が好きだから」という理由で身につけている服や自分で世界は廻っているような気がしているのですが、実はちょっと外に目を向けるだけで世界は広がるのでしょう。

そんなことは何となく分かっているのですが、夜にこのゆうれいはやってくるのです。「私はこうだから」というゆうれい。私の場合は、「一人が耐えられないから3人のボーイフレンドが必要」なのだというゆうれい。本当は、3人ともいなくても、きっと平気なのです。

この夜に「大丈夫」だという誰かが居れば、なおいいことでしょう。

息子も寝静まる深夜に、ゆうれいが囁きます。「寂しいでしょう?」。心の中で私は答えます。「本当に?」ゆうれいと押し問答をしていたら、いつの間にか夜が明けています。私のゆうれいはいつ成仏してくれるのでしょう?

今夜はゆうれいに会わないように、少しお酒を飲んで眠ることにします。おやすみなさい。

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