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落下する夕方は夜に読む

こんばんは。今日もお疲れさまでした。

江國香織さんの小説はお好きですか?私は、高校生の時に出会ってから20年近く愛読しています。沢山の作品がありますが、一番好きなのが「落下する夕方」です。映画化もされ、それを見にいく程でした。

同棲していた男の恋人が片思いする女性「華子」と振られたリカが一緒に住むことになるおかしな三角関係の物語です。「華子」は私にとって魅力的な女性でした。美人でちょっとミステリアスで、絶対にどんな男性にもなびかないという強さを見せるのに、女性にはちょっと甘えてしまう可愛さを兼ね備えているのです。

「華子」になりたいとずっと思っていました。私は誰にもなびかないのよ。あなたと体を重ねても、それは好きじゃないと言い切れる華子の歪な理屈が好きでした。

彼女は男とは住まないので、リカの家で住み始めるのです。リカの気持ちなんてお構いなしにと言いたくなりますが、彼女たちは不思議と寄り添い暮らしていけるのです。

リカの恋人の健吾が二人の家に遊びにきます。そして夜ベランダから女性二人で、帰って行く彼に手を振るのです。遠くには月が見える明るい夜です。

あのシーンがすごく好きで、夜たまにベランダでお酒を飲みます。手を振る相手はいないけど、遠くに月を探すのです。

何度も何度も、ベランダで街頭の灯りの下、私はあの物語を読みます。私は女性に甘える可愛さはないけれど、いつか華子に会えることを願っているのかもしれません。

明日も連休です。彼らに会うことはない私は本を読み耽って過ごしたいと思います。おやすみなさい。

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