見出し画像

土作りに有機物が必要な理由🍂その遠回りな仕組みとは

秋空の下、畑の脇の土手にヒガンバナが真っ赤な花を咲かせています。
その名のとおり、今年もちゃんとお彼岸に合わせて咲いた。近年の夏のおかしな気候が気になってた僕としては、なんだかほっとします😌
こうして季節の移り変わりを自然に体感できるのも、畑仕事の魅力の一つですねぇ🍃😊

秋冬野菜の種まき

今年の9月は残暑がさほど厳しくなく、ほどよく雨も降って、畑仕事にはありがたい気候。例年どおり、次々と秋冬野菜たちの種まきをしています。

画像1

🌱芽が出そろったダイコン。ここから1か所1本まで間引いていきます。

画像7

🌱手前がミズナ、トンネルの中がキャベツハクサイ

画像9

🌱手前がホウレンソウ、奥がニンジン

去年とほぼ同じ作物たちなので、詳細は略。秋冬野菜の種まきについては、1年前のこの記事をご覧いただければ…と😊

5年で変貌した畑の土

ところで、僕の2つある畑のうち、市から借りている市民農園のほうは、最長5年間となる契約の最終年度を迎えていて、来年3月には返さなきゃいけない。あと半年です。
僕としては4か所目の市民農園だけど、ここは5年前、新たに造成して開園されたばかりの所を借りた。最初はほとんど砂場のような土で、小石や砂利だらけの、草ひとつ生えない不毛の地でした。もちろんミミズ1匹いない😢

画像9

画像4

この鉱物しかない無機質な痩せた土に、毎年春と秋の2回ずつ、堆肥や野菜くずなどの有機物を入れては耕し、入れては耕しを繰り返してきたら、5年間で次第に土が肥えてきた
下の写真は、先日耕した同じ畑の姿。土の色が黒っぽくなってますよね😀 様々な有機物が腐植となって、土に混ざっていることを示しています。

画像5

土が肥えて、野菜たちの育ちも明らかに良くなった❗ 相変わらず砂っぽい土だけどね。ミミズも少ないけれど現れるようになりました。

画像6

分かっていたこととはいえ、5年で返すのはほんと残念だよ~😭 次年度以降の畑をどうするかも、そろそろ考え始めないとね🤔

「遠回り」な炭素循環

それにしても、どうして畑の土に有機物を入れると、土が肥えて、野菜が良く育つんだろう

そもそも有機物とは、炭素Cを含む、比較的たくさんの原子が集まった分子からなる、物質のこと。動植物などの生物の体や、その死骸・排泄物は有機物の代表格。確かに「有機的」「オーガニック」っていうと、生き物っぽい響きがあるなあ🦋🐈🌺🌲

野菜はもちろん有機物。様々な堆肥も、まさに植物の死骸🍂や動物の排泄物💩でできている有機物だから、それを畑の土に入れたら、きっとそのまますぐに野菜の養分となるはず。鉱物のような無機物ばかりの土から、野菜のような有機物が育つとは思えないし🙄
かつての僕は、有機物を入れる理由をそう考えていた。

でも自然界、生態系はそんな単純じゃなくて、もっと複雑な事情があるそうです。

まず、植物は炭素Cを、土中から根っこを通して吸収しているのではなく、大気中から二酸化炭素CO2として取り入れている。そのCO2と水を原料に体内で「光合成」をして、有機物(まずは炭水化物)を作ってるんです。
ちなみに、人間を含む動物の体となり、エネルギーとなっている有機物も、元は植物が光合成で作った有機物に由来する。食物連鎖ってやつですね。

炭素循環

(第一学習社『改訂 生物基礎』2017年)

それに、植物が根っこから吸収する養分は基本的に無機物で、有機物はあまり吸収しない。文系人間の僕にはよく分からないけど、きっと有機物は分子を構成する原子が多すぎて、つまり分子のサイズが大きすぎて、吸収しにくいんじゃないかな🤔
だから、土中の有機物の栄養を野菜に取り込もうと思ったら、いったん無機物にまで分解して、根っこから吸収しなければならない(ここで炭素CはCO2として大気中に去る)。
その吸収した無機物をまた野菜の体内でCO2と再会させ、色んな有機物を作ってるんだ。何だか遠回りなことしてるなあ…😓

ちなみに、いわゆる化学肥料は無機物で出来ていて、有機肥料と違って分解せずに野菜の根っこからすぐに吸収されるので、速効性なんだそうです。

このように、野菜は炭素を大気中から取り入れているし、根っこから吸収する養分のほとんどは無機物。だったら畑の土には化学肥料だけ入れてりゃいいじゃん❗ なんでわざわざ堆肥とかの有機物を入れるのか❓❓❓

物の本によると、畑に有機物を入れると、土壌の①生物性、②化学性、③物理性が改善されるから、だそうです。
やばっ、文系人間のアレルギーワードが並ぶ😨 あと少し頑張って書くぞ…

土の生物性・化学性を良くする

まずは①生物性の改善についてです。
畑の土には、ミミズや虫などの小動物のほか、菌や細菌などの様々な微生物がいる。細菌でいうと、なんと土1gに億単位で、ウヨウヨ生きているそうな😲
土壌に有機物があると、それをエサとする小動物や微生物の数が増えて、土が活性化されます。さらに微生物の種類も増えて、多様性やバランスが保たれることで、野菜にとって病原菌となるような、特定の微生物ばかりが繁殖することを抑えます。

次は②化学性の改善について。
それらの微生物が、土の中で有機物を分解して、野菜が養分として吸収できる様々な無機物を作り出します。野菜の5大栄養素と言われる窒素N、リンP、カリウムK、カルシウムCa、マグネシウムMgなどです。
例えば、硝化菌という細菌は窒素化合物を分解しています。微生物の働きは分解だけじゃない。菌根菌という菌は、土中にネットワークを張り巡らせてリンなどを根っこに集めている。根粒菌などの窒素固定細菌は、大気中の窒素を取り込んで野菜に与えてくれている。

上の文章、やたら「菌」の字が多いな…😓
除菌抗菌殺菌滅菌とすごく潔癖な世相になってるけど、こうして見れば土なんて菌や細菌の塊。でもその芳醇な菌たちの恵みで、美味しい野菜たちが育つんだよなー😊

土の物理性を良くする

さらに③物理性の改善について。
有機物が土中で分解された後で腐植として残ると、その断片がイオンの力で、土の小さな粒々どうしをくっつける働きをします。これによって土が「団粒」と言われる構造になります。
畑の土は、粒が大きくて砂っぽいと、通気性や排水性(水はけ)は良いが、保水性(水もち)や保肥性(養分が水で流されず土に残る力)は悪い。上記のうちの畑がまさにこれでした。
粒が小さくて粘土っぽいと、この逆になる。砂と粘土の両方がほどよく混ざっている土が理想的だけど、そんな畑はなかなか無いです。

ところが、有機物のおかげで土が「団粒構造」になると、通気性も排水性も保水性も保肥性も全部、良くなるんですって❗
それってどういうこと❓ 排水性と保水性って、矛盾してないかい🤨
その秘密は…文章で説明するより、下の図を見れば一目瞭然でーす😊

団粒構造

(加藤哲郎監修『図解でわかる 土壌・肥料の基本とつくり方・使い方』ナツメ社、2017年)

団粒の内部の狭い隙間には水や養分がたまって、野菜の根っこがそれらをしっかり吸収できる。他方で、団粒どうしの間の隙間は広くなるので、余分な水は流れて、空気も通りやすくなるんです。

土作りはやっぱり奥深い

以上のように、畑に有機物を入れると、土が生物性、化学性、物理性のいずれの点でも良くなる🥰 これこそが土が肥えるということであり、わざわざ堆肥などの有機物を入れる理由だったんですねぇ😀
実際、有機栽培ではもちろんのこと、化学肥料を使う慣行栽培であっても、堆肥などの有機物はしっかり入れてますね。

有機物を入れれば、それがそのまま野菜の養分になるっていう単純な話ではなかった。
目には見えない土の中で、こんなことが展開されている。ちょっと遠回りな面もあるけれど、この複雑さこそが生態系のスゴさなんだよな、きっと…😮

画像12

⇑今日のお話の参照本です。数年前に読んで、理屈を勉強し直しました。

⇑現在進行中のこちらのオンラインサロンも、土作りの勉強になってます。

最後に、ここまでのお話をすべてひっくり返すようなことを書きますね😅
有機物を含めて肥料を一切入れない、「自然栽培」という農法があります。
僕はいま上記のオンラインサロンや、下記の講座に参加して、自然栽培についても勉強しています。

自然栽培講座

どういうことなのか❓ どうやら、肥料は入れないけれど、有機物が不要というわけではないようです。
いつかちゃんと理解したら、このブログにも書きますね。
もぉほんとに、土作りの世界は奥が深~い😲


🍅宣伝:はたすけっとAICHI(ケータの個人事業です)🍅


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?