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鑑賞ログ「崖上のスパイ」

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チャン・イーモウ監督。クールな感じのビジュアルもいい感じだし、チラシだけで観ることに決定。

満州・ハルビンを舞台にしたスパイの攻防を描く。1934年、雪深い山の中。チャン、ワンユー、シャオラン、チューリャンの4人のスパイが日本軍の悪事を暴くための作戦を実行するために集合する。リーダーで元新聞記者のチャンとワンユーは夫婦。もう二人もカップル。お互いを裏切らないように相手を取り替えて二手に分かれて出発。彼らの行手を阻むのは、中国の特務警察。簡単にレジスタンスを殺したり、拷問したりしている。彼らの警戒をすり抜け、任務を遂行することはできるのかーという物語。

崖上のスパイってこの物語全体に流れる、ヒリヒリした感じのことを言っているんだろうな。
活劇!エンターテインメント!って感じ。裏切りに次ぐ裏切り。もう、誰が味方なの⁉︎って話。ワンユー役のチン・ハイルーが綺麗。天海祐希の顔をちょっと憂いがある感じにした雰囲気。あと小蘭役のリウ・ハオツンも可憐すぎてビビる。”可憐”ってこういうことなんだなぁと中年になってようやく言葉の意味がわかった。

スパイ映画だけあって、生と死が交錯する作品なんだけれども、結構そこの演出はドライ。というか、全体的に感情表現は抑制されている感じがするけれど、その感じは私にはプラスの印象。最後の方の再会シーンも、ハリウッド作品だったらかなりウェットになると思うんだけれど、そこも過剰な音楽とかカットワークとかない。一方で俳優の顔が非常に良い。なんかアジア人の精神性を表現しているような気がしてよかったな。

雪深い中を歩く(というよりまさに”漕ぐ”感じ)姿や、雪が積もる市街地での攻防など、冷たい感じの質感が重くていい感じ。そして、映像が美しい。こういうのを観ちゃうと、某邦画のハルビンの安っぽさが…とグチりたくなってくる。チャン・イーモウってオリンピックの開閉式の演出担当したりして、結構政府側の監督というイメージなんだけれど、この作品もやっぱり国威発揚感がちょっとある気がするな。先人たちの犠牲の上に今の私たちがあるんだ!みたいな。ま、ドラマとしてもフツーに面白いんだけども。でもやっぱ画が綺麗!という印象は変わらず。他の未鑑賞作品も観てみようかなと画策中。

ハルビンはちょっと前に見た「ラーゲリより愛を込めて」の物語のはじめだったな。日本の懐古趣味の舞台かと思いきや、中国でもそうなのかな。こういう都市を軸に映画のマトリックスを作っても面白いかも。

っていうか、作品を観た後にホームページを見たらなかなかのネタバレしててびっくり。楽しみ半減しちゃうぜ!

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