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みちのく潮風トレイル 歩き方の基本的なこと まとめ

こんにちは。宮古市を中心にみちのく潮風トレイルや三陸ジオパークのガイドをしている人です。

みちのく潮風トレイルについて、全線を南北それぞれの向きで一回ずつ歩き終えた…つまり往復踏破したうえで私なりの、特にこれから歩き始めようという方への、基本的な留意事項などを整理しました。
(この記事は2024年3月時点での情報で書いています。あくまで記載の情報は目安として、各自の自己責任にて充分な調査や計画のうえで行動に臨んでください。記載内容の正確性や、記載内容を参考にしたことにより生じたトラブルや事故等について、当方は一切責任を負いかねますのでご了承ください)


■公式WEBとインフォメーションセンター

みちのく潮風トレイルは、もともと三陸にあった自然歩道などをもとにして、震災復興の一環として青森県八戸市から福島県相馬市まで太平洋岸を歩ける約1000キロの道を環境省が中心となって整備したものです。

「地元に愛される道」となるように、官民一体で道を育てていこう、という目標がありますので、ルート選定にはなるべく地元の方の意見を聞くなどしています。
もちろん、全線開通してからまだ5年の道ですので、課題や問題点はたくさんありますが、そういった思いは、トレイル憲章として表現されていますので、歩き始める前にぜひ一度はお目を通し下さい。

みちのく潮風トレイルは、決して本格的な登山に比べれば険しい道というわけではないですが、だからといって行き当たりばったりや無鉄砲な行動でどうにかなるほど甘くもありません。

みちのく潮風トレイルは、ずっと「大自然と絶景の中を歩く」というものではありません。
むしろ、三陸や東北太平洋岸の「人々の暮らしの中を歩く」道だと思っています。
例えば、正確に測ってはいませんが体感では、おそらく全線の半分以上は舗装路です。

というより、私自身、みちのく潮風トレイルの中心地のひとつである岩手県宮古市在住ですが、この沿線というのは、自然と暮らしの風景は分けられるようなものではないのです。自然と向き合って暮らしている地域の人達の生き様や現実というものを見て感じてほしいというのが、地元に住んでいる人間としての個人的な願いです。
日本という国の文化の中における暮らしの中を歩いていくということは、自ずからそれに見合った準備やマナー、歩き方が必要でしょう。
人々の暮らしている生活空間の中を歩いていくんだ、ということを前提として、「不要なトラブル」「避けられるトラブル」は可能な限り少なくなるよう、充分な下調べやご配慮のうえ挑んでいただけるといいな、と思っています。

テントの場所が一つです。テントの設置が許可されている場所は限られています。人との交流のためにも、なるべく宿泊施設と公共交通を組み合わせた旅をお勧めします。

また、みちのく潮風トレイル全体の運営は、NPO法人みちのくトレイルクラブが行っていますが、工事中による迂回情報や通行止め情報は、基本的にはこちらのサイトにしか反映されません。歩く前に注意情報だけでも必ず目を通しましょう。

また、環境省のサイトもおさえておくとよいでしょう。

それから、実際に歩き始めると、みちのく潮風トレイルのインフォメーションを提供している施設も頼りになります。
みちのく潮風トレイルのインフォメーションセンターは、主に三陸復興国立公園のインフォメーションセンター・ビジターセンターがサテライト施設を兼ねていて、南から以下のように担当範囲が決まっています。

・名取トレイルセンター:全体的なインフォメーション、および東松島市以南のインフォメーション

・南三陸 海のビジターセンター:石巻市以北~南三陸町以南

・碁石海岸インフォメーションセンター:気仙沼市以北~大槌町以南

・浄土ヶ浜ビジターセンター:山田町以北~岩泉町以南

・北山崎ビジターセンター:田野畑村以北~久慈市以南

・種差海岸インフォメーションセンター:洋野町以北

ただ、注意が必要なのは、名取を除いては、「みちのく潮風トレイル専門の施設ではない」ということです。
あくまで国立公園の拠点施設であって、その役割の一つとしてみちのく潮風トレイルのサテライト施設を担っています。職員さんも、みちのく潮風トレイルを中心的に担当している人もいれば、そうではない人もいます。そのあたりは理解しておいたほうがいいでしょう。
たとえば、専門的になりそうな質問になると、当日に立ち寄ったときに、それが分かる担当者がいるとは限らない、ということです。

■どこからどう歩けばいいの?

みちのく潮風トレイルの歩き方は、自由です。
全線を一回の行程で通して歩くことをスルーハイクといいますが、なかなか難しいでしょう。
でも、一部区間を何度も歩くとか、地元の区間を何度も歩くのでもよいのです。決してスルーハイクとセクションハイクの間に優劣はありません。

私はスルーハイクできる二か月休めるスケジュールがないので、セクションハイクの連結で全線を2回歩きました。そのため、通して歩けるスルーハイカーの方は率直に尊敬しています。
いっぽう、テント泊一切なしという私のスタイルは、海外のロングトレイルを踏破されている方からも逆に斬新と驚かれました。
各人のスタイルやスケジュール事情、経済力、地域性などに合わせて最適なやり方を選べばいいだけです。

春に歩き始めるスルーハイカーなら、暖かい南から桜を追いかけてが主流でしょうが、年単位で挑む方なら歩きやすいところからで問題ないですし、夏や秋からのスルーハイクなら寒い北から南下のほうが個人的にはおすすめです。

いったん全線歩いてみて思うのは、南北に長いトレイルなので季節の変化が大きいということ。スルーハイクならともかく、セクションで歩くなら、それぞれの区間を望ましい季節に決め打ちで歩くのもいいと思います。
たとえば桜の名所は桜の季節に、ツツジの名所はツツジの季節に…などなど。

また、ヒルがいる牡鹿半島や金華山は、ヒルを回避するなら10月~4月ぐらいの間がおすすめですし、浦戸諸島は冬期は船が出ませんので、自ずから季節を選びます。石巻から女川の雄勝峠も冬期は迂回ルートになります。

そういうわけで、私は、スタート地点は八戸や相馬にこだわらなくていいのではないかと思います。拠点にしやすい場所をスタートにすれば、それで。向きや歩く場所も、あまりこだわらずに。寄り道大歓迎、それもみちのく潮風トレイル。

本当に、街中のお散歩ぐらいしかまだやったことがないという方は、まずは、「トレイルを歩くイベントがあるなら参加してみる」か「トレイルを歩き慣れている人にガイドをお願いする」が無難だと思います。

ただ、イベントだとコースは意外と3時間や5時間越えコースだったりしますので、まずは、自分がどのぐらい体力的に歩けるのか、どのぐらいの山なら登れるのか、などの情報を整理しておくほうがいいですね。

あと、虫が大丈夫か、とか、海が見えたほうがいいか、とか、そういうことも地味に区間選びに関係します。
いちばん歩きやすくておすすめなのは3月頃~5月頃と、10月頃~11月頃です。雪の状況によりますが、テントを使わない人であれば、真冬も意外といいですよ。葉が落ちていて海がよく見える区間が多くなりますし、歩いていれば身体は温まりますので、寒さもむしろちょうどいいというケースもあります。

■基本装備

装備は、だいたい標高差でいえば500メートルぐらいの山を登るぐらいの装備に近いです。高額な登山メーカーのものや、重装備である必要はありません。
基本的な考え方は、無理がない範囲でなるべく軽装備にする、ということです。
みちのく潮風トレイルは、ほとんどの区間で半日ほど歩けばなんらかの集落や商店に出られますし、飲み物の自販機ぐらいは、たいていの区間にはあります(もちろん、丸一日皆無という区間もありますが)。

足元も、登山靴は要りません。私はミドルカットで軽量モデルのトレッキングシューズを同じものを何足か用意してローテーションしています。というか、もはや日常的にそれを履くようになっています。ゲイターもゴテゴテするのが苦手でまず履きません(ミドルカットにしているのはそのためもあります)。

トレッキングポールはアップダウンが多い区間や、長時間の舗装路歩きで疲労の軽減に役立ちます。蜘蛛の巣除けにも便利です。

スルーハイカーなら、対応調節できる衣類が大切です。たとえば北三陸では、夏は「やませ」が入ってくると、気温が30度から一気に20度近くまで下がることもあります。

登山と決定的に違うのは、トレイルは長い時間を歩き続けることそのものが目的なので、荷物は軽いに越したことはないということ。街中を歩く区間もたくさんありますしね。
決していいかげんな装備でいいと言っているのではありませんが、長時間、休まずに歩き続けられることに特化して、荷物の量や必要性をしっかり検討しましょう。
身体に馴染んでいるものや自分に合った装備がいちばんだと思いますし、ウルトラライトという教えがありますが、ツェルトでポンチョを兼ねるとか、柔軟な発想で工夫が必要です。

この地域では、屋外のトイレは冬季には閉鎖されることが多いです。
漁港に設置されているトイレの多くは漁師さんのためのものですので、漁の時間帯以外は使えないものが多いです。
民家で借りようにも民家が何時間もないということも当たり前ですので、携帯トイレは持っておきましょう。または、事前に中身をすべて出し切って体調を整えておくことも大切です。
しかし夏場は、それを気にして水分を控えると当然、熱中症になりますので、そのあたりの自分の体調やその日の天気などもよくよく考えましょう。

区間にもよりますが、ライト類も用意しておきましょう。灯りがないトンネルを歩くような場所もあります。テント泊する人はヘッドランプなどを必ず持っていますが、テントを使わない人もできればヘッドランプもあるほうがいいです。スマホ等でもいいですが、電池の消耗や、両手が空けられることもあるので、できれば別にあったほうがいいですね。

虫よけスプレーや携帯ラジオ、また、クマよけ鈴も、自然歩道以外の区間でも山が近いところでは必要です。住宅街や市街地でも山が近ければ日常的に季節問わずクマは出ますよ。冬は出にくいですが、ゼロではないです。岩手県が特に全域で多いですが、宮城県も気仙沼市から南三陸町や、青森県でもルート付近で目撃例があります。舗装路の車道であったり民家が近くても出没します。

雨天時の対策として折り畳み傘やポンチョ、滑落などした際の緊急時にはアルミシート、ビバークできるものなども自己防衛のため用意しておくほうがいいでしょう。応急手当が出来る救急用具や、意外にハサミ入りのソーイングセットや安全ピンがあると便利です。

行動食や携帯食を、食べきらない予備の分を含めて1日分は余計に用意しておきましょう。
水も、自販機も民家も沢水もないような区間もけっこうありますので、特に夏場など、数リットル分は背中に入れておくほうがいい場合もあります。夏は重さのほとんどが飲料のようなものです。

キャンプ用品は、道中では手に入りづらいです。
ルート近隣に、アウトドアショップはほとんどありません。ホームセンターはいくつかの街にはありますが、冬は手に入りづらいです。
特に岩手県では、久慈、宮古、釜石、大船渡、陸前高田といった主要都市以外では、ガス缶(OD缶)や液体燃料はかなり手に入りづらいです。いっぽうで、固形燃料は100均ショップで容易に手に入ります。

また、住宅地を歩くことも多いので、ごみを捨てられる場所は限られています。ごみは自分で運び、宿やハイカーサポートがある施設に相談するといいでしょう。

■地図と事前計画

地図、GPSはどちらも必須です。

現在は名取トレイルセンターやサテライト施設で購入できる「ハイキングマップブック」を必ず入手しましょう。全区間を10区間に分け、1冊税込1650円での販売です。10冊セットで買うときは1冊分が割引になります。区間ごとの距離や標高差も出ています。こちらの地図を見ながら歩くというのが大前提です。

数年前までは環境省が無償配布していた短冊形のマップもありましたが、現在は配布終了しています。お持ちの場合も、古い地図になりますので、道が変わっていたり、歩けない区間が出ていたりしますので、あくまでハイキングマップブックが基本で、補助として環境省マップ、ということになります。

また、全線を目指していく人は、別途販売されている「データブック」もあると格段に便利です。データブックは、拠点名や距離、標高などが詳細に出ていますので、計画を立てる際には重宝します。

みちのくトレイルクラブのホームページでは、GPSデータも公開されています。ただ、GPS機器だけでは高低差がつかみづらいので、やはり基本的に地図は必須です。特に岩手県のルートは高低差がとても大きいため、平地を歩くときの速度では所要時間が計算できません。
GPSを使うなら、行程が長い時間の場合は、スマホの予備バッテリーも。想像以上にバッテリーを消耗します。不意のトラブルや故障でGPSが使えなくなる可能性もありますので、やはり紙の地図は必要です。

要注意なのが、YAMAPやヤマレコなど登山アプリにおいて掲載されているみちのく潮風トレイルのルートは、公式ルートではない、ということです。
2024年現在では、みちのくトレイルクラブと提携している登山アプリはありません。これらのアプリ内にあるルートは、これまでに歩いたハイカーの軌跡などから運営会社が独自に作成しているルートであって、正しいルートとは限りません。古い迂回ルートがそのままであったり、今は歩いてはいけないルートを歩かされる場合もあります。

地図やデータが手に入ったら、次に、スルーハイクの人はもちろん、特にセクションハイクの人こそ、どのように歩くかという計画が事前に必要になります。いつ、どこからどこまで、どの向きでどのように歩くか。出発点までどうアクセスするか、ゴール地点からどうやって戻るか。交通機関の時刻表や、なんらかのトラブルでバスや汽車に乗り遅れた場合に、次の便は何時になるか…。
乗り遅れを意識して行動を急ぐと、道迷いによるタイムロスや怪我などが起きる可能性がかえって高まりますので、なかなかあなどれないリスクです。

宿泊施設は、基本的には事前に問い合わせたり予約しておくことが好ましいです。三陸沿岸の民宿は、素泊まりがなかったり、当日泊は出来なかったり、おひとり様は断られる場合もあります。
キャンプ場も、冬期は閉鎖している場所が多いほか、逆にハイシーズンの土日だと空きがないことも多いです。当日になって探しても泊まれない、ということは普通にあり得ますので、充分に事前の把握が必要です。
ルート上は、自然歩道区間の一部などを除いては、ほとんどの場所は民有地か保護エリアになりますので、テントを張れる場所も限られます。

天気予報も大切です。雨、気温、風。また、渡船する区間については、波の状態によっては欠航したりということもあるので、そういう点も注意です。
また、この地域では冬場は日没がとても早いです。15時頃には暗くなり始めます。

そもそも計画をたてるうえでは、自分が時速何キロで歩けるのか、それは舗装路の場合なのか山道の場合なのか、登山だとどのぐらいのペースになるのか、自分自身のことも知っておかなければなりません。
また、どのぐらいの距離を歩き続けることができるのか。歩き続ける場合にはどのぐらいの時速になるのか。2㎞しか歩かない場合と、30㎞歩き続ける場合とでは、ペース配分のために、平均時速も変わることがありますよね。

トレイルを歩くのは、登山とはちょっと体の使い方が違います。
山で足を慣らすのもありですが、意外と気仙沼から南は、舗装路だけど1日に歩かなければならない距離が長くなっていきます。ですので、きつい山に挑むだけではなく、平坦でも舗装路でもいいので、とにかく長い時間を歩き続けられるようになっておく、そいうことも足慣らしです。

決して、無茶や甘いよみでは計画を立てない。余裕をもった計画で行動して、当日のゴールがみえてきて時間があるなら、ゆっくりすればいいのです。

■トレイルの標識

続いて、主な標識・ポストなどを紹介します。
地図や収集した情報、地形を頼りに自分で道を確認して歩いていくことが求められている道ですので、標識類だけを見て歩けることはありませんが、知っておくと役に立つでしょう。
正式には、それぞれ、何とかタイプ、といった名称があるのですが、忘れましたので、写真と、私がフィーリングでつけた名称でどうぞ。

1.地図付きの看板

駅前や、大きめの分岐点などによくあります。
周辺の地図とルート、近くの行き先までの距離などが記されています。
ただ、表示されている距離に高低差は反映されていませんので、単純に時速4㎞で割る、というような所要時間の計算はしないほうがいいです。
この看板の場所は、迷うようなところではないことが多いのですが、この先の行程の見当をつけたりするのには便利です。

2.「羽根つき」タイプの標識

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大きめの分岐点など要所要所にあります。
おおむね、数キロ先の目標地点の名称とそこまでの距離、当面の道の方向、が示されています。
大雑把に、次の目標地点までの見当を付けたり、大体こっち方面に向かうんだな、という把握に役立ちます。休憩の目途をつけたりするのに。

3.現在地・方向・行き先が表示されている金属製標識

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2021年の頭頃から順次導入されている、最新型の標識です。
最新型は色々な従来の標識の問題点や不満を、ほどよく解消していますね。現在地の大体の字の名前も分かるし、向かうべき方角も分かるし、そちらに何があるかもわかる。主要なポイントでは、次のポイントまでのキロ表示もあります。
表に両方書いてあるタイプと、表面と裏面に、それぞれの進行方向での行き先だけが書いてあるタイプと、両方があります。2枚目の写真が、表と裏にそれぞれの行き先が書いてあるタイプです。

4.てっぺんに矢印が描かれている標柱

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ポストのてっぺんに八方向の溝があって、トレイルルートの方向にだけ→に色が塗られています。

分かりにくい分岐や曲がり角に埋められていることが多いですね。足元なので、草が茂っていたり雪を被っていると見えづらいので注意です。

このポストは、ルート確認には重宝しますが、道路よりちょっと奥まったところにあったり、草が茂っていたりすると、見付けづらいことがあります。

5.白木の標識

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足元に埋められている木のポストです。
このように獣が傷をつけた跡がついていることもあります。

主に舗装路から未舗装路に入る分かりづらい分岐点にあったり、分岐が全然なくて心細くなってくる道中にぽこんとあったりして、ちょっとほっとします。見かける頻度はいちばん多いようにも感じます。

ただし、注意。このポストのてっぺんに入っている一本の筋ですが、これは、紛らわしいのですが、ルートの方向にはなんの関係もありません。木が割れないように入れている筋なのだそうです。
写真でいえば、左方向に行くのがルートかと思いきや、何の関係もありません。ルートは縦方向だったり右だったりします。あくまで、その場所がトレイルルート上から外れてないよ、と示すだけです。間違えないようにしてください。
分かりづらいためでしょうか、場所によっては、この標識に→のシールを追加してくれている場合もあります。

6.トレイルテープ

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いちばん簡易的な標識なのですが、見付けた時の安心感という意味では、個人的にトップクラスに感じるのが、このテープです。
たいてい、頭より高いぐらいの太めの枝や、道路わきの柱などに巻き付けてあり、杭が打てないような足元の場所に多いです。
また、とても分かりにくい分岐をちょっとだけ先に進んだあたりや、災害で崩れていて道がなくなっているガレ場、沢などで頻発します。

このテープがあれば、たどっている道が間違っていない、ということは分かるので、ガレ場を勘で歩いているときなどに見かけると、太陽より輝いて見えるときがあります。
また、主に頭上に巻かれていることが多いので、いくつかたどれそうな道が見えて、どれが正解か迷うときなど、先のほうを見ると、数十メートル先にテープが垂れていることがありますので、よく観察するといいですね。

テープの注意点は、トレイルテープ以外の他の種類のテープです。
山中や林の中では、ピンク、水色、黄色など色々なテープを見かけます。
それらは、たとえば林業作業者のルートを示していたりします。トレイルルートがそれらの道と一致している場合と、そうではない場合がありますので、他のテープをたどってしまうと道迷いの原因になります。
あくまでもトレイルテープだけをたどるようにしましょう。

7.迂回路標識

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みちのく潮風トレイルは、復興工事や災害復旧でちょいちょいコースが変わります。そんなときの迂回路の入り口と出口に、たいていあります。
とはいえ維持のほうが追い付かないものなので、たまに迂回路表示がなくてもどう考えても進めないときなどもあります(荒天後などありがち)。
また、迂回路の間には標識が少なかったりもします。迂回路の地図を見かけたときは、標識自体を撮影しておくほうがいいと思います。

8.利用者調査カウンター

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利用者数調査用の手動カウンターです。現在は、青森県と岩手県北部に主にあります。
通ったときに、カウンターを一回押してください。連打してはいけませぬ。特徴的なコースに入っていく節目節目で見かけている気がします。

9.その他

おそらく、みちのく潮風トレイル共通のルールで管理されている標識類はここまでではないかと思います。
あとは、エリアごとに管理している人達によって、明らかな手描き標識や、杭タイプだけど矢印も添えてあるタイプなど、色々なバリエーションもあります。国立公園の標識なども役立ちますね。

■交通手段の利用方法

みちのく潮風トレイルでは、一部のエリアを除いて、公共交通がルートに沿っていますので、セクションを区切って歩くことが容易です。
私はソロでのセクションハイクが基本なので、出発点とゴールそれぞれ公共交通機関で結ぶことが多いです。

・スタート→目的地→同じコースでスタート地点に戻る往復ルート(通称、ピストンといいます)
・スタートから周回してスタート地点に戻ってくるルート

どちらも普通は、トレイル以外の道を多少組み合わせて使います。

自家用車でスタート地点とゴール地点を別の場所にする一方通行にしたいなら、スタートとゴールのそれぞれに車を用意しておく必要が生じます。
または、往復のどちらか片道は公共交通機関を使うことになります。

たとえばペアで、車を二台用意してまずゴール地点に一台車を置きます。そこからスタート地点までは同じ車に同乗して移動し、トレイルを歩いてゴール。ゴール地点からスタート地点までは、今度はゴールに置いてある車に同乗してスタート地点まで戻って、そこで解散、ということになります。

自家用車ではなく公共交通機関を使う場合は、上記のピストンと周回のルートに加えて、好きな区間の一方通行も可能です。
スタートまで公共交通機関で移動して、ゴールからも公共交通機関で戻るということです。おおむね、私はそのような歩き方で全線両方向を歩き終えています。

役立つ交通機関は、主に以下。これらを使うだけでもかなりの区間が歩けます。

青森県:JR八戸線
岩手県:三陸鉄道、岩手県北バス、BRT大船渡線
宮城県:BRT気仙沼線、JR石巻線、JR仙石線、仙台空港アクセス線、JR常磐線、ミヤコーバス
福島県:JR常磐線

また、特定の場所で活用できるものは以下。
本数が限られていたり、平日のみであったりしますので工夫は必要です。

普代村村営バス
田野畑観光タクシー
南三陸町町民バス
石巻市 北上地区住民バス、雄勝地区住民バス

また、宮城県の以下の離島エリアでは航路がルートに組み込まれています。

金華山
網地島
田代島
浦戸諸島

金華山の定期航路は日曜のみです。他の曜日は臨時便を探すか、チャーター便を利用するしかありません。

網地島と田代島は定期航路です。有料ですが予約は不要です。
浦戸諸島と塩釜港の間は有料の定期航路が利用できます。予約は不要です。
浦戸諸島と東松島市の宮戸島の間は、みちのく潮風トレイルの専用航路です。利用の5日前までに名取トレイルセンターに予約が必要です。料金は利用時に現金で支払います。1日2便です。また、11月から3月の間は欠航します。
浦戸諸島の間の島々は無料渡船で移動できます。もし桟橋に渡船がいないときは、待合室に携帯番号が表示されていますので、そちらに電話をすると5分ほどで船が来ます。

これら、公共交通を使う場合は、多くの場合、現金での支払いが必要になります。また、1万円札、5千円札は使えないことが多いので、小銭と千円札は常に多めに持っておきましょう。

実際にどのように交通機関を利用していけばいいのか、ということについては、別の記事でまとめようと思います。

■コミュニティ、サポーター

みちのく潮風トレイル関係のコミュニティでもっとも情報量が濃密で意見交換が活発なのは、Facebookのグループ「みちのく潮風トレイルハイカーコミュニティ」です。
ハイカー側だけでなく、地元の受け入れ側の人々やエンジェル、観光団体など様々な方が見て日常的に発信していますので、情報鮮度も抜群です。特に全線を目指す人は、このコミュニティに参加するためだけにFacebookを利用してもいいと思いますよ。それ以上の見返りがあります。もちろん私も常連です。

最後に、より具体的なコースガイドが必要な方は、私の経験を元にしたコースガイドも、有料記事となりますがご活用ください。
みちのく潮風トレイルを実際に歩いた経験と写真などに基づく、全線のコースガイドです。全線を50セクションに区切って紹介。八戸から南下(SOBO)での紹介ですが、逆向きの説明も交ぜて解説。

北の1番目の八戸セクションと最後の50番目の相馬セクションの2つの記事はお試し版として無料公開しています。それ以外の記事は有料記事となります。また、各記事の序盤だけはお試しで無料にしていますので、有料購読の判断をする際の参考にしてください。

記事は一つずつ購入だと1記事あたり200円。全50記事をセットにしたマガジン形式では5,000円で、一記事あたり約105円となります。単品で購入済の記事がすでにある場合も、一括購入は必ず5,000円です。

みちのく潮風トレイル全線コースガイド(有料記事)↓

また、この記事で書いたようなことの解説と、全線のダイジェストでの紹介を無料動画で行っています。参考にご覧ください。

あと、以下は、一回目に全線踏破したときの日数や費用などのデータをメモした無料記事です。

本記事そのものは無料の記事です。ここから上の部分にすべての内容が書かれています。
もし作者に投げ銭方式のお礼をしたい場合は、以下から200円をお支払いいただくことも可能です(追加の内容が増えるわけではありません)。よろしくお願いします。

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