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みちのく潮風トレイル 全線踏破のデータ振り返り セクションハイク 主に南下

こんにちは。岩手県宮古市を中心に、みちのく潮風トレイルや三陸ジオパークのガイドをしている人です。

今回ご紹介するのは、みちのく潮風トレイルを主に南下セクションハイクで一回目に全線踏破したときのデータを振り返ってみた内容です。
データの振り返りですので、数字と文字しかありません。写真も画像も1枚もない記事です。あしからず。

(2022年6月時点での情報で書いています。あくまで記載の情報は目安として、各自の自己責任にて充分な調査や計画のうえで行動に臨んでください。記載内容の正確性や、記載内容を参考にしたことにより生じたトラブルや事故等について、当方は一切責任を負いかねますのでご了承ください)


■行程の概要

・セクションハイクの連結
通して全線を歩いたわけではありません。その日に歩く区間を決めて、岩手県宮古市の自宅からマイカーか公共交通機関でアプローチして、1日分歩いて日帰り、または1~3・4泊ほど続けて歩いてから帰ってきます。

・日数
11か月55日間です。
セクションハイクのため、引き回しがある区間は途中を飛ばして次の区間と先につなげてしまったり、1日に離れている違う区間を2か所歩いたりといった工夫もしています。
例:陸前高田~鹿折唐桑を、唐桑半島と気仙沼大島はスキップ、など。
地元の岩手近辺では、まめにアクセスできるため、セクションは小刻みで短くなります。気仙沼以南はセクションの距離が伸びています。

・主に南下方向
最初は地元の宮古市とお隣の山田町、岩泉町から始めています。
その後、八戸から南下と、山田から南下を組み合わせて、主に南下で相馬まで踏破しています。
交通機関のやりくりなどの都合で、区間によっては北向きを選んでいます。
(2周目は全セクションを1周目と逆向きにたどっています。)

・テント泊、車中泊なし
寝具付きの宿泊施設か、自宅で睡眠をとっています。
キャンプサイトでのテント泊や、シュラフ泊はしていません。
これには理由があって、みちのく潮風トレイルを歩いてみたいと思っている(特に国内の)大部分の人は、実際のところ、テント泊は考えていない、経験したことがない、あくまでも旅行の延長でトレイルを歩きたい、という方のほうが多いと私は推測しています。実際、みちのく潮風トレイルをテーマに組まれているツアーが増えつつあることもそれを物語っていると思います。
また、みちのく潮風トレイルのルートは、実際のところはほとんどの区間が一般の方々の生活空間の中を歩くようになっており、テントを張れる場所は限定的です。(いずれは遍路小屋のような野宿場所を地域の方がどんどん提供していくようになるのかもしれませんが、現状では残念ながらまだまだそこまでの文化は地域に浸透していませんので)
ということで、みちのく潮風トレイルを歩く人を本気で増やしたいのであれば、テント泊は出来ない、したくない、というターゲットにこそしっかり力を注いで、とにかくまずは歩く人の数を増やす、そこから道そのものの認知度を上げて地域からの動きとつなげていく、という考え方から、その実践をしてみたということになります。

・主に公共交通機関を利用
現地付近までのアクセスにはマイカーも使っていますが、トレイルのスタート地点までは公共交通機関を利用する場合もあります。アクセスの都合上、トレイルルートではないところを数㎞歩いたりもしています。
旅館の送迎等は使っていません。やや、運に頼るところがあるというか、計画という観点では不確実性が出てきてしまうと考えたからです。送ってもらえたらラッキー、ぐらいのほうが楽しいようにも思います。仲間内で車のやりくりをしたところは1か所あります。
宿泊施設のご厚意で、コインパーキングではなく施設内にマイカーを1日停めさせていただいた、という例はあります。これは一般的な観光でもほとんんどの宿泊施設が行っているサービスの範疇ですので、計画に組み込んでいってもいいと思います。

・季節
年明けから初めて年末に終わっています。
牡鹿半島と金華山は、ヒルがいなくなる10月終わりになるまでスキップしています。
また、盛夏の時期は自然歩道の区間を避け、ロードが中心の気仙沼や石巻を歩いています。
暑いのですが自然歩道のような虫や藪こぎがなく、アップダウンも少なめ、補給も容易なことが多く、個人的には夏は自然歩道より歩きやすいためです。

・ペース
おおむね平地は舗装に関わらず時速5~6㎞、自然歩道の急登は時速3㎞ぐらいで歩いているようです。

■距離

データブック上の区間距離で計算すると、トータルは996.07kmとなりました。
トレイルルート以外も含めた登山アプリ上でのGPS軌跡では、セクションハイクの特性上、ルート以外や繰り返し歩く箇所が出て距離が延びます。1170㎞。

データブック上での1日平均の距離は18㎞、GPSでは21㎞。 
データブック上での1日最長距離は36㎞(階上駅~種市駅)
GPS上での1日最長距離は43㎞(雄勝半島一周)

30㎞越え区間は、7か所。

階上駅~種市駅
鵜住居駅~両石駅
小友駅~道の駅高田松原
道の駅高田松原~鹿折唐桑駅(唐桑半島と気仙沼大島はスキップ)
志津川駅~新北上大橋
新北上大橋~道の駅おがつ
亘理駅~新地駅

いずれも、さらに細かくセクションを分けられることは確かめていますので、1日30㎞歩けないと全線踏破できない、ということではないです。(手間暇しだい)
1年以内のスケジュールとのやりくりの都合で、かなり距離を伸ばしたセクションもあれば、逆に、岩手県内はかなり細かくセクションを分けているので、50日以内で充分終えることができたとも思いますが、2周目に関してはむしろもっとセクションは細かくして、寄り道も増やしていきたいように思っています。

■旅費

何かのついでも含め、55日のうち宿泊施設に15泊ぐらいしています。キャンプはしていません。
ごく概算で1泊5000円とかなりリーズナブルに試算をしても、宿泊費だけで7万円以上かかっていることになります。
残り約40日は日帰りです。要するに、宮古を一大拠点としてマイカーと三陸道で行ける範囲はマイカーで拠点まで接近して、そこからスタート、もしくはスタート地点まで公共交通機関でさらに移動、というやり方です。

交通費は、ざっくりと、リッター15㎞、150円/リッターぐらいで概算してみると、ガソリン代と石巻以南の高速代が、10万円以上。
セクション間の移動に使う汽車、バス、船、コインパーキングなどが、大雑把に計算して5万円以上。

つまり、交通費が車と公共交通あわせて15万円以上、宿泊費を加えると25万円ぐらいになるかと思います。
宮古基準で考えると、気仙沼あたりから南は、交通費と宿泊費が同じぐらいになってきますので、気仙沼以南は日帰りするより宿泊したほうが節約できる区間もあるということになります。

一年以内で、という日程を詰めたかったのもあり、洋野~石巻ぐらいまではおおむね日帰りをしています。
が、片道200㎞以上の運転でトレイルを歩いたうえに日帰りというアホみたいな行程も組みましたので、まあ、まっとうな人はそんなことはやらないほうがいいと思います。(当然、朝3時ぐらいに起きて、帰ってくるのも夜9時ぐらいになったりしますので、泊まったほうがどう考えても肉体的にも経済的にも楽でした)

いずれにしても、地元の利で、首都圏等からセクションで挑むよりははるかに経済的ですが、それでも、贅沢遍路であることには違いありません。が、快適さや、限られたスケジュールしか使えないなかでは、時は金なりもうまく使いながら、いっぽうでスローな歩く旅をするという選択もありだよ、ということです。

私は15泊ぐらいですが、仮にあと40日*5000円の宿泊をしたとして、+20万円。となると、すべてトータルなら50万円ぐらいですね。

50万円と書くと高く感じますが、50日の旅で50万円ですから、1日あたりなら結局1万円なんですよね。食事その他は別料金ですが、長年かけてコツコツやるぶんには、趣味としては妥当な線とも感じられます。

スケジュールと資金には余裕があるがスルーハイクは体力的に自信がない、というケースでは、いっそ宮古~気仙沼一帯のどこかに一か月ぐらい長期滞在してしまうというのもあり得る選択肢ですね。

あらためて、宮古~気仙沼は、みちのく潮風トレイルにとてもアプローチしやすい場所です。
みちのく潮風トレイルを歩き続けたいから三陸に移住、あってもいいんじゃないでしょうかなんてことも思いました。

より具体的な、各セクションで役立つ公共交通機関の利用方法は別記事で書こうと思っています。

みちのく潮風トレイルの基本的なことは↓

全線ガイドは↓


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