見出し画像

新卒ブラック企業時代を乗り越えられたのはThe Pains of being pure at heartのおかげだった

2011年4月、晴れて新社会人となった。
しかし、就職活動は困難を極めた。08年にリーマンショックで景気は冷え込み、完全に買い手市場だった。さらに、そんな世の中とも知らず、さして大学時代を有意義に過ごさなかった私文に通う大学生を採用してくれる余裕のある企業など、ほとんどなかった。
それでもなんとか大学4年生の5月には内定を貰えた。

ようやく社会人になる、という1か月前に東日本大震災が起こり、最後の大学生活の1か月はひたすらACのぽぽぽぽーんのCMを自宅で見て過ごしていた。

TVで永遠と流れ続けるACのCM

そんな閉塞感のある世の中で入社した会社はいわゆるブラック企業だった。

  • 残業はすべてサービス残業

  • 長時間労働が常態化。終電で帰ったり、終電に間に合わず近くのホテルやサウナで泊まることも(当然会社が負担することはない)

  • 研修はなく、入社したらいきなり現場に放り出される

  • 人格否定等のパワハラ発言が横行

当時は自分自身の常識や知識がなかったのと、いまよりコンプラに厳しくない時代だったので、そういうものと受け入れていたが、いま考えるとなかなかヤバい会社である。

一番きつかったのは、パワハラ上司である。パワハラ上司はマイクロマネジメントで、ひたすら揚げ足をとって、ネチネチと言ってくるタイプだ。いまでもこのタイプの人は大嫌いである。
長時間労働は若さと気合でなんとかなる。しかしパワハラ上司はメンタルを確実に削ってくる。パワハラ上司のおかげで、毎日胃が痛く、会社に行くのが憂鬱でしかなかった。実際に胃腸炎にもなった。

そんな暗澹たる社会人生活をスタートを切った当時に聴いていたのが、シューゲイズ、ギターポップバンド、The Pains of being pure at heartだ。
ちょうど2枚目のアルバム「Belong」が発売されたばかりで、毎日通勤時に聴いていた。

2ndアルバム「Belong」


彼らを知ったのがこのアルバムだったので、その後1stアルバムも追ってよく聴いていた。
シューゲイズ特有の疾走感、キラキラとしたギターサウンド、どこか懐かしいノスタルジーさ、どんよりと厚く黒い雲が立ち込めるような重たい気持ちを、カラッとした晴天にしてくれたのがペインズだった。

なかでも2曲目の「Heaven's Gonna Happen Now」は1番聴き込んだ曲で、イントロからの勢いとギターのリフが好きで、必ず出社前にこれを聴いて、気持ちをリフレッシュさせていた。

クタクタになりながら帰って、また次の日朝早く出社の繰り返しの日々を乗り越えられたのは、きっとペインズのおかげだ。また1日頑張れる糧になっていた。

Belongを聴くと思い出す通勤路

ペインズは残念ながら2019年に解散してしまった。もう彼らから新しい音楽は聴けないかもしれない。
けれど彼らが残してくれた素晴らしい曲たちはいつでも聴くことができる。
また気持ちが落ち込む時や憂鬱になった時(もちろんそれ以外の時も)、彼らの音楽を聴いてあの晴れやかな気持ちになりたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?