【恋愛?のこと】カレーを食べに行ったら、最悪だった
結局カレー屋さんは祝日でお休みだったので、別の店に行った。
結果、最悪な気持ちで家に帰ることになった。
一緒に食べに行った人は大学の部活の先輩だった。
優しく、気兼ねなく話せる。久しぶりに外で、母ではない誰かと話をする。それ自体が新鮮だった。
久しぶりに連絡をもらって、懐かしい話や仕事の話をする。
軽くお酒を飲んで、時間も経った。
「彼はいないの?」と聞いてくる。
まぁ、自然な流れだよなと思う。「いませんよ、他人に割けるエネルギー無いですし、今」と軽くいなす。
そうしたら、帰り際、笑顔で「ねぇ、本当に彼氏いないの?」と聞いてきた。一気に、その笑顔が下卑たもののように見える。
お店に一緒にいたときは何とも思わなかったのに。
これまで何度か経験した感覚。
相手への認識が、「先輩」から「異性」になった瞬間に私に落っこちてくる、その人への強い嫌悪感。
気があるのかも。ここから逃げ出したい。いやだいやだいやだ。
この感覚が、どこから湧き出てくるのかわからない。
好きだとも、「今度会おうよ」とも言われていないし、酔ったために再度出た確認の発言だったかもしれない。わたしは自意識過剰じゃないかと思う。
でも、どうしても、それ以上深い話を避けたかった。
とっさに、「わたし、パンセクシュアルなんですよ」と言葉が出る。
男性も女性も制限なく、両性愛する人。レズビアン向けマッチングアプリに登録する過程で覚えたワード。
相手は面食らった顔をする。なんとかその場で別れて家に帰る。
楽しい時間になるはずだったのに。
相手への失望や焦り、何より自分への自己嫌悪で心がいっぱいになる。
良い大人なのだから、そんな話題になることだってわかっていたはずなのに。
会話の中でそういう話題になって、「マッチングアプリに登録したんですよー」なんて話題も自分から話していた。
もちろん同性愛者向けの、ということは伝えていないから、嘘はついていない。だが、『いっぱしに恋愛したいです』と虚勢を張った自分が恥ずかしかった。
自分の性的アイデンティティーが定まっていないのに、セクシャリティーを明言する違和感と罪悪感。
そして、明らかに「異性である」ことに拒否感を抱くのに、「男性は恋愛対象じゃない」と言えない自分への疑問。
異性を避ける傾向はだんだん明確になってくる。
思春期に経験した「こんな価値のない自分を好きな人なんて嫌い」という感覚とも違っている。
今度同じシチュエーションになったらどうしよう。
自己肯定感が思春期の頃より幾分か向上しているその変化をかみしめつつ、だんだん輪郭がしっかりとしてくる「性志向」については、まだすべて受け止めきれずにいる。でも、なんだか少しずつ「答え」に近づけた。
その人が、私を好きだから嫌いなんじゃない。
異性だから嫌なんだ。
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