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12.病とは孤独である

この1週間、まさかの病にやられていました。
その名も・・・「手足口病」
まさかこの歳になって、子どもの病気にかかるなんて。

大人でも手足口病になることがあるのか、何度もインターネットで調べてしまいました。

38度を超える発熱に、夜中うなされ、十分な睡眠は取れませんでした。
体がだるい。だるくてだるくて、身の置き所のない感覚に襲われました。

そんな中でも妻は私の身を案じて、食べやすいおじやを作ってくれたり、私が横になっている間に家事も全て一人でこなしてくれました。

ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。


「病とは孤独である。」これは、私が最近読み返した小説『神様のカルテ』に書かれていた一節です。

私は妻のおかげでほとんど孤独を感じることなく療養することができました。
それでもやはり夜中にだるさで目が覚めた瞬間は、一時的に孤独感を感じました。


病気は、身体を蝕むだけでなく、精神をも蝕んでいきます。
きっと人間の体はそのようにできているのでしょう。
身体と心は繋がっているのです。

がん患者さんも、身体とともに精神が蝕まれていきます。
痛みや吐き気などとともに、うつ病や不安症状を訴える方が多くいます。
サイコオンコロジー(精神腫瘍学)という分野があるほどです。


最近、不安症状が強くなってしまった患者さんがいました。

婦人科がんの70代の女性でした。
息子さん家族と同居していましたが、ご家族は皆さん仕事で、日中は一人で過ごす時間もありました。
病状が進行するにつれて、精神的な不安症状も悪化し、ついには家族がいないことが耐えられなくなってしまいました。
主にお嫁さんが介護していましたが、お嫁さんが視界から消えると大声で呼ぶようになり、結局は入院となりました。

入院後は病院という安心できる環境もあってか、落ち着きを取り戻したそうです。

精神症状は、薬だけでコントロールするのは難しいものです。
抗うつ薬などを用いても、結局は環境が変わらなければうまくいかないこともあります。
そんな時、効果的なのはやはり家族の存在や、身の回りの環境なのでしょう。
そして、私たち医療者の関わりが救いとなることもあるはずです。


小説の中でも、夫を亡くし、さらに不治の病に侵され、孤独感に打ちひしがれた患者さんが登場します。
主治医の心遣いによって孤独という絶望から救われ、穏やかな最期を迎えることができました。
また病院という環境も人によっては安心できる場所となることもあります。


緩和医療においては、身体の苦痛を取り除くだけでなく、孤独感を少しでも和らげる対応や心掛けが大切なのだと、身を持って実感しました。

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