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【ただの日記】ちょっと羨ましい

僕の友人に変な奴がいる。

出会ったのは、僕が高校二年の一学期。

彼とは学校ではよく喋るくらいに仲がよかったのだが、プライベートで遊ぶ仲ではなかった。そんな中、彼は突然、定期テスト一週間前に勉強を教えてくれと言ってきた。距離感の狂ったアホだった。テスト期間に勉強を教えろとは、なんたる迷惑行為。

彼はバスケ部のレギュラーメンバーだったため、部活が忙しく、学業は疎か中の疎かだった。加えて、うるさいため、生徒指導をよく喰らう問題児でもあったのだが、性格は人一倍優しいやつだったため、クラスでも人気者だった。

しかし、いくらいい奴とは言っても、そもそもテストとは個人戦。最初は、なんでテスト一週間前にお前の面倒を見なければならないのだ。と突き放していた。
だが気づけば、誰もいない教室で二人で勉強をするのがテスト前の日課になってしまっていた。

仲良くなったのは、そのような彼の迷惑行為がきっかけだった。毎回のテスト期間、一緒に勉強するのが謎に恒例になった。そんなこんなで、高校の2.3年のクラスで僕らは非常に親しい仲になった。

そんな彼は卒業すると、僕の思いもしない進路に進み始めた。

もともと、英語が非常に苦手で赤点スレスレだった彼だが、なんと海外の大学に行くと言い出し、英語を勉強し始めた。僕と遊ぶ時も、泊まりに来た日も、毎回英単語帳を持って、隙間時間で英単語を勉強していた。

その成果があったのか、カナダの大学に合格し、国をでた。

結局、彼はカナダで三年間くらい過ごした。
また、カナダの生活を終え、一度日本に帰っては来たもののすぐに北海道のワーホリに行き、半年くらいして今度はオーストラリアにワーホリに行った。今現在も彼はオーストラリアで生活をしている。

彼が将来なにをやりたいのか僕には分からない。

そんな彼から昨日、電話がかかってきた。
不規則的にたまに電話がかかってくるのだが、今回は間が空き、六ヶ月ぶりの電話だった。
僕が寝る直前、夜中の0時だった。

「よぅ!ブラザァァー!元気かよ!!」
第一声がこれだから、寝ようとしていた僕は、テンションが間に合うわけがないのだが、頑張ってテンションをあげて電話した。

「そっちは最近どうよ!」
と訊かれ、僕自身に面白い近況報告はないため、軽く報告してパスした。

向こうは話したいことが山積みのようで、とんでもない早口で最近の出来事を話してくれた。

彼はしばらくオーストラリアで農業をやっていたそうだが、今は工場で働いている。
現在、週5で働いて、週休の2日間でパーティーを開いたり、遊びに行ったりして、毎日が楽しすぎる生活を送っているらしい。

最近大変だった出来事はなんだったか訊くと、家を追い出された話や外国人達の人間性の話をしてくれた。

職場には、世界各国の人がいるらしく、みんな拙い英語をつかって生活をしているらしい。
そうやっていろんな人間と生活する中で、文化・価値観の違いというものをとても感じるようになったという。

ついでに、海外に住んで、知ったことについて色々話してくれた。

・日本の先輩後輩関係って特殊、なんで年上を無条件で敬うのか考えさせられた。
・日本人は恥ずかしがりすぎ
・裸同士で温泉入るのって外人からしたら気持ち悪い
・日本人は休日の楽しさを知らない
・パーティーが本当に楽しい
・大切なのは人と話すこと
・自己肯定感が低い人は損してる
・国外にはビジネスチャンスが転がりまくっている
・日本の治安の良さは異常
・日本の飯はうまい
・日本はめっちゃいい国

そんな話を永遠としてくれた。
自国にいただけでは盲目になることばかりだ。

僕はそんな話を聞いていて、ちょっと羨ましかった。成長してるし、楽しそうで。

仕事なんてのは週2の休日のためにやる作業以外の何物でもない。と彼は言っていた。

僕はそうは思わないが、休日に全力で遊ぶというのが幸せなのだということはとても納得した。海外ではその遊びとやらのレベルがめっちゃ高いらしい。

知らない人とパーティーをして酒を飲んだり、オーストラリアの壮大な海を見ながら野宿したり、バーベキューをしたり。週2の休日はほんとに楽しいらしい。
いいなぁ。というのが感想だ。

そんな楽しむことを覚えた彼だが、今後は起業に向けて、いろいろやるらしい(漠然)。
また、それまでの期間、友達になった外国人たちと旅に出る動画を作り、YouTubeにこれからの生活をあげていくのだという。

そんなスケールの壮大な話をしていると、電話の向こうで誰かが彼に話しかけた。
彼は流暢な英語で楽しそうに応答していた。

誰?と訊くと、「いま仕事中で、同僚から話しかけられたの」と言ってきた。
仕事中だったのかよ!!と僕は思った。
「移動するから、ここまでだわ、また連絡する!」と彼は言って、電話は終わった。

高校の時、英語のテスト対策を僕が教えてあげていた頃が懐かしい。今はもう僕が足元にも及ばない英語を使いこなしていた。

なにか、無性の負けた感を覚えた。
それは英語力とかではなく、なにか、著しい成長っぷりとか、エンジョイっぷりという点でだ。

まぁ、僕自身、いまこのコロナ禍でなかなか遠出はできないためエンジョイは難しいかもしれないが、こいつに負けないように頑張らなきゃなといい刺激をもらった。

これから人生謳歌しながら頑張りたいと改めて感じた。

でも一言。
海外の生活、ちょっと羨ましい。

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