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ベテランフリーの、ご請求のお作法

今回は、気になるご請求の話。フリーランスに興味のある知人(A)と、歴だけは無駄に長いベテランフリーのはんぺん丸(H)の対談形式でお伝えします。

基本は定型メッセージで

A「フリーランスになってみたいけど、色々わからないことも多くて不安で。例えば、頑張ってお仕事を終えて、さてギャラのお話を…となった時。向こうから言い出してくれない時はどうしたらいいの?そもそも、こちらから催促のようなことをしていいものなの?

H「うーん、自分の場合、半数超のお客様は、業務が終わればこちらが何も言わなくても連絡してくださるけど。『ちょっと時間経ってるなぁ、忘れてらっしゃる?』と思ったら、私は毎度↓メッセージでこの定型文を送ってる」


A「へぇ、意外とカジュアルだね。メールじゃなくてメッセージ?」
H「うん、なんとなくだけどメールは正式すぎて重い気がしちゃって…
ご請求に限らず、仕事でお金に関してやり取りをする際は、『軽く、明るく、淡々と』を心がけてる」
A「お金のことって大事だし、ついキチンとお伝えしないと!って思っちゃうけど」

H「私も最初はそう思ってたんだけどね。予算やギャラに関するやり取りって、ただでさえ『腹の探り合い』みたいになりがちでしょ。丁寧に書けば書くほど慇懃無礼というか、まだるっこしく重〜くなってしまう気がして。

なんか、相手を信用して、ケロッと明るく伝えちゃった方が自分らしいなと。もちろん、業種や額にもよるんだろうけど…」

A「なるほどねー。これで、皆さんお支払いをしてくださる?」

H「90%はね。でも、『ご連絡します!』って返信が来たまま、待てど暮らせど梨のつぶて…ってこともたまにある」

A「それはモヤッとするね…どうするの?」

自分で自分を値付けする辛さ


H「うーん、たとえばキリが良いタイミング、年度末やら3月の決算期までは沈黙して待ってみるかな」

A「それでも何の連絡もない場合は?」

H「こんなメッセージを送ってみるよ↓」


A「なるほどね。『年度末だし』『皆さまに』ってところがポイントだね」

H「そうそう、あなたに言ってますよ、という督促感を薄めたいのと、時期のせいにしてみる感じ」

H「誰かのせいにすると、言いやすいってのはありそう

A「そうなんだよね。会社に所属してるクリエイターだと、金額交渉とか請求業務は別の人がしてくれるから、割り切ってサクサク、やりやすい。
自分の仕事に自分で値段をつけて、それを請求するのも自分っていうのがフリーランスの辛いところで。

ただでさえ己の値打ちって本人が一番、わかんなかったりするのに。

自意識やら欲やら感謝やらプライドやら、仕事の完成度への不安やら。
絡み合う感情と向き合うのに疲れちゃって、

あぁもう考えたくない、しんどい、あちらの言い値でいい!」
「何なら、お金にがめついって思われたくないから、無理してもらわなくてもいい!」…

って逃げたくなっちゃうんだよねぇ」

A「うわー、聞くだけで辛そう…」

H「私も何度かあったなぁ。でも、そうやって逃げちゃうのは、頑張って身を削って仕事した自分がかわいそうだな、と」

A「ふーむ。で、結局どうしたの?」

H「うん、心の中に、もう一人の自分を作ることにしたよ」

ふたりの自分


A「え…大丈夫それ、心の闇的なことじゃなくて?」

H「あはは、悩みすぎて人格崩壊したわけじゃないよ。

①成果物を作るクリエイターとしての自分と、
②ご請求含む経理処理やマネジメントをする自分

…を、別人格として分けて考えることにした」

A「へぇー、ふたりの自分」

H「確定申告を自分でしてる人ならわかると思うけど、『事業主貸』『事業主借』って項目があるよね」

A「あ、聞いたことあるかも。事業主としての自分が稼いで、生活者としての自分に『貸した』とみなしたりする、アレだよね」

H「それそれ。同じひとりの『はんぺん丸』なのに、自分と自分の間で、貸したり借りたりが発生するっていうのが面白いなーって思ってたんだけど、あの考えを応用してみたんだ。

値段交渉やらご請求は、マネジメント担当のはんぺん丸が、クリエイターはんぺん丸のためにやってること、と切り分けてみた。口調とかもさりげなく変えてみたりして笑」

A「なんか、ちょっと楽しんでない?」

H「ふふ、そうかも。『ウチのはんぺん丸も大変感謝しております、今後ともよろしくお願いします』ってマネージャー気分を楽しんでる笑」

A「ふたりの自分作戦か、なんか面白そう。でも…」

それでも沈黙が続いたら?

A「それでも払ってくれない強者もいたりした?」

H「いらっしゃいます。数年に一度レベルで遭遇する強者さん」

A「その場合どうするの?」

H「本当に、第三者を出してくるかな
例えば、『税理士さんの方から、今年度に作業した仕事は、なるべく年度内に計上してくださいって強く指導されてるんです(本当は税理士さんではなく、青色申告会の担当者。石破さん似。よろしければ過去記事を↓ご覧ください)』とか」

A「なるほど…第三者を絡めることで、社会的責任を自覚してもらうわけね。二人の間だけの話ではないんだと」

H「あくまでソフトにだけどね…

あとは、私はそこまでのケースには遭遇したことないんだけど、
メールも電話も、年単位で完全に無視を決め込まれたフリーランス仲間は、『これ以上お返事いただけないようでしたら、御社の経理担当の方に、直接ご連絡をさせていただきます』とメールに書いたら、やっと連絡が来て、無事にご請求まで進められた、って話してたよ」

A「やっぱり最後は第三者の介入を匂わせるのが決め手だね」

H「かなりのレアケースだけどね。ほとんどの仕事はスムーズにご請求まで進んでるよ」

A「そっか、安心したー」

H「もちろん、仕事として継続していく以上、お金は大事なんだけど。

結局、『楽しいアイデアありがとうございました、ぜひまたお仕事させてください』みたいな言葉をいただくのが一番の報酬かもね

マネージャーとかクリエイターとか吹っ飛んで、脳内麻薬がガーッと噴出するのが自分でわかる笑」

A「フリーランスって、単純なところがある方が続くのかもね笑」


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