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生きていてもいいですか

私が初めて中島みゆきのアルバムを買ったのはこの「生きていてもいいですか」だった。彼女に興味を持ったきっかけは単純で、憧れていた人が好きだったから。
学年4つも年上のその人は近所のお兄さんで、ランドセル背負ってるころから知っていた。再び出会ったのは、塾の先生と塾生として。私が中3の4月のこと。

数学が何より苦手で中1の問題もろくに解けなかった私に、「気さくなお兄さん」的にわかりやすく教えてくれた。先生と話したくて仕方がなかった私は、全く出来なくて見向きもしなかった数学に真正面から取り組んだ。塾に行っては、質問攻めにし、それとともにメキメキと成績は上がっていき、5段階の2の常連だった私は、4を取るようになった。

その人が好きだったのが中島みゆきで、レコード店に行って一番インパクトのあるジャケットのこれを選んだのである。

それが、私と中島みゆきの出会い。
家にあったステレオはとても大きくて、スピーカーが80センチ位の高さで、そこからいきなり

うらみーまーすー

と大音量が流れて、焦ってボリュームを絞ったのを覚えている。

そのステレオにもたれて、歌詞を貪るように読んだ。ガシッと掴まれて離さない言葉の数々。耳の中に残る声。

そして私は彼女の虜となった。

けれど私の伴侶となる人は興味がなく、むしろ遠ざけたい様子だったので、新居にLPを持って行けず、そのまま実家の部屋に。いつか、いつか持ってこようと思っていたら、いきなり父から電話があり
「全部捨てたからな」
と。大事にしていた他のLPも漫画も小説も。一瞬のうちに私がもたもたしているうちに、手の届かないところへ行ってしまった。

そうして月日は流れ、実家を出て四半世紀。某フリマサイトでCDセットを見つけてしまう。今の私には高価なものだけど、でも、これを逃したら…と迷っている間に

ポチッ

そして。

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ジャーン❗️

今日、届きました♪明日から、次男にiTunesに入れてもらおう。渋滞も楽しみだ。

私が無くしてしまった青春!

ちなみに憧れた人は、私がハタチの時に、当時から付き合っていた人と結婚し、今は某大手企業の重役として活躍している。今も同郷の友人として、Facebookでは繋がっていて、時折、声をかけてくださる。

甘酸っぱい思い出と新たに手にしたCDと。今日はどっぷりと浸っている。
このアルバムを眺めながら…

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