植松三十里

歴史小説家です。うえまつみどりと読みます。2002年に48歳で作家デビューして、今まで…

植松三十里

歴史小説家です。うえまつみどりと読みます。2002年に48歳で作家デビューして、今までに50冊ほどの本を出版。得意分野は幕末の海ですが、若い頃にアメリカで暮らしていたため、外国に関わった人も、よく主人公にします。オルビスの化粧品カタログ誌で「時代を生きた女たち」を好評連載中。

最近の記事

新刊『鹿鳴館の花は散らず』執筆裏話

 7月24日に新刊『鹿鳴館の花は散らず」が、四六版の単行本で発売になります。「鹿鳴館の花」と呼ばれた鍋島榮子(なべしまながこ)が主人公です。下の写真通りの美人ですが、それだけではなくて、鹿鳴館外交が失敗に終わった後、日本赤十字社の創成期に力を注いだ侯爵夫人です。  フランス語で「ノブレス・オブリージュ」という言葉があります。「貴族が果たすべき役割」というような意味ですが、まさに、それを成し遂げた人といえます。  鍋島榮子を書こうと思ったのは、見ず知らずの日赤広報の方が、私の

    • 津田梅子の動画配信が始まりました

       先々月、拙作『梅と水仙』の文庫版が発売になり、いよいよ彼女の顔の新5千円札が発行されたので、本の版元であるPHP研究所が、動画を配信してくれました。  「5分でわかる」という歴史のシリーズが好評だということで、同じ形式で依頼を頂いたのですが、最初、ちょっと戸惑いました。5分という短時間で話せることは限られているし、だからといってウィキペディアに載っているようなことを話しても意味がないし。  それで「なぜ、わずか6歳で留学することになったのか」ということに、前半の重点を置いて

      • 小千谷の闘牛「角突き」観戦記

         新潟県の小千谷市内で「角突き」という闘牛が伝統催事として行われており、東京からのツアーがあると知って、亭主と一緒に参加しました。団体旅行に加わるなんて、学生時代の海外旅行以来ではないかしらん。でも観戦チケットを取ったり、駅からの足を確保したりせずにすむのだから、いたって楽ちん。  当日は雨でしたが、大型バスで山中の会場へ。道路っ端に、牛たちがおとなーしくつながれており、これから戦うぞという猛々(たけだけ)しさは皆無。これで大丈夫かいなと思いつつ、取り組み表をもらって観戦席に

        • 津田梅子を描いた新しい文庫本が出ます

           2019年12月に単行本として出た『梅と水仙』が、文庫本になって発売になります。連休明けの5月9日ころには、大きな書店には並ぶかと思います。帯のスモーキーピンクが効いて、とてもきれいな本になりました。  内容は津田梅子と、父親の津田仙のふたりの視点で、章ごとに交互に書いてあります。要するに父と娘の物語です。これを書こうと思ったのは、梅子よりも、津田仙に興味を持ったのがきっかけでした。梅子の留学は、仙の意思である部分が大きいし。  津田仙は、もともと千葉の佐倉藩の出身で、若く

        新刊『鹿鳴館の花は散らず』執筆裏話

          「歴史街道」6月号に6ページ書きました

           まもなく発売の「歴史街道」6月号で「日本赤十字の近現代」という特別企画があり、その中で鍋島榮子(なべしまながこ)について、6ページで書きました。佐賀藩の最後の藩主、鍋島直大に嫁いで、「鹿鳴館の花」と呼ばれて外交に尽力。その後、日本赤十字社の篤志看護婦人会の会長を、長く務めた女性です。  今回のページは、日本赤十字社に愛子さまが就職されたこともあって、企画ができたようです。ちょっと気をつけていると、テレビのニュースなどで被災地や紛争地の映像が流れると、赤十字のマークをつけた人

          「歴史街道」6月号に6ページ書きました

          久しぶりに雑誌の大きな仕事をしました

           東海道と山陽新幹線のグリーン車にのっている「ひととき」という雑誌の5月号で、佐賀と有田の特集20ページを書きました。文章のほかに写真にも登場しています。上の写真は佐賀城本丸歴史館で、幕末の佐賀藩主、鍋島直正公の写真パネルとツーショット。カメラマンの阿部吉泰さんが撮ってくださったものを、紙面から複写しました。  2月半ばに2泊3日で佐賀と有田をまわって、撮影しながら、いろいろな方にインタビュー。3日間、着物でがんばり通しました。内容は来年の大阪万博を意識して、幕末のパリ万博

          久しぶりに雑誌の大きな仕事をしました

          なんと拙作が発売6日で重版決定!

           ここのところ、ちょっと忙しくて、ようやく今日、本屋さんに行って、20日に発売になった『イザベラ・バードと侍ボーイ』が棚に収まっているのを写真に撮ってきました。で、ゆるゆるブログを更新しようかなと思っていたら、さっき担当編集者から電話あり。  彼女から昼間、電話が来ると、私は毎度、ギョッとするのです。以前、1週間違いの福岡行と盛岡行を、私が勘違いしており、「今どこですか?」と切羽詰まった声で電話をもらったことがあったので。そのときすでに彼女は福岡に飛ぼうと、羽田空港で私を待っ

          なんと拙作が発売6日で重版決定!

          新刊『イザベラ・バードと侍ボーイ』発売

           まもなく新刊が出ます。2月20日発売の集英社文庫書き下ろし『イザベラ・バードと侍ボーイ』です。ちょっとばかり長くなりますが、その裏話を書きますので、おつきあいください。  イザベラ・バードは実在したイギリス人旅行作家です。明治11年の初夏に来日し、欧米人の未踏の地に行ってみたいからと、あえて東北の山間部の山里を訪ね歩き、北海道のアイヌの村まで足を伸ばしました。でも梅雨が長い夏だったようで、来る日も来る日も雨にたたられ、馬で進む山道はぬかるんで、たいへんな旅でした。これに通訳

          新刊『イザベラ・バードと侍ボーイ』発売

          「定年時代」に大きく記事が載りました

           月に2回、朝日新聞と一緒に配達される「定年時代」というタブロイド判の新聞があります。その1月22日の東京版に、私のインタビュー記事が掲載されました。  去年の12月の初めに、記者の方が取材にみえたので、近著の『富山売薬薩摩組』についてお話しました。そのときには掲載時期は未定でしたが、案外、早く載せて頂けました。1面トップから2面にまで続いており、予想外に大きな記事でした。  取材の際に、記者の方が「本を読者プレゼントに」とのことだったので、版元が5冊、提供してくれました。す

          「定年時代」に大きく記事が載りました

          次期首相の呼び声の上川陽子さん

           麻生太郎氏が上川陽子外務大臣について、「おばさん」とか「美しい方とは言わん」とか発言して問題になっているけれど、これで上川さんが優秀な人だって世間にアピールできたわけで、実は、これは麻生さんの手柄じゃないかという気がする。話の内容は、上川さんを絶賛しているし。ちなみに上のツーショットは埼玉新聞からの転載。  上川陽子さんは私の中学高校の2学年先輩で、一部で次期首相の呼び声が、かなり高い。個人的に存じ上げてはいないし、私は政治には不案内だけれど、どうしたって「母校から日本初の

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          歴史小説家の韓国取材の旅

           前回、パリ滞在記が割合に好評だったので、去年の5月に家族旅行と取材を兼ねて、韓国に行った話を書くことにします。  韓国取材の目的は、11月に発売された拙作「富山売薬薩摩組」の中で、薩摩藩領に実在した朝鮮の焼き物の里を描くためでした。もともとは秀吉の朝鮮出兵の際に、朝鮮半島から連れてこられた陶工たちの村でしたが、薩摩藩は幕末まで、彼らに故郷の風俗や習慣を守らせたのです。現在、鹿児島県内にある「沈壽官窯」は、その末裔です。  もちろん「沈壽官窯」にも取材に行ったのですが、なに

          歴史小説家の韓国取材の旅

          歴史小説家ひと月パリ滞在記 その4 名建築サヴォア邸見学

           娘の産後しばらくして、落ち着いたころの話。「コルビュジエが設計したサヴォア邸っていう家が、世界遺産になってるんだけど、みんなで車で行かない?」と、娘が誘ってくれました。なにせ私はショッピングにもグルメにも、たいして興味がなく、このままではパリに来た甲斐がないと、哀れんでくれたらしいのです。  私は30代の終わりから40代の初めにかけて、建築とまちづくりの事務所で仕事をしていたことがあり、その経験もあって「帝国ホテル建築物語(PHP研究所刊)」を書きました。なので古い建物に興

          歴史小説家ひと月パリ滞在記 その4 名建築サヴォア邸見学

          歴史小説家ひと月パリ滞在記 その3 いよいよショッピングとランチ

            パリにはモノプリといって、ちょいオシャレめな量販チェーン店があり、娘の家から歩いて15分ほどのところにも1軒あります。孫娘は夏休みが終わって、幼稚園に通うようになったので、私は新生児育児の手伝いの合間に、そこまで歩いていっては、可愛い缶入り石鹸などを買って、そこそこ満足しておりました。  でも5年前の渡欧の際には、ラファイエットなど都心の高級デパートでコートを買ったりもしたので、今度も娘が「デパートに行ってきたら? サマリテーヌってとこがいいよ」と勧めてくれました。なら

          歴史小説家ひと月パリ滞在記 その3 いよいよショッピングとランチ

          歴史小説家ひと月パリ滞在記 その2 パリ路線バスの旅

           第二子出産のとき、第一子5歳孫の幼稚園は夏休み中。それまで髪を長く伸ばしていたのだけれど、9月の新学期を前に短くしたいと申します。でも彼女の母親である、わが娘は産後すぐで外出できず、私に「バアバ、美容院に連れてってやってよ」とのたまう。  娘のツレアイも日本人で、ゆえに孫娘は純正日本人。まっすぐな黒髪で、西洋人の美容師さんだと上手にカットできないので、韓国人の美容師さんがやっているパリ都心部のサロンに連れていかねばなりません。  でも「子連れでメトロに乗ると、スリに遭うから

          歴史小説家ひと月パリ滞在記 その2 パリ路線バスの旅

          歴史小説家ひと月パリ滞在記 その1 東京からパリへ

           フランスの自動車会社でデザイナーをしている長女が、第二子を出産するというので、今年の夏の終わりに約1ヶ月、パリに行ってまいりました。  私は狭い空間が苦手で、人間ドックのМRI検査も大嫌い。幼い頃、悪いことをやらかすと、父親に押し入れに閉じ込められたものだけれど、もしや、そのトラウマか。  よって長距離フライトのエコノミー席もダメで、5年前の第一子誕生の際には、ロシアの航空会社、アエロフロートのビジネスクラスに乗って行きました。当時はJALのエコノミーより、ちょい高めくらい

          歴史小説家ひと月パリ滞在記 その1 東京からパリへ

          新聞の読書欄などに出ました

           11月半ばに発売になった「富山売薬薩摩組」が、新聞の読書欄などで紹介されました。今回は特に書くのに苦労したこともあって、少し不安もあり、高く評価していただけて、いつになく書評が嬉しかったです。  上の画像は細谷正充さんが書いてくださった12月2日の東京新聞ですが、最期の行で「(薬売りたちの)誠実に生きる姿に胸打たれるのだ」と結んであり、しみじみ嬉しくて何度も読み返しました。  産経新聞では担当編集者が書いてくれましたし、富山の北日本新聞や北國新聞でも取り上げていただけました

          新聞の読書欄などに出ました