エッセイ:出勤前にコーヒーを飲んだ話
仕事に行きたくなかった。
仕事に行きたくないなんていつものことだし、働かずして大金を得られたらどんなに幸せか、という妄想ばかりしている。
しかし、今朝は本当に行きたくなかった。足が向かなかった。
なぜだろう。
忙しい時期で、大きな仕事を抱えているのは確かだが、なんとかこなしていたはずだった。何かに対して明確に「嫌だ」と思っていたわけでもない。
堂々と言うべきことではないし、良くないという自覚もあるが、私はそれほど「仕事に一生懸命!!」タイプではないので、疲れるほど頑張ってもいない。
そんな人間が「無理かも」と足を止めてしまった。
とはいえ、休むのもそれはそれで面倒くさい。連絡したり、いろいろ引き継いだり…、と考えれば、仕事に行った方が楽な気さえする。中途半端な奴である。仕方がないので、某コーヒーショップに入ることにした。
以前、noteに『私のアメリカーノ』という作品を投稿したな、とかキモいことを考えながらアメリカーノを注文する。私はコーヒー好き(カフェ好き)を自称しているが、舌がばかなので正直あんまり違いがわからない。インスタントも缶もペットボトルも美味しくいただけるタイプのコーヒー好きだ。真のコーヒー好きからは怒られそうだが、おいしいと感じるものがたくさんある、というのも悪くないよ。
コーヒーショップのアメリカーノも当然おいしかった。
アメリカーノを飲みながら、ぼんやりSNSを眺める朝…。
結局、仕事には行った。
遅刻もしていない。
スマホを見ていると、ふと「そろそろ行くか」という気になったのである。
行ってみれば何ということもなく、問題なく仕事は終えられたし、途中からやる気も出てきて、明日すれば良い仕事にも少し取りかかった。
いつもと変わらない平日だった。
今朝は、何だったんだろう。もともと面倒くさがりな性格なので、どうせ「面倒くさい」がMAXになったとかそんなもんか。
大人げないな。
とりあえず、某コーヒーショップのアメリカーノのおかげで切り替えることができた、とかっこつけてみる。そんなにかっこよくもないか。
たぶんこれからも、誤魔化し誤魔化ししながら社会の歯車にのまれてぬるっと生きていくんだろう。どこまでも中途半端な人間である。燻った人生。
そんなつもりじゃなかったのにネガティブで終わりそうなので、今日の良かったことを発表しておこう。
・やるべきお仕事ちゃんと終わらせて偉い。
・某コーヒーショップのアメリカーノはおいしい。
・舌がばかだと、おいしいものがたくさんあって幸せ。
こんだけ良いことがあれば、じゅうぶんである。
さ、明日もぬるっと生きていきますぞ。
ぬるっと作品紹介
超短編小説:私のアメリカーノ
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