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2020年8月の記事一覧
【連載小説】発砲美人は嫌われたくない_6
僕は腹ばいになったまま、あたりの様子を探った。
先ほどの破裂音は尋常ではなかった。が、あいにく僕はこのところ尋常ではないこと続きでなにが尋常かわからなくなっている。こういうときこそ頭をリフレッシュするための休暇が欲しいと思うのが人情だが、この世は無常。トラブルと修羅場は立て続けにやってくるものと相場が決まっている。
「ど、どうしましょうか」
ミサキ、と名乗られたのが名前なのか名字なのかもわか
【連載小説】発砲美人は嫌われたくない_5
スエヒロくん、と鱒沢さんの声が飛んできて、僕の背中が上下動した。
「ごめん、驚かせたかな」
いえ、と曖昧に返事をしてパソコンの画面をチェックする。大丈夫、変なブラウザは立ち上がっていない。
「出張に行ってほしいんだけど」
「出張ですか?」このご時世に、とい言葉を吐き出す寸前で噛み砕く。「オンラインではダメなんですか?」
「クライアントがその手の機械に疎いらしくてね。使い方を覚えてくださいとも、