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  • フィロソフィ・ガールズ

    ひょんなことから哲学を学ぶこととなった女子高生の気難しい青春の物語。数学ガールがあるなら哲学ガールがあってもいいだろう的なノリで書き始めた。

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家に籠もり、本を読もう 歴史小説編

さて、「家に籠もり、本を読もう」シリーズ第3回は歴史編です。この機会に本でも読んでみるかと思い立った人向けに個人の独断と偏見で歴史小説を紹介していきます。 『壬生義士伝』 浅田次郎最初に紹介するのは、『鉄道員(ぽっぽや)』の大ヒットで知られる浅田次郎の『壬生義士伝』です。歴史ものでは、ひときわ人気の高い幕末は新選組が舞台です。 主人公は一般には殆ど知られていない無名の隊士・吉村貫一郎です。吉村貫一郎は、他の血気盛んな隊士たちとは少し違いいます。幕府を守るといった新選組の大

    • 家に籠もり,本を読もう  SF編

      かつてどこかの有名な劇作家が「書を捨て、街に出よう」と言いました。そして今や僕たちは「家に籠もり、本を読もう」という事になっています。 というわけで、初心者向けに独断と偏見で本を紹介していくシリーズのSF編です。玄人の方はそっとブラウザバックすると幸せになれます。 海外SF編『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン まずは、ハードSFの傑作ジェイムズ・P・ホーガンの『星を継ぐもの』です。本作はSFと言っても聞きなれない技術用語は出てこないので、安心してください。現在よりち

      • 家に籠もり本を読もう ミステリー編

        外出自粛中でやることないよーな人向けに本を紹介するシーリズのミステリー編です。(まだミステリーしかない) 普段、本を読まない人向けなので、有名どころを個人の独断と偏見をもとに紹介します。玄人の方はそっとブラウザバックすると幸せになれます。 海外古典ミステリー まずは、海外古典ミステリーを紹介します。ミステリーの基礎教養ですね。 『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティー ミステリーの女王ことアガサ・クリスティーの代表作です。世界で最も有名なミステリーといっても過言

        • 考える女子高生 カント編⑥ 純粋悟性概念

          ときに人はどうしようもなく、頭にこびりついて離れない問いに遭遇することがある。このnoteは、そんな問いに取り憑かれた少女の気難しい青春の物語になるはずである。 前回までのあらすじ 世界の始まりは?という問いから始まったカント哲学談義。カントは知覚判断と経験判断に人間の認識の仕方を分けた。そして、その違いを作るものを純粋悟性概念と呼んだのだった。 「純粋悟性概念?」 真希は聞き返した。 「そう、純粋悟性概念だ。まあ、聞き慣れない言葉だよね。とりあえずは、悟性=知性と思って

        家に籠もり、本を読もう 歴史小説編

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        • フィロソフィ・ガールズ
          6本

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          考える女子高生 カント編⑤ AIは万有引力の夢を見るかpart2

          ときに人はどうしようもなく、頭にこびりついて離れない問いに遭遇することがある。このnoteは、そんな問いに取り憑かれた少女の気難しい青春の物語になるはずである。 前回までのあらすじ 世界の始まりは?という問いから始まったカント哲学談義。カントは人間が世界を知覚するための条件として、「空間」と「時間」をあげ、それらを感性の形式と呼んだ。 人間は感性の形式に縛られて、世界を知覚するために「物自体」を認識することはできず、「現象」を知覚しているとカントは主張するのであった。 「

          考える女子高生 カント編⑤ AIは万有引力の夢を見るかpart2

          考える女子高生 カント編④ AIは万有引力の夢をみるかpart1

          ときに人はどうしようもなく、頭にこびりついて離れない問いに遭遇することがある。このnoteは、そんな問いに取り憑かれた少女の気難しい青春の物語になるはずである。 前回までのあらすじ 世界の始まりは?という問いから始まったカント哲学談義。カントは人間が世界を知覚するための条件として、「空間」と「時間」をあげ、それらを感性の形式と呼んだ。 人間は感性の形式に縛られて、世界を知覚するために「物自体」を認識することはできず、「現象」を知覚しているのだった。 * 「ニュートンって

          考える女子高生 カント編④ AIは万有引力の夢をみるかpart1

          考える女子高生 カント編③ 「現象」と「ものそれ自体」

          ときに人はどうしようもなく、頭にこびりついて離れない問いに遭遇することがある。このnoteは、そんな問いに取り憑かれた少女の気難しい青春の物語になるはずである。 前回までのあらすじ 世界の始まりとはなにかという問いから始まった女子高生とおじさんのカント哲学談義。カントは人間が物事を知覚するための条件として「空間」と「時間」をあげ、この2つを感性の形式と呼んだのだった。 * 「君たちは真に世界を認識できているか?」 陽平は2人の女子高生を前に言った。彼女たちはその問いが意

          考える女子高生 カント編③ 「現象」と「ものそれ自体」

          考える女子高生 カント編② 感性の形式

          「ビッグバンの前には一体何があったの?」という一言から始まったカント哲学を巡る女子高生とおじさんの物語である。 イマヌエル・カント 『純粋理性批判』 と書かれた黒板を見ながら、2人はあ然としていた。 「イマヌエル・カントって聞いたことないかな」 陽平は笑いながら2人の少女に聞いた。 「ないようなあるようなって感じかしらん」 「イマヌエル・カントは18世紀ドイツの哲学者だ。倫理とか現代社会で習わなかった?」 「どうかしらん?」 真希は首をかしげた。「かしらん」というのが真希

          考える女子高生 カント編② 感性の形式

          考える女子高生 カント編① 宇宙のはじまりって?

          ときに人はどうしようもなく、頭にこびりついて離れない問いに遭遇することがある。このnoteは、そんな問いに取り憑かれた少女の気難しい青春の物語になるはずである。 「ねえ、ビッグバンの前には一体なにがあったと思う?」 真希は、それが自分に向けられた問であり、ビッグバンとは宇宙の始まりとされる大爆発のことであることに気付くのに些かの時間を要した。 「ビッグバンって授業でミヤモンが言ってたやつのこと?」 真希は美月の顔を覗き込むように訊ねた。 「そうそう、宇宙の始まりって宮本先

          考える女子高生 カント編① 宇宙のはじまりって?