マガジンのカバー画像

フィロソフィ・ガールズ

6
ひょんなことから哲学を学ぶこととなった女子高生の気難しい青春の物語。数学ガールがあるなら哲学ガールがあってもいいだろう的なノリで書き始めた。
運営しているクリエイター

記事一覧

考える女子高生 カント編⑥ 純粋悟性概念

ときに人はどうしようもなく、頭にこびりついて離れない問いに遭遇することがある。このnoteは、そんな問いに取り憑かれた少女の気難しい青春の物語になるはずである。

前回までのあらすじ
世界の始まりは?という問いから始まったカント哲学談義。カントは知覚判断と経験判断に人間の認識の仕方を分けた。そして、その違いを作るものを純粋悟性概念と呼んだのだった。

「純粋悟性概念?」
真希は聞き返した。
「そう

もっとみる
考える女子高生 カント編⑤ AIは万有引力の夢を見るかpart2

考える女子高生 カント編⑤ AIは万有引力の夢を見るかpart2

ときに人はどうしようもなく、頭にこびりついて離れない問いに遭遇することがある。このnoteは、そんな問いに取り憑かれた少女の気難しい青春の物語になるはずである。

前回までのあらすじ
世界の始まりは?という問いから始まったカント哲学談義。カントは人間が世界を知覚するための条件として、「空間」と「時間」をあげ、それらを感性の形式と呼んだ。
人間は感性の形式に縛られて、世界を知覚するために「物自体」を

もっとみる
考える女子高生 カント編④ AIは万有引力の夢をみるかpart1

考える女子高生 カント編④ AIは万有引力の夢をみるかpart1

ときに人はどうしようもなく、頭にこびりついて離れない問いに遭遇することがある。このnoteは、そんな問いに取り憑かれた少女の気難しい青春の物語になるはずである。

前回までのあらすじ
世界の始まりは?という問いから始まったカント哲学談義。カントは人間が世界を知覚するための条件として、「空間」と「時間」をあげ、それらを感性の形式と呼んだ。
人間は感性の形式に縛られて、世界を知覚するために「物自体」を

もっとみる

考える女子高生 カント編③ 「現象」と「ものそれ自体」

ときに人はどうしようもなく、頭にこびりついて離れない問いに遭遇することがある。このnoteは、そんな問いに取り憑かれた少女の気難しい青春の物語になるはずである。

前回までのあらすじ
世界の始まりとはなにかという問いから始まった女子高生とおじさんのカント哲学談義。カントは人間が物事を知覚するための条件として「空間」と「時間」をあげ、この2つを感性の形式と呼んだのだった。



「君たちは真に世界

もっとみる
考える女子高生 カント編② 感性の形式

考える女子高生 カント編② 感性の形式

「ビッグバンの前には一体何があったの?」という一言から始まったカント哲学を巡る女子高生とおじさんの物語である。

イマヌエル・カント 『純粋理性批判』

と書かれた黒板を見ながら、2人はあ然としていた。
「イマヌエル・カントって聞いたことないかな」
陽平は笑いながら2人の少女に聞いた。
「ないようなあるようなって感じかしらん」
「イマヌエル・カントは18世紀ドイツの哲学者だ。倫理とか現代社会で習わ

もっとみる
考える女子高生 カント編① 宇宙のはじまりって?

考える女子高生 カント編① 宇宙のはじまりって?

ときに人はどうしようもなく、頭にこびりついて離れない問いに遭遇することがある。このnoteは、そんな問いに取り憑かれた少女の気難しい青春の物語になるはずである。

「ねえ、ビッグバンの前には一体なにがあったと思う?」

真希は、それが自分に向けられた問であり、ビッグバンとは宇宙の始まりとされる大爆発のことであることに気付くのに些かの時間を要した。
「ビッグバンって授業でミヤモンが言ってたやつのこと

もっとみる