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家に籠もり、本を読もう 歴史小説編

さて、「家に籠もり、本を読もう」シリーズ第3回は歴史編です。この機会に本でも読んでみるかと思い立った人向けに個人の独断と偏見で歴史小説を紹介していきます。

『壬生義士伝』 浅田次郎

最初に紹介するのは、『鉄道員(ぽっぽや)』の大ヒットで知られる浅田次郎の『壬生義士伝』です。歴史ものでは、ひときわ人気の高い幕末は新選組が舞台です。

主人公は一般には殆ど知られていない無名の隊士・吉村貫一郎です。吉村貫一郎は、他の血気盛んな隊士たちとは少し違いいます。幕府を守るといった新選組の大義には全く興味がなかったのです。彼はただ、ただ、家族の為に出稼ぎに来ていたのでした。

本作、影の主人公は新選組きっての使い手3番隊隊長・斎藤一です。物語は主に幕末の時代を生き抜いた斎藤一などの新選組関係者が吉村貫一郎の話を読者に聞かせるというスタイルで進んでいきます。

死にたくても死ねなかった斎藤一と生きたくても生き抜けなかった吉村貫一郎の二人の人生が見事に映し出されています。時代の流れに翻弄されながらも自らの意思を貫いた男たちの生きざまをぜひ体感してみてください。正直、涙が止まらねえ。。


『竜馬がゆく』 司馬遼太郎

歴史小説といえば、この人、司馬遼太郎ですね。名作がありすぎて紹介するのを悩みましたが、1番有名な『竜馬がゆく』を取り上げました。坂本龍馬といえば、今や日本人が最も好きな歴史上の偉人の1人でしょう。

しかし、日本人の思い描く坂本龍馬像は、この小説によって作られたと言われています。それまで坂本龍馬は、一般の人には殆ど知られていませんでした。

優れた歴史小説は、歴史上の知られざる一面に光をあて、みずみずしく蘇らせてみせます。それはときに、現代を生きる人々に多大なる影響を与えることがあります。

そして、まさしく坂本龍馬は司馬遼太郎という小説家によって坂本竜馬となったのであり、今もなお多くの日本人から尊敬を集めています。とにかく竜馬がカッコいいんです...!


『三国志』 吉川英治

続いて、紹介するのは吉川英治の『三国志』です。日本人の書いた三国志で、最も有名なのは横山光輝の漫画『三国志』と本作でしょう。実は横山光輝の漫画はこの吉川三国志をベースにしています。

この小説も『竜馬がゆく』と同じく、日本における三国志のイメージを大きく決定付けました。

三国志は西暦2、300年頃に覇権を争った3つの王朝・魏呉蜀の歴史書のことです。これに創作が加えられたのが『三国志演義』と呼ばれ、中国では長い間、親しまれてきました。この頃、日本といえば弥生時代ですので、中国の歴史の深さを感じます。

長い間の時を経てもなお、残ってる歴史上の逸話はやはりそれなりの面白さを保証してくれます。お気に入りの武将を見つけたり、中国のことわざの由来を知ったりするのも楽しいですね。

特に諸葛亮孔明の冴え渡る知略・謀略が見どころです。『三国志』はたくさんの作家が描いているので、読み比べてみるのも面白いかと思います。


『夏姫春秋』 宮城谷昌光

次に紹介するのは僕が最も好きな作家の1人である宮城谷昌光です。好きすぎてどれを選べばいいかわからなかったので、とりあえず直木賞受賞作の『夏姫春秋』を取り上げます。

本作の舞台は三国志と同じく、古代中国ですが、本作の時代である春秋・戦国時代は三国志より遡ること千年くらい前の話です。そのころの文献が残ってるのがすごいですね。

主人公は中国では悪女とも呼ばれる絶世の美女・夏姫です。夏姫はその美しさゆえ、数々の男の人生を変えてしまいます。そして夏姫もまた、その美しさのために波乱の人生を歩まざるをえません。

宮城谷は悪女と呼ばれた夏姫を物語の中心に添え、夏姫という1人の女性のいかんともし難い運命と希代の名君とされた楚の荘王の時代を情熱的に描いています。

漫画『キングダム』は、春秋・戦国時代がまさに終わらんとする頃を描いて、大変人気を博していますが、個人的には、春秋・戦国の中期が中国の歴史上稀にみる面白さだと思います。


『時の娘』ジョセフィン・テイ

最後に紹介するのはイギリスの歴史を扱った小説『時の娘』です。本作は歴史小説とは呼べないかもしれないです。歴史ミステリーのような小説です。英国のミステリーランキングでは首位をとることもしばしばあるようです。

本作は英国史上に悪名高い王・リチャード三世を扱っています。リチャード三世といえば、その甥二人を殺し自らが王になった人物として知られています。

そのリチャード三世の肖像画をある1人の刑事が見るところから物語は始まります。彼は人相を見ることを仕事柄得意にしています。もし、自分の勘に狂いがなければ。。。

刑事が歴史上の殺人事件を探っていくという壮大なミステリー歴史小説となっています。歴史というものがどのように作られていくのか、読者はその過程を目撃することでしょう。


今回は歴史小説を紹介してみました、僕は学生の頃、歴史小説をよく読んでいましたが、そのおかげで日本史は勉強しなくても点数が良かった気がしています。勉強がてら読んでみてはいかがでしょうか。



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