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事業承継の構成要素①人の承継

画像1(出展:事業承継ガイドライン)



円滑な事業承継を実現するためには

①人(経営)の承継
 ⇒ 経営権

②資産の承継
 ⇒ 株式、事業用資産、資金

③知的資産の承継
 ⇒ 経営理念、従業員の技術や技能、ノウハウ、
   経営者の信用、取引先との人脈、顧客情報、
   知的財産(特許等)、許認可 等

これらの各経営資源を適切な形で後継者に承継していくことが重要です。

ここでは事業承継の構成要素のひとつである「人(経営)の承継」について事業承継ガイドラインをもとに深掘りしていきます。

そもそも 人(経営)の承継とは

人(経営)の承継とは、現経営者から後継者へ「経営権を承継すること」を指します。

・会社形態であれば  ⇒ 代表取締役の交代
・個人事業主であれば ⇒ 現経営者の廃業 + 後継者の開業

と考えられます。


現経営者が現在まで維持・成長させてきた事業を誰に委ねるべきか

適切な後継者の選定は事業承継の成否を決する極めて重要な問題です。

特に中小企業においては経営者の能力が経営実績に大きく影響を与えていることが多く、技術やノウハウ、取引先との関係性などが経営者個人に集中している傾向があります。

そのため、承継後の会社の円滑な運営や業績が後継経営者の資質に大きく左右されるのです。

誰を後継者として選定し、今後の事業を委ねるのか?

これは現経営者が後継者候補とのコミュニケーションを密に行い、後継者に相応しい者を選定し、教育・育成していく必要があります。

親族内承継や従業員承継において

・後継者候補を選定し
・経営に必要な能力を身につけさせ
・知的資産を含めた引継ぎを行う

というのが、一般的な事業承継の取り組みの流れになります。

中小企業庁の調査によると、
この活動には、5 年~10 年の期間が必要とされています。

現経営者が長年積み上げ、育ててきたものを引き継ぐわけですから、
相応の期間がかかるのは当然と言えるでしょう。


後継者候補の選定はお早めに

事業承継を進めるうえで、一番最初に行う取組が後継者候補の選定です。

後継者候補が親族内にいるのか?

親族内にいない場合、従業員の中に承継できそうな人材はいるのか?

社内にもいない場合、M&A(社外への承継)は可能か?

出来ない場合、廃業の方法を検討する

このように、

誰を後継者候補とするのかによって、その後の取組が大きく変わります。

事業全体の引き継ぎに十分な時間を割くためにも、
後継者候補の選定は出来るだけ早期に開始すべきです。


近年、中小企業においては親族の中から後継者候補を見つけることが困難な企業も増加しています。

その場合、次に検討されるのが従業員承継です。
中規模以上の企業では以前より、従業員に承継するケースはよくありましたが、現在では小規模企業において増加しています。

しかし、小規模企業における従業員承継では、
株式買い取り資金の調達や借入金の個人保証などの課題があり、円滑に事業承継が進まないケースも多くあります。

このような場合において、M&Aなどにより会社や事業を社外へ引継ぐことが、有力な選択肢のひとつとして認識されてきています。

事業承継の検討に際しては親族内・従業員承継に向けて後継者の選定を行うだけでなく、状況によってはM&A等による社外への承継の可能性も視野に入れて検討を進めることも必要です。

いずれの方法を選択することになったとしても、
事業承継には、それ相応の期間を要します


まとめ

事業承継の最初は後継者候補の選定から始まります。
まずはこの最初の一歩目に取り組みましょう。

そして、現経営者が属人的に保有している

技術やノウハウ、取引先との関係性 等を少しずつでも
後継者候補に伝承していく。

これは、日常業務の中でもできるはずです。


事業承継への取り組みが遅れたがために、色々な選択肢や打ち手が減ってしまった結果、事業承継ができなくなる企業もあります。

「ウチにはまだ早いかな。」と思わずに、

早期に事業承継に取り組むことをお勧めします。



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