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初めての一人旅(第8回)

果たしてこれを「一人旅」と呼んで良いのだろうか。

大学生になって早3年。
これまでに様々な人と出会ってきた。

1ヶ月一人で海外へ旅に出ている人や
国内でヒッチハイクしている人。

「自分なんかちっぽけだなぁ」

と思わされる程の凄い人ばかりだ。世の中は。


それでも僕は一人で旅行することを「一人旅」と言い続けた。
何故なら

「すべてを自分で決めているから」

世の中には「誰かに言われないと」とか「誰かがやってくれるから」などのような受け身な人はたくさんいる。

能動的に、自分の思い通りに旅行をする時点で

「旅」

と呼んで良いのだろうと僕は思う。


そんな僕の初めての一人旅は大学1年の夏休みだった。




2017年のお盆。
父親の実家がある長崎県南島原市へ家族で帰省することになった。

父親はいつものようにカーフェリーで。
母親と兄は仕事の都合で飛行機で。

僕はフェリーでも飛行機でも何でも良かった。
ただ、莫大に時間があるのだからどうせならやりたかったことをやろうと思った。

そこで選んだ手段は

青春18きっぷ

だった。




2017年8月11日。
この日は従兄弟の家に泊めてもらう為、名古屋までの移動だった。

東海道線を使うため、池袋駅から青春18きっぷを使い始める予定だった。


名古屋までだから始発で行く必要はない。

朝9時くらいに家を出発した。


約1300kmの旅が始まった。

と、思いきや早速トラブルが発生した。

最寄り路線である東武東上線の人身事故。


この時は時間にかなりの余裕があった為、そこまで焦ることはなかったが…

今思い出すだけで震えてくるほどの恐ろしさだ。


川越駅までは電車が動いていたので、急遽予定を変更し、川越駅から青春18きっぷを使い始めることになった。

大宮駅で大好きな牛タンの駅弁を購入し、
熱海駅まで向かった。

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さあいよいよ静岡県。

徐々に関東にはないローカル感が漂ってくる。

「静岡県に入ったことだし、もうそんな遠くないだろう」

青春18きっぷを使ったことがある人ならこの考え方があまり良くないことはわかるだろう。

静岡県はとんでもなく横に長い!

当時はそこまで地理感が身についていなかったため、それなりにメンタルが削られた覚えがある。

静岡市から浜松市までって遠いんだね…


これに加えて静岡区間はオールロングシート。
普段使っている横並びのシートで3時間近く移動するとは思っていなかった。



この苦行を乗り越え、愛知県へ入った。

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愛知県豊橋市。
この時はそのまま乗り換えてしまったため、街を散策することはなかった。

後日、別の機会で立ち寄ったことがあるが、丁度良い雰囲気の街だなぁと感じた。
楽しい思い出がある街だ。

普段は通り過ぎてしまうような街。
いざ降り立ってみると思いがけない出会いがあるのかもしれない。



ここからは転換クロスシートの列車で移動ができる。
進行方向に向くことができるだけでこんなにも有難いのか…


1日目の目的地である名古屋駅に到着。

叔母さんと合流し、名物ひつまぶしを食べて1日目は終了した。

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2017年8月12日。

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2日目は山口県下松市まで。
3日間で最も長い約560kmの移動。

とは言ってもここからは転換クロスシートの車両ばかり。
ただ移動するだけなので苦痛など感じることはない。

もしかしたらほとんどの人は
「ただ移動するだけ」
ということ自体苦痛なのかもしれないが…



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兵庫県の姫路を越えた辺りから突如田舎感が増した印象がある。

姫路駅から岡山駅まではあっという間だった。
新快速でビュンビュン移動してきた分、突如現れた地方路線感に酔いしれてしまったのかもしれない。



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岡山県。遂に中国地方だ。
小中学生の頃、日本の至るところを地図帳で眺めていたが、なかなか興味を抱かなかった地方の一つかもしれない。

「そういえば以前付き合っていた子に岡山県出身の子がいたなぁ」

そんなことを思い出しつつ車窓を眺めていた。


昼下がりの丁度良い陽射しが差し込む。
東日本では感じることのできない不思議な感覚に包まれながら広島駅へと向かった。


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原爆ドーム。

長崎の平和記念公園は何度か訪れたことがあるが、広島のは初めてだった。
社会科が大好きな人にとって、教科書に出てくる場所へ訪れることは非常にワクワクすることである。

国籍を問わず多くの人がこの場所にいた。
写真を撮る者、説明文を一言ひと言噛みしめながら読む者…

そこに居た人全員が、なんとも形容し難い雰囲気で佇んでいた。


価値観や想いは人それぞれ。
それでこそ人間。
ただ、「自分は絶対に正しいのだ」と思い始めたら、一度こころを落ち着かせる必要があるのかもしれない。



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昼食兼夕食の「広島風お好み焼き」。
こう言うと広島の方は怒るみたいだが、今回はご了承くださいね。


食べ終わった後、2日目の目的地である山口県下松市へ向かった。


22時前に下松駅に到着した。
駅の近くのビジネスホテルにチェックインし、コンビニへと買い物へ向かった。

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コンビニへ行くついでに駅の周りを少しだけ散歩した。
当然真っ暗だから何があるのか全然わからない。

「そうだ。明日の朝少し早起きしてこの街を見渡せる場所へ行こう。」

急遽そんなプランを立てた。
こんな風に自分の思いつきで行動できるのが一人旅の良いところ。





2017年8月13日。
一人旅最終日。


予定していた出発時刻より2時間早くチェックアウトし、下松公園という公園へ向かった。

<までぃさんの展望台散歩>
高い所があると引き寄せられてしまう特性を持つまでぃさんによる展望台紹介です。

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朝になってようやく気がつく街の雰囲気。
泊まるためだけに訪れるほど勿体無いことはない。

「必ずまた来よう。」

この場所に再び訪れるきっかけができた。


3日目の移動がスタートした。

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本州最西端の下関市。
毘沙ノ鼻へはつい先日、緊急事態宣言が出される前に訪れたので、また後日言葉を残します。



下関駅を出発。
関門トンネルをくぐっただけなのに、どこか本州とは違う感覚だった。

遂に九州へ。



丁度お昼時に博多駅に着いたので名物の博多ラーメンを食べに。

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「東京でも食べられるじゃん」

そう言ってくる人がたまにいる。
そういう人は

「現地に赴いて食べること」

の醍醐味を知らないのだろうなぁと思ってしまう。

現地で食べることが最高の旨味を引き出すスパイスだと僕は思う。

博多駅を出発したらもう一息といったところ。



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鳥栖駅を出発したらいよいよラストスパート。

最後の列車に乗ると、少しだけ寂しさを感じ始める。

「早く着かないかな」

と思っていたはずなのにいつの間にか

「もう終わっちゃうのか…」

と思っている。



人生のことを「旅」と言い換えて表現することがある。

まさにこういうことなのかなと。
人間は皆、無意識のうちに苦痛を楽しんでいるのだ。


長崎県諫早駅に到着し、初めての一人旅は幕を閉じた。






長崎から帰る際、大阪で降ろしてもらって初めての乃木坂46のライブに行ったことはここだけの秘密。

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