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「思い入れのある会社」を去ると、きっと後悔する

 退職した前任の方に会う。本来あまりないはずのことであるが、ひょんなことからそのような機会があったので、積極的に乗っかってみることにした。とても感じの良い方であり、話していても不本意に会社を去ることになってしまったのではないかと思う。他人事ではないような気がした。
 「不本意」というのはどちらかというと「一時の感情に任せて」というようなことに置き換えることが出来ると思う。今、この場の自分をその時に戻すというようなSF的なことができるのであれば、同じ選択にはならないだろう。

 長年いた会社を去った自分と似ていると感じた点は「思い入れのある会社を去った」という点だ。横にいた現職の同僚が「今の会社に思い入れなんてない」と言ってハッとした。今の会社に対して思い入れがあるかというのは恐らく気づきにくい。よく就職は恋愛関係に準えられることがあるが、長年連れ添った恋人のように「こんなに大事だったか」と後で思うことがある。そうならないよう、思い入れがあるか無いかを何で判断できるか、下に列挙してみた。

①勤務期間が概ね3年以上である
②勤務期間中に気の合う上司と働くことができた
③勤務期間中に同僚(部門は問わない)と出かけたりする機会もあった
④会社から特に人事や待遇などで損を強いられることはなかった

大体上記の回答の3つ以上があった場合は、その会社に思い入れがあると言えると勝手に書いてみる。正直、独断で書いているのであまりアテにならないかもしれない。
 ただ、お気づきの方もいらっしゃるかもしれないが、基本的には人のことが書いてある。会社というのはその時の人間が造りあげている、というのが私の持論で、本質であると信じている。だから思い入れがある会社というのは「思い入れがある人々が働いている」ということと同意だ。長年人生や生活を共にしてきた人がいて、退職をした瞬間にふっとその「絆」のようなものが断ち切られる。そこにどうしようもない寂寥感が募り、後悔に至るのではないかと思う。

 人生を豊かにする、いわゆる幸せは物的資産と人的資産に分解できると言われている。思い入れがあるかどうかはどちらかというと人的資産に関係してくる部分だ。給料が少ないから転職した、というのは物的資産に対しての事由になる。
 ここの二つの資産が転職によって共に向上することは、恐らくない。転職することによって人的資産は間違いなく多くの人にとってマイナスとなる。転職先で初日からジャイアンの言う「心の友」が見つかることはないだろう。あるとしても稀だ。なので、そもそも現職で人的資産がマイナスの人であれば、転職はおすすめできる。そうでなければ、多くの人は人間関係の構築の上に業務に勤しんでいるため、勤務期間が長ければ長いほど、後悔してしまうだろう。

 今の会社に対して、本当に何の思い入れもないのか。去る前に一度考えてほしい。そしてそれを投げ出して、どれほどのフォーチュンを掴み取れれば貴方は満足なのか考えてみるのもいいかもしれない。
 戻りたいと言って戻ることも簡単ではない。だけど、少しでも多くの人が幸せに生きてほしいと願う。

後悔のない、人生を。

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