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私淑#3 「木蓮」


 怒りん坊なくせに、おふざけが大好きで、挨拶や礼儀、人や動物への優しさを重んじる。そんな人に私は育てられた。父である。

 私は、父を心底愛し、尊敬している。

 私の生活に欠かせない音楽、映画、読書、の全てに父からのエッセンスが入っている。私が生きるうえで大切にしている、

・愛をもって接する(人、動物、物全てに)
・些細な事でも感謝の気持ちを伝える、忘れない
・人を傷つけることはしない
・相手の気持ちになって考える
・挨拶、返事はしっかりと
・困っている人には手を差し伸べる
・店員さんに優しく
・ご飯は残さず、お米も最後の一粒まで食べる

等の一見簡単そうだが、日々の生活に追われ忘れてしまいそうな事を、心に植え付けてくれたのも父だ。

 私が小学2年生の頃、両親が離婚した。我が家は父子家庭になったのだ。所謂『お母さんっ子』だった私は、母が家を出ていく日大泣きした。滲む目に映る母の後ろ姿は今でも覚えている。私は、自分の感情や思いを表に出すのが苦手だ。しかし、その日は感情や思いが今まで生きてきた中で一番溢れ出ていたと思う。あの日を超えることは、もう無いのではないかと思う程だ。

 しかし、翌日落ち込む父や姉に対し「私が2人を笑わせるから大丈夫」という言葉をかけたらしい。私自身は全く覚えていないのだが、父はこの時のことを鮮明に覚えているそうだ。

 ここまでお読みいただいた方は、少しセンシティブな内容に感じているかも知れないが、決してそうではない。私は、この家に生まれてきてよかったと、恵まれた環境で育ったんだと、心から思っている。

 母子家庭や父子家庭で育った友人や知人の中には、親権を持っていない方の親とは一切会えないという子もいた。親に変わりないのに、、、。しかし私には両親の離婚後、毎年長期休暇や姉と私の誕生月に、母とのお出かけの時間が設けられていた。その為母との繋がりが消える事はなかった。故に今でも母との関係は良好で、母が大好きだ。なんなら「帰れる家が二つもあってラッキー✌️」と思っているくらいだ。

 ある時「何故母と会わせてくれたの?」と父に聞いた。すると父は「会わせない事でよくなる事は何一つないと思ったから」と答えた。《この人の子供で良かった》と思う事は、もう何度もあるのだが、この時もその内の一つだ。

 29歳で2人の娘をひきとる事を決意した父。あの時の父はどんな気持ちだったのだろうか。子を持つことを半ば放棄している私には一生わからないかもしれない。

 私は今年、29歳になる。

 不慣れで辿々しい文、失礼致しました。ここまでお読み頂いた皆様、この機会を与えてくれた🚢さんありがとうございました。

 最後にもう少しだけ🚢さんへの思いを綴らせていただきます。

 燃える心と夏の風のような笑顔を持つ🚢さんが大好きです。

🎧 PICK UP 🎧


執筆:39

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愛を、『愛』以外の表現で

 
 私は「好きなものを突き詰めていけば、その先で必ず好きな人と出会える」と信じてやまない。39さんはその道中で出会った1人である。

 065でも登場していただいた39さんは、私の指先に命を吹き込み、彩りを添えてくださるネイリストさんだ。かれこれ2年近く担当していただいている。そして、一緒に映画やライブに出かける仲良しのお姉さんでもある。

 高田馬場で初めて出会った日のことをずっと覚えている。音楽、映画、読書。自分を構成する愛しいものたちが、出会いを手繰り寄せた。最近は何を観て、何に心を惹かれたのか、お会いするたびに情報交換をするのが習慣となっている。

 これまでお父様についての話題が出ることは時々あったので、私の中でぼんやりとお父様像のようなものは出来つつあった。しかし今回送っていただいた原稿を読んだとき、そのお父様像の輪郭が明瞭になると同時に、お父様に対する39さんの想いがまっすぐ伝わってきて胸が熱くなった。

 原稿には『木蓮』というタイトルが付せられていた。木蓮はお父様の誕生花らしく、お父様といえば木蓮が思い浮かぶようで、それもまた素敵だなと思った。後日、私は白木蓮を撮影しに新宿御苑に足を運んだ。

 実はつい先程、39さんにお会いしてきたばかりなのだが、「何かしらアートをやりたい」という話をされていた。39さんは感情を表に出すのがとても苦手らしい。「この原稿が世に出るのが、今年1番緊張している」と言う程だ。一方、自分の内側に降り積もってしまう感情の行き場を探していて、アートという手段に辿り着いたようだった。

 自分自身よりも、自分の愛する人やものが傷つけられる方が腹立たしく思う。そんな愛情深い39さんが、これからどんな表現活動をされるのか。そして、愛を『愛』以外の言葉でどのように表現されるのか。

 私は39さんファンとして心から楽しみなのだ。

P.S.
 39さんから教えていただいた前嶋貫太郎さんから一曲、私も紹介させていただきたい。

 貫太郎さんが八王子で主催されている「CHILD ROOM LABORATOORIES」というライブで披露されていた一曲「Fade out」。現場で聴いた中でいちばん好きだと感じた楽曲だ。綺麗なピアノイントロから始まるのも好き。