見出し画像

ようやく腹を立てても一緒にいたい人に出会えたんだ

彼氏にものすごく腹を立てた。

もうめちゃくちゃムカついて、ヘアアイロンのプレート側(電源入)を彼に向けた。「180℃だぞ」って。※良い子は絶対に真似しないでください


付き合って一年。来月から同棲することになった。彼の両親や友達に会わせてもらって、家も決めて年末年始は幸せの極みだった。

でも、予感はしていた。こんなに幸せは続かない。そろそろ事件が起きそう。崩れそうって。

-----------------------------------------

彼は定期的に私と喧嘩をしたがる。

「今のうちに喧嘩しておこうよ。いつか爆発するかもしれないし。」

いつもそう言うのだ。

爆発なんてするかな。爆発というのは不満が溜まって起きるものであって、私は不満はたまってないのだから爆発なんてしない。

あなたは私に不満があるの?と聞いたら、特にないけど…と言うのだ。

その日の前日、私たちは家賃の話をしようと約束をした。

家賃を折半するか、年も年収も上の彼がいくらか多く払うか。

この話は、お金にシビアな彼とは揉めそうな予感がしていたから、私は前日のLINEで「明日は武器を5個くらい持ってくね」と冗談を言ったりしていた。

結局その日、彼は少し多く払うと言った。

彼が絶対に折半と言い張ると思っていた私は拍子抜けして、ありがとう、と言って話は済んだ。

武器は要らなかった。話はすぐに終わった。

今回もまた喧嘩はしなかったし、爆発も無かった。

また喧嘩をしない記録を更新してしまった。

そう思った矢先だった。

「この家具が可愛いとおもうの。どう?」

私がスマホの画面を見せると、

「この機能いらなくない?多分これも邪魔だとおもう。値段も高いし、ジモティかネットで安いの探したら?」


「冷蔵庫は新調しようよ」と言うと、

「一旦このまま使えば良いじゃん。ジモティでもらえばタダで済むし♪」

そう。彼はコスパ重視モンスター。ジモティ男なのだ。

お金に厳しく、ほとんどの物をメルカリやジモティで済ます男。


こういう男だということは分かっていた。

ミニマリストで機能性とコスパ重視。全て疑いからかかり、口コミを死ぬほど見る。無駄を嫌う。

そういうところはある意味尊敬していた。

浅はかで何でも信じて、可愛ければ衝動買いも時にはしてしまう私にとっては、自分に無い部分でもあって。

お金を守り、増やす技術や知識が豊富なところは、パートナーにするのならば大きなメリットだと思う。

だけどこの場面では、メリットがデメリットに働いた。

ジモティで探すのは良い。賢いと思う。

もちろんネットで安いのも探すし、冷蔵庫も考えてから買うよ。

だけどこの人は、私が可愛いと思う楽しさや、同棲へのワクワクを簡単に消し去る言葉を、言い返せないような言い方でズバズバと言ってくる。悪気も無く。

高い、要らない、ジモティで探せ、を連呼された私は彼を睨みつけたりアイロンのプレートを向けたりやめて!!って声を荒げたりして、いつもの茶番の延長みたいな時間を過ごしていた。

その後ふたりでニトリに行って、イメージを膨らませながら楽しくウィンドウショッピングをするつもりだった。まるで映画の「500日のサマー」みたいに。

だが現実は違う。ニトリでもまた、ジモティ男現る。

私「このテレビ台かわいいね」
彼「ジモティで探そうね、似たのきっとあるよ」
私「このカーテン機能性いいね!」
彼「本当にこの機能効くの??必要??」


………

こんなに楽しくないデートある????


こうしてみるみるテンションの下がっていく私と勢い止まぬジモティ男は3時間ほどニトリを回って、2人で欲しいと思うものなどひとつも見つからなかった。

付き合ってから1番楽しく無いデートだった。

怒りを通り越して悲しくなってきた私は、テンションの低いまま駅に向かった。

なんとなく勘づいて気を遣っているジモティ男。もう手遅れだ。

文句を言ったり言い返すエネルギーの残っていない私は適当にバイバイ、と言い電車に乗り込んだ。


んめっっっっちゃムカつく……!!!!!



言ってることはわかる。賢いと思う。実家に住んでる私と一人暮らしの貴様の知識の差もわかる。

でももう少し優しくしてくれてもいいじゃない。少しくらい「確かに可愛いね」とか「デザインいいね」とか、あるじゃない。

寄り添えよ、もっと。



こうして解散してから怒りが爆発した私は、LINEで冷静に腹が立ったことを伝え、怒りを抑えるために必死で寝た。

爆発は、解散してから起きてしまったのだ。

またしても喧嘩のチャンスを逃してしまった。


------------------------------------

24時間たって冷静になった私は、何が原因でこうなるのか考えた。

金銭感覚の価値観が違うとか、そんなどこにでもありふれた言葉で片付けるのは違うと思った。

そして辿り着いた答えは、私たちは、ファーストインプレッションで見るところが違う。

私はデザイン、見た目、イメージ先行型。

彼はコスパ、機能性重視型。

私が「これ良くない?」って見せても、値段から見る彼には響かないし、

彼が「これ良くない?」って見せても、デザインを見る私には響かない。

トータルでプレゼンしないと、話し合いにならないのだ。

めんどくさ。楽しんで物を選ぶなんて、もう無理やないかい。


そう思って、引っ越してから本当に必要なものが決まるまでは一緒に家具探しをするのはやめにした。(私の中で)

そう決めたら心が落ち着いてきて、もうどうでもいいや、違うことしよっと♡って落ち着いてきた。


こんなに頭にきたエピソードの中でもひとつ、ポジティブになれたことがあった。

それは「頭にきても一緒にいたい人に出会えた」ということ。


私は今まで、頭にきたり嫌な気持ちにしてきた人とはすぐに距離を置いたり、縁を切るなどあからさまな人間関係の築き方をしていた。

もちろんこういう極端なやり方をすると、すごく素敵な人が残るのだけど、パートナーだとかなり難しい。

パーフェクトな人はこの世にはいないし、寄り添うことは大切だし、自分から諦めていては長く続かない。

相手の嫌なところを見ないふりをすること、正面から向き合って直すこと、受け入れること、いろんな手段があるけれど、

それらをすることを嫌がって遠ざけたりしていた自分を思い出すと、大きな進歩だなあと思った。

そして、ようやく腹をたてても一緒にいたいと思える人に出会えたんだ、って思うと、ジモティ男にも少しは感謝できる。

こうして私たちの同棲は幕を開ける。


でもやっぱり腹が立つのでポジティブな私に感謝して欲しい。

そして次回はハンマーとか持参しようと思っている。




😡😡😡😡😡







彼との出会いはこちら↓

恋愛系記事まとめ↓







#日記 #エッセイ #コラム #同棲 #喧嘩 #カップル #恋愛 #恋 #愛 #結婚


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?