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形を成さないスキルの価値


「皆から信頼されます」「気持ちの良い対応ができます」、いわゆるスタンスとか、人柄とか、

こういうものって、仕事において意味がないのでしょうか。

今日は、本から得た視点をもとに、形を成さない(成せない)スキルの価値についての考察です。

日本の美意識で世界初に挑む
著者:
細尾真孝さん
この30年間でマーケットが10分の1に縮小してしまった西陣織。そんな衰退業界にあって、現代人の生活スタイルにも溶け込む伝統文化の変革に成功した細尾氏。ハーバードのケーススタディーとしても取り上げられるなど世界から注目されている若手経営者の仕事論・経営論。
新しい価値観が求められる時代に、本来、一人ひとりが持っている「美しいものをつくり出したい」という欲求や欲望、そこに回帰することが創造や革新の原動力になるというのが根底に流れるメッセージ。
(Amazon 紹介文より抜粋)

1.「技術」や「素材」そのものに価値がある

ディオールの店舗内装リニューアルを手掛ける建築家のピーター・マリノ氏から「溶けた鉄のようなパターンを西陣織で作ってほしい」と依頼を受けた際、「海外進出するには日本らしさ(和柄)で差別化するべき」という固定概念を持っていたこと、「技術」や「素材」そのものにも価値があることに気が付いたとのエピソード。

この後、HOSOOは、製品ではなく、技術や素材を活かし、多くのアーティストや大企業と対等な立場でコラボレーションし、注目を集めていきます。

この本を読んでいて、「形」を仕事とすると、

「技術」はスキル(専門性)であり、
「素材」はスタンスや人柄に

例えられる気がしました。

2.人柄やスタンスの価値

最近、後輩から「経理としてスキルがないので自信がない」という相談を受けました。私から見た彼女は、いつも笑顔で気持ちの良い対応をする人。確かに経理歴は長くありませんが、まじめに仕事に取り組むので上司からの評判も良く、最近も表彰を受けたばかり。

でも、「簿記もないし、経理としての専門性がないから市場価値がない」と、自信のない彼女。

一方、採用人事として思いだしたのは、現場から経理職で人当たりの良い人を採用したいと言われ苦戦した経験。

経理で連結決算も、IPOも経験していても、「自分のやり方に固執する」「言い方がキツイ」「いつも怒っている」などでうまく力を発揮できない人もたくさん見てきました。

笑顔、気持ちの良い対応は、確かにそれ単体では専門職として採用されないかもしれません。しかし、それがないと採用されないこともある。

また、笑顔で気持ちの良い対応をする人だからこそ、周りの協力を得られて仕事を成功させることもできる。

形を成さないスキルは、前提条件であることもありますが、西陣織のエピソード同様、単体で価値となって発揮されることもあると思います。

3.形を成さないスキルをどう伝えるか

「どんな上手な文章でも、対面でなければ伝えられない」そう思ってきましたが、Twitterやnoteを通じて素敵な方との繋がりが出来たことを考えると、対面でなくても伝わるのかもしれないと思ってきました。

対面ではない場合、私は言葉の選び方から、人柄の良さや、誠実さを感じます。

言葉の選び方が丁寧
 思いやり、気遣いを感じる言葉
 傷つけない言葉
 誤解させない言葉
 相手を喜ばせる言葉
 礼儀を表す言葉 など


どういう言葉を使うかで、
 どういう人間かがわかる

ということかもしれません。

そしてこれは、付け焼き刃では必ず見抜かれるとも思います。

つまり、長い時間をかけて形成してきたものであり、言葉にしなくても滲み出るもの。

形には見えないけど、確かにその人固有の財産であり、価値あるもの、そして、無意識にでも人に伝わっているものなのだと思います。


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