好奇心+目
久しぶりに平日一人休暇した昨日の帰り道。電車の中で旧知の人を見かけた。近くに乗ってきた、背を向けて吊り革を掴んで立っていた女性。
何度も振り返り、私のことを興味津々の目で見ていたが、私を知人だと認識していない。認識していないからこそできる、好奇心に任せた動き。
その人とたくさん接点があった時期が終わり、10年くらいになるのだろうか。気が合うとかそういう話でもないが、とてもお世話になった人。当時の私は、軽いリスペクトと親しみの気分で接していた年上の女性。
車内で周りを見ていなかった私の方は、ふと見たときに知人のような気は少しした。何度もその振り返る様子を見ているうちに、知人と確定できた状況だった。
結局、私から声をかけることなく、その人の好奇心に任せた動きを眺めるだけだった。その人より先に下車した。下車するときにも、ホームを歩いているときにも、その人の視線は届いていた。
その人が忘れっぽいことで知人と気づいていない、という話ではない。数年前くらいから、私の見た目はかなり変化した。近所の人や、そこそこ接点あり、親しくしていた人でも気づかなかった。
なので、その人が悪い訳では全くない。挨拶程度でも近づく気があるなら、私の方が声をかけるべき場面。悪いというなら、私の方が確実に悪い。
私が、その人を旧知の人だと確定できた理由は、その人の好奇心いっぱいの目。
その人の目は大きいのか、年上と言っても顔の印象が何だか可愛い。たくさん接点あった当時も、興味あること、面白そうなことをしっかり観察して何か考えている人だった。目にその好奇心がわかりやすく出る人。
当時、正確なその人の年齢を知っている人は、私の周囲にいなかった。今の私も知らない。当時のその人は「結構、上だよ」と言っていた。
当時の私は、その人に近い年齢と思う別な人との雑談で、「結構上って言われましたけど、10も上じゃないですよね」と言ってみると、「それはないよ」と笑われた。
きっと7歳くらい上、という話になったように、どことなく記憶している。
今の私から7歳くらい上なら、今は50代半ばということになる。
やっぱり可愛いじゃないかと感心した。
接点あった当時の年齢は、40代前半のどこかだろう。何から創られたものだか、誰でも知っているステレオタイプなおばちゃんの言動を使って、周囲を楽しませている面白い人だった。
そのおばちゃんな言動やファッションをさっぱり外すと、可愛さがはっきりと出る見た目をしていた。
ただ、そんなときに「かわいいー」と思いながら、ニコニコ見ていた私に対して怒っていることを、しばらく後になって言われて気づいたことがある。
何だか怖い人でもある。
どうも、ウケるとか嘲るような笑いと受け取られてしまったらしい。
そういう意図はまるでなく、可愛いと思っただけと話して、どことなく納得された。その後に可愛いと思ったときは、「かわいい」と伝えるようにしたので、正しく納得された(と感じていた)。
なので、シメないでください。
昨日は…
その好奇心がはっきりと出るのが変わらない目から、元気そうなことを感じ取れて、何となくホッとした。
その人とは去年だったか、少し前にもすれ違っている。
そのときは、きっとその人だと何となく思ったものの…
昨日と同じだが、その人の方が私を認識していない興味津々の視線だった。
それだけ視認して気づかないなら、知らない人の方がいいのか…? と思ってしまったりしているうちに、声をかけるタイミングを失った。
お互いをすぐに認識でき、簡単に雑談して別れたのは、たぶん5年くらい前。
次の偶然は何年後だろう。
そのとき、私はその人に気づけるのか。
気づいたとしたら、声をかけて雑談できるのか。
声をかけるなら、興味津々の視線を受けるより前がいいなとは思うが…
その好奇心の出た目で確定できた怪しさでは、すぐに気づけるか心許ない。基本的に無関心さが目立つ私では、出遅れるように思う。
次回の私がその人の好奇心の対象外なら、スルーの可能性がもっと高い。対象でいられたとしても、気づくのが遅く、また声をかけられないかもしれない。
その人の方が、今の私の見た目を記憶した可能性は高い。が、別人として認識されているのも間違いない。
仲が悪かった相手ではなく、友人とも言わない。それでも、良い人間関係だった大人同士だというのに、時間の流れと人の変化からくるすれ違いが、かなり大きいことを感じた。
※ 見出し画像は、昨日見た、田中薫「GREENSCAPE」の大きなV字スクリーンの一部。自分の座標を認識され、立体的な庭園らしき緑の光景がそこから変化していた。
「人間x自然x技術=未来」展@SusHi Tech Square。