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春の匂いがしたから、今日から春だ。

春の匂いがしたから、今日から春だ。

やわらかい陽射しが冬の空気を暖めている。アスファルトを突き刺すような鋭い日差しになるまでが春。

枝の間を春の風がすり抜けて、枝の先を揺らす。そして萌芽して、初夏の風が葉を揺らす。それまでが春。

その先は夏。


春の匂いがしたから、心が揺れる。

春風がスカートをふわっと靡かせて、ショートボブの裾を揺らす。わけもなく胸が高鳴る。
新しい季節の訪れと、生命の誕生や活動に刺激されて心が動く。チープな歌を聴きながら、なんだってできるような気になってリズムを刻みながら歩く。期待と不安が入り混じる。期待と不安を胸に、なんて使い古された言葉は使いたくないのだけれど、使い古されるだけの理由はある気がする。期待と不安の間を揺れながら、春を踊る。


春の匂いがしたから、今日から春だ。


揺れる心も、動く心も、全部春のせいにしよう。

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