マガジンのカバー画像

未設定

8
詩というにはあまりに凸凹
運営しているクリエイター

2022年6月の記事一覧

【詩】梅雨は前座にしては長すぎる

鏡に映るその人間は本当に自分?鏡でしか自分の姿を見ることができないだなんてまったく意地悪な世界だね。それが本当に自分かなんて分からないのに。水たまりに映る人間が本当の自分なら、私は喜んで傘を捨てて、その穴だらけの自分にぬるま湯を掛けてあげるよ。貴方の瞳に映るのが本当の自分なら、許可も取らずに貴方の右目と私の左目を取っ替えるよ。そうすれば、鏡を見たら自分を見れるし、鏡がなければ、2人が会う口実も作れ

もっとみる

【詩】完全犯罪

本なんて借りなきゃよかった。ページを捲るたびに、何だか君の香りがするみたいで内容が入ってこない。まるで香水を振りかけた君が私の前を何度も往復しているようで腹が立つ。動かずに隣に居てくれたらどれだけ良かったか。お代理様とお雛様みたいに2人ずっと隣にいようよ。箱の中でおやすみをしてもずっと隣にいようよ。そしたらいつの間にかさ、血まで繋がって知らない間に1人になってたりして。なんて馬鹿げたことを考えるく

もっとみる

【詩】イヤホン外し、愛逢月へいざ参らん

耳をすませば聞こえる流行の音楽、ビジネスマンによる電話越しの会話、建物の間を走る風の音、賑やかな雑音がまるでオーケストラみたいに奏でる小さな世界のBGM。交差点にて交差する人と人。まるで絡まったイヤホンみたい。絡まったイヤホンを解けば今度はDNAの二重螺旋が整列している。それを解けば染色体が顔を出す。25コ目の染色体にはどんな願いを詰め込もうか。来月に織姫様と彦星様に向けて発車する独善的欲望列車に

もっとみる
【詩】眼には眼を貴方の世界に花束を

【詩】眼には眼を貴方の世界に花束を

この眼が2つだけで良かった。心の裏側まで見えてしまったらきっとこんな眼無い方が良いなんて思っちゃう。進化しているのは人間よりも技術で、カメラなんてそれこそ進化の代名詞みたい。全然ブレたりしなくて、僕の心臓もこれくらい強かったらなんて思ったりもして。画素数も信じられないくらい増えてて、僕のできる気遣いもこれくらい増やせたらなんて思ったりして。だけどどんなカメラとも比べられないくらい世界をそのまんま映

もっとみる

【詩】端っこ暮らし

端っこで泣いている君に気付いてあげられる人間になりたい。

交差点 青信号なのに進まない 後ろから聞こえる赤いサイレンの音 立ち止まり目と耳をサイレンの方に向ける群衆と四角い鉄の塊達 
本当に向けるべきは、そうなる前の君だとどこかではわかっているはず。

駅に行けば簡単に酔えるくらい人は沢山いるのに、独りの君には気付けない。この丸い地球は君が端っこで泣かないためにできているものだと思ってたのに。ど

もっとみる